令和8年(2026年)問10|契約総合

契約に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1.使用貸借契約においては、期間や使用収益の目的を定めているか否かにかかわらず、借主は、いつでも契約の解除をすることができる。

2.賃貸借契約は、期間の定めがある場合であっても、賃借物の全部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなったときには、終了する。

3.請負契約においては、請負人が仕事を完成しているか否かにかかわらず、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。

4.委任契約において、相手方に不利な時期に解除したときは、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。


【答え:3】

1.使用貸借契約においては、期間や使用収益の目的を定めているか否かにかかわらず、借主は、いつでも契約の解除をすることができる。

1・・・ 正しい

「使用貸借」とは、物をただで貸し借りする契約のことを言います。

使用貸借の借主は、いつでも契約の解除をすることができます(民法598条3項)。期間を決めていても、使う目的を決めていても関係ありません。借主はただで借りているだけなので、もう使わなくなったら、いつでも返していいのです。貸主にとっても、早く返してもらえれば損はありません。

これに対して、貸主のほうは、自由に解除できるわけではありません。たとえば、期間も目的も決めていない場合は、貸主はいつでも解除できますが(民法598条2項)、期間を決めていればその期間が終わるまで、目的を決めていればその目的に従って使い終わるまで(またはそれに足りる期間がたつまで)は、原則として解除できません(民法598条1項)。

ですので、この肢は正しいです。


2.賃貸借契約は、期間の定めがある場合であっても、賃借物の全部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなったときには、終了する。

2・・・ 正しい

「賃貸借」とは、お金(賃料)を払って物を借りる契約のことを言います。

賃借物の全部が滅失その他の事由によって、使用や収益をすることができなくなった場合には、賃貸借は終了します(民法616条の2)。「滅失」とは、物がなくなってしまうことを言います。たとえば、借りている建物が火事で全部焼けてしまった場合です。

貸す物がなくなってしまえば、もう貸し借りを続けることはできないので、期間が残っていても契約は当然に終わります。どちらのせいで滅失したかも関係ありません(ただし、どちらかのせいであれば、損害賠償の問題は残ります)。

ですので、この肢は正しいです。

なお、一部だけが滅失した場合は、賃料はその割合に応じて減額され(民法611条1項)、残りの部分だけでは借りた目的を達成できないときは、借主は解除することができます(民法611条2項)。


3.請負契約においては、請負人が仕事を完成しているか否かにかかわらず、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。

3・・・ 誤り

「請負」とは、ある人(請負人)が仕事を完成させることを約束し、相手(注文者)がその仕事の結果に対してお金を払う契約のことを言います。たとえば、工務店に家を建ててもらう契約です。

請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができます(民法641条)。たとえば、家を建ててもらっている途中で、注文者が転勤などで家がいらなくなった場合、工事を最後まで続けても無駄になるので、注文者は請負人の損害を払って契約をやめることができます。

しかし、仕事が完成した後は、この解除はできません。完成していれば、もう途中でやめる意味がないからです。

ですので、「仕事を完成しているか否かにかかわらず」というのは誤りです。


4.委任契約において、相手方に不利な時期に解除したときは、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。

4・・・ 正しい

「委任」とは、ある人(委任者)が、ほかの人(受任者)に、法律に関する仕事を任せる契約のことを言います。たとえば、弁護士に裁判を頼む場合などです。

委任は、お互いの信頼関係をもとにした契約なので、各当事者はいつでも解除をすることができます(民法651条1項)。

ただし、相手方に不利な時期に解除したときは、相手方の損害を賠償しなければなりません(民法651条2項1号)。たとえば、裁判の大事な時期に弁護士が急に辞めてしまうと、依頼者は新しい弁護士を急いで探さなければならず、困ってしまいます。そのような損害を賠償しなければならないのです。

しかし、やむを得ない事由があったときは、損害賠償は不要です(民法651条2項ただし書)。たとえば、弁護士が大きな病気になってしまったような場合です。

ですので、この肢は正しいです。


令和8年(2026年):宅建試験・過去問

問1
所有者不明土地・管理不全土地
問2
賃貸借
問3
共有
問4
相続(法定相続分)
問5
契約の終了
問6
売買契約・賃貸借契約
問7
代理
問8
売買契約
問9
法定地上権
問10
契約総合
問11
借地権
問12
建物賃貸借
問13
区分所有法
問14
不動産登記法
問15
都市計画法
問16
都市計画法・開発許可
問17
建築基準法
問18
建築基準法
問19
盛土規制法
問20
土地区画整理法
問21
農地法
問22
国土利用計画法
問23
贈与税(住宅取得等資金の非課税特例)
問24
不動産取得税
問25
地価公示法
問26
広告
問27
監督処分・罰則
問28
宅建士
問29
媒介契約
問30
営業保証金
問31
宅地・宅建業の定義
問32
犯罪収益移転防止法
問33
専任の宅建士
問34
重要事項説明・35条書面
問35
報酬計算(売買)
問36
重要事項説明
問37
報酬計算(貸借)
問38
37条書面
問39
業務上の規制
問40
業務上の規制
問41
届出
問42
クーリングオフ
問43
重要事項説明
問44
案内所等の規制
問45
住宅瑕疵担保履行法
問46
住宅金融支援機構
問47
不当景品類及び不当表示防止法
問48
統計
問49
土地
問50
建物

宅建通信に関する相談はこちら