令和8年(2026年)問36|重要事項説明

宅地建物取引業者が行う宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述について、正しいものの組合せは1から4のうちどれか。なお、説明の相手方は宅地建物取引業者ではないものとする。

ア.建物の売買の媒介を行う場合、当該建物が地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律第12条第1項により指定された歴史的風致形成建造物であるときは、同法第15条第1項及び第2項に関する事項の概要を説明しなければならない。

イ.建物の売買の媒介を行う場合、天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときは、その内容について、説明しなければならない。

ウ.建物の貸借の媒介を行う場合、当該建物が宅地造成及び特定盛土等規制法の規定により指定された造成宅地防災区域内にあるときは、その旨を借主に説明しなくてもよい。

エ.建物の貸借の媒介を行う場合、台所、浴室、便所その他の当該建物の設備の整備の状況について、借主に説明しなければならない。

1.ア、イ

2.ア、エ

3.イ、ウ

4.ウ、エ


【答え:2(アエが正しい)】

ア.建物の売買の媒介を行う場合、当該建物が地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律第12条第1項により指定された歴史的風致形成建造物であるときは、同法第15条第1項及び第2項に関する事項の概要を説明しなければならない。

ア・・・ 正しい

「歴史的風致形成建造物」とは、昔ながらの町並みを守るために、市町村長が指定した、地域の歴史を感じさせる大切な建物のことを言います(地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律12条1項)。たとえば、古いお寺の周りの町家や、昔の商家の建物などです。

歴史的風致形成建造物を増築、改築、移転、除却(取り壊すこと)などしようとする人は、着手する日の30日前までに、市町村長に届け出なければなりません(同法15条1項・2項)。

建物を買う人が、この制限を知らずに買ってしまうと、自由に建て替えられなくて困ってしまいます。そのため、この制限は、重要事項として説明しなければならない「法令に基づく制限」に含まれています(宅建業法35条1項2号、宅建業法施行令3条1項)。

ですので、建物の売買の媒介を行う場合は、同法15条1項・2項に関する事項の概要を説明しなければなりません。


イ.建物の売買の媒介を行う場合、天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときは、その内容について、説明しなければならない。

イ・・・ 誤り

「天災その他不可抗力による損害の負担に関する定め」とは、契約を結んだ後、建物を引き渡す前に、地震や台風などで建物が壊れてしまった場合に、その損害を売主と買主のどちらが負担するかを決めておく約束のことを言います。「危険負担」とも言います。

この定めは、37条書面(契約が成立した後に渡す書面)に、定めがあるときは記載しなければならない事項です(宅建業法37条1項10号)。しかし、重要事項の説明の対象にはなっていません(宅建業法35条1項)。

重要事項説明と37条書面の記載事項は、似ているようで違うところがあります。天災などの危険負担、契約不適合責任の内容、租税公課の負担などは37条書面だけに出てくる事項です。この違いはよく出題されるので、しっかり押さえておきましょう。


ウ.建物の貸借の媒介を行う場合、当該建物が宅地造成及び特定盛土等規制法の規定により指定された造成宅地防災区域内にあるときは、その旨を借主に説明しなくてもよい。

ウ・・・ 誤り

「造成宅地防災区域」とは、昔に盛土などをして造った宅地のうち、地震などで地すべりやがけ崩れが起きるおそれが大きい一団の造成宅地として、都道府県知事が指定した区域のことを言います(宅地造成及び特定盛土等規制法45条1項)。

宅地や建物が造成宅地防災区域内にあるときは、その旨を重要事項として説明しなければなりません(宅建業法35条1項14号、宅建業法施行規則16条の4の3第1号)。この説明は、売買の場合だけでなく、貸借の場合にも必要です。

たとえば、部屋を借りて住む人にとっても、地震で地盤が崩れるかもしれない場所なのかどうかは、命にかかわる大事な情報です。そのため、貸借の場合でも説明を省略することはできません。

同じように、土砂災害警戒区域内にあるかどうか、津波災害警戒区域内にあるかどうか、水防法の水害ハザードマップにおける物件の所在地も、売買・貸借の両方で説明が必要です。


エ.建物の貸借の媒介を行う場合、台所、浴室、便所その他の当該建物の設備の整備の状況について、借主に説明しなければならない。

エ・・・ 正しい

建物の貸借の媒介を行う場合は、台所、浴室、便所その他の当該建物の設備の整備の状況を、重要事項として説明しなければなりません(宅建業法35条1項14号、宅建業法施行規則16条の4の3第7号)。

建物を借りる人にとって、キッチンがついているか、お風呂があるか、トイレは共同か専用か、エアコンがついているかなどは、その部屋を借りるかどうかを決める大事なポイントです。たとえば、お風呂がついていると思って借りたのに、実はついていなかったら困りますよね。そのため、貸借の場合に説明が必要とされています。

なお、この事項は建物の貸借の場合だけの説明事項で、建物の売買の場合には説明は必要ありません。売買の場合は、買主が自分で設備を変えることができるからです。

以上より、正しいものはアとエで、組合せは2となります。


令和8年(2026年):宅建試験・過去問

問1
所有者不明土地・管理不全土地
問2
賃貸借
問3
共有
問4
相続(法定相続分)
問5
契約の終了
問6
売買契約・賃貸借契約
問7
代理
問8
売買契約
問9
法定地上権
問10
契約総合
問11
借地権
問12
建物賃貸借
問13
区分所有法
問14
不動産登記法
問15
都市計画法
問16
都市計画法・開発許可
問17
建築基準法
問18
建築基準法
問19
盛土規制法
問20
土地区画整理法
問21
農地法
問22
国土利用計画法
問23
贈与税(住宅取得等資金の非課税特例)
問24
不動産取得税
問25
地価公示法
問26
広告
問27
監督処分・罰則
問28
宅建士
問29
媒介契約
問30
営業保証金
問31
宅地・宅建業の定義
問32
犯罪収益移転防止法
問33
専任の宅建士
問34
重要事項説明・35条書面
問35
報酬計算(売買)
問36
重要事項説明
問37
報酬計算(貸借)
問38
37条書面
問39
業務上の規制
問40
業務上の規制
問41
届出
問42
クーリングオフ
問43
重要事項説明
問44
案内所等の規制
問45
住宅瑕疵担保履行法
問46
住宅金融支援機構
問47
不当景品類及び不当表示防止法
問48
統計
問49
土地
問50
建物

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