令和8年(2026年)問7|代理

代理に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはいくつあるか。

ア.代理人が相手方に対してした意思表示の効力が詐欺によって影響を受けるべきものである場合、その詐欺の事実の有無は、代理人についてではなく本人について決する。

イ.代理権を有しない者がAの代理人として契約をした場合、相手方は、Aに対し、相当の期間を定めてその期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができ、Aがその期間内に確答をしないときは、追認をしたものとみなされる。

ウ.同一の法律行為について、当事者双方の代理人としてした行為は無権代理行為とみなされるため、登記申請について、同一人が登記権利者及び登記義務者双方の代理人となることはできない。

エ.復代理人は、その権限の範囲内において代理人と同一の権利を有し、義務を負うため、特別の事情がない限り、その権限の範囲内で相手方から受領した物を本人に対して引き渡す義務を負うだけであり、代理人に対しては引き渡す義務を負わない。

1.一つ

2.二つ

3.三つ

4.四つ


【答え:4(アイウエが誤り)】

ア.代理人が相手方に対してした意思表示の効力が詐欺によって影響を受けるべきものである場合、その詐欺の事実の有無は、代理人についてではなく本人について決する。

ア・・・ 誤り

「代理」とは、本人に代わって、ほかの人(代理人)が契約などをし、その効果が本人に生じる仕組みのことを言います。たとえば、Aが不動産屋の担当者Bに、自分の代わりに土地を買ってきてもらう場合、Aが本人、Bが代理人です。

代理人が相手方に対して意思表示をした場合、その意思表示が詐欺などによって影響を受けるかどうかは、代理人について決めます(民法101条1項)。実際に相手と話をして、だまされたかどうかが問題になるのは代理人だからです。たとえば、代理人Bが相手方Cにだまされて契約をした場合、本人Aがその場にいなくても、Bがだまされたかどうかで判断し、だまされていれば取り消すことができます。

ですので、「代理人についてではなく本人について決する」というのは逆で、誤りです。


イ.代理権を有しない者がAの代理人として契約をした場合、相手方は、Aに対し、相当の期間を定めてその期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができ、Aがその期間内に確答をしないときは、追認をしたものとみなされる。

イ・・・ 誤り

「無権代理」とは、代理権を持っていない人が、勝手に代理人として契約をすることを言います。この場合、本人Aが「追認」をすれば、契約はAに効果が生じます。「追認」とは、あとから「その契約を認めます」と言うことです。

無権代理の相手方は、本人に対して、相当の期間を決めて、その期間内に追認するかどうかを答えるよう催告することができます(民法114条前段)。「催告」とは、相手に何かをするよう求めることを言います。

そして、本人がその期間内に返事をしなかったときは、追認を拒絶したものとみなされます(民法114条後段)。勝手にされた契約なので、本人が何も言わないのに、認めたことにされてしまうのはおかしいからです。

ですので、「追認をしたものとみなされる」というのは誤りです。なお、制限行為能力者の相手方の催告(民法20条)では、確答がないと追認したとみなされる場合があるので、その違いに注意しましょう。


ウ.同一の法律行為について、当事者双方の代理人としてした行為は無権代理行為とみなされるため、登記申請について、同一人が登記権利者及び登記義務者双方の代理人となることはできない。

ウ・・・ 誤り

「双方代理」とは、同じ人が、契約の当事者両方の代理人になることを言います。たとえば、Cが、売主Aの代理人であり、同時に買主Bの代理人でもあるような場合です。この場合、Cがどちらかに有利に契約を決めてしまうおそれがあるので、双方代理は原則として無権代理とみなされます(民法108条1項本文)。

ただし、「債務の履行」と、本人があらかじめ許した行為は、双方代理をしてもかまいません(民法108条1項ただし書)。債務の履行は、すでに決まったことを実行するだけなので、どちらかが損をするおそれがないからです。

判例では、登記の申請は債務の履行に準じるものとして、同じ人(たとえば司法書士)が登記権利者と登記義務者の双方の代理人となることができるとされています。「登記権利者」とは登記によって得をする人(買主など)、「登記義務者」とは登記によって損をする人(売主など)のことです。実際に、不動産の売買では、1人の司法書士が売主と買主の両方から頼まれて登記を申請するのが普通です。

ですので、この記述は誤りです。


エ.復代理人は、その権限の範囲内において代理人と同一の権利を有し、義務を負うため、特別の事情がない限り、その権限の範囲内で相手方から受領した物を本人に対して引き渡す義務を負うだけであり、代理人に対しては引き渡す義務を負わない。

エ・・・ 誤り

「復代理人」とは、代理人が、自分の代わりに、さらに選んだ代理人のことを言います。たとえば、Aの代理人Bが、仕事が忙しいので、その代理の仕事をCに任せた場合、Cが復代理人です。復代理人は、本人の代理人であり、本人や第三者に対して、代理人と同じ権利と義務を持ちます(民法106条2項)。

判例では、復代理人が相手方から物を受け取った場合、復代理人は、本人に対して引き渡す義務を負うだけでなく、代理人に対しても引き渡す義務を負うとされています。そして、復代理人が代理人に引き渡したときは、本人に対する引渡し義務も消えるとされています。たとえば、復代理人Cが相手方から代金を受け取ったら、CはそれをAに直接渡してもいいし、Cを選んだBに渡してもいい、ということです。

ですので、「代理人に対しては引き渡す義務を負わない」というのは誤りです。

以上より、ア〜エはすべて誤りなので、誤っているものは四つです。


令和8年(2026年):宅建試験・過去問

問1
所有者不明土地・管理不全土地
問2
賃貸借
問3
共有
問4
相続(法定相続分)
問5
契約の終了
問6
売買契約・賃貸借契約
問7
代理
問8
売買契約
問9
法定地上権
問10
契約総合
問11
借地権
問12
建物賃貸借
問13
区分所有法
問14
不動産登記法
問15
都市計画法
問16
都市計画法・開発許可
問17
建築基準法
問18
建築基準法
問19
盛土規制法
問20
土地区画整理法
問21
農地法
問22
国土利用計画法
問23
贈与税(住宅取得等資金の非課税特例)
問24
不動産取得税
問25
地価公示法
問26
広告
問27
監督処分・罰則
問28
宅建士
問29
媒介契約
問30
営業保証金
問31
宅地・宅建業の定義
問32
犯罪収益移転防止法
問33
専任の宅建士
問34
重要事項説明・35条書面
問35
報酬計算(売買)
問36
重要事項説明
問37
報酬計算(貸借)
問38
37条書面
問39
業務上の規制
問40
業務上の規制
問41
届出
問42
クーリングオフ
問43
重要事項説明
問44
案内所等の規制
問45
住宅瑕疵担保履行法
問46
住宅金融支援機構
問47
不当景品類及び不当表示防止法
問48
統計
問49
土地
問50
建物

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