令和8年(2026年)問27|監督処分・罰則

次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ア.宅地建物取引業者A(甲県知事免許)は、自ら売主となる乙県内に所在する中古住宅の売買の業務に関し、乙県内で売買契約を締結し、手付金等の保全措置を講ずることなく、代金の10分の1を超える額の手付金を受領した。この場合、乙県知事は、Aに対し法に基づき、1年以内の期間を定めて、その業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。

イ.宅地建物取引業者B(甲県知事免許)は、法第72条第1項の規定に基づき、甲県知事から業務について、必要な報告を求められたが、これに応じなかった。この場合Bは50万円以下の罰金に処せられることがある。

ウ.甲県知事の宅地建物取引士資格登録を受けている宅地建物取引士Cは、乙県内の業務に関し、他人に自己の名義の使用を許し、当該他人がその名義を使用して宅地建物取引士である旨の表示をした場合、乙県知事はCに対し法に基づき必要な指示や宅地建物取引士として行う事務の禁止の処分をすることができる。

1.一つ

2.二つ

3.三つ

4.なし


【答え:3(アイウが正しい)】

ア.宅地建物取引業者A(甲県知事免許)は、自ら売主となる乙県内に所在する中古住宅の売買の業務に関し、乙県内で売買契約を締結し、手付金等の保全措置を講ずることなく、代金の10分の1を超える額の手付金を受領した。この場合、乙県知事は、Aに対し法に基づき、1年以内の期間を定めて、その業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。

ア・・・ 正しい

宅建業者が自ら売主となって、宅建業者ではない買主から手付金などを受け取る場合、完成している物件(中古住宅など)では、代金の10分の1を超えるか、1,000万円を超えるときは、受け取る前に「手付金等の保全措置」を講じなければなりません(宅建業法41条の2第1項)。「手付金等の保全措置」とは、もし業者が倒産して物件を引き渡せなくなっても、銀行や保証会社などが買主に手付金などを返してくれるようにしておくことを言います。

Aは保全措置を講じずに代金の10分の1を超える手付金を受け取っているので、宅建業法違反です。

この違反をした場合、Aに免許を与えた甲県知事だけでなく、違反があった乙県の知事も、Aに対して指示処分や、1年以内の期間を定めて業務の全部または一部の停止を命じることができます(宅建業法65条3項、4項)。業務停止は、その県の区域内の業務についてのものになります。

ただし、免許の取消しをすることができるのは、免許を与えた甲県知事だけです(宅建業法66条)。この違いはよく出題されるので、しっかり押さえておきましょう。


イ.宅地建物取引業者B(甲県知事免許)は、法第72条第1項の規定に基づき、甲県知事から業務について、必要な報告を求められたが、これに応じなかった。この場合Bは50万円以下の罰金に処せられることがある。

イ・・・ 正しい

国土交通大臣や都道府県知事は、宅建業を営むすべての者に対して、その業務について必要な報告を求めたり、事務所などに立ち入って帳簿などを検査させたりすることができます(宅建業法72条1項)。

宅建業者が、この報告を求められたのに報告をしなかったり、うその報告をしたりした場合は、50万円以下の罰金に処せられることがあります(宅建業法83条1項5号)。

国や県が、業者の業務がきちんと行われているかを調べるために報告を求めているのに、それに協力しないのでは、監督ができなくなってしまいます。そこで、報告をしないことに罰則がつけられているのです。

また、業者が法人の場合で、その従業員などが業務に関してこの違反をしたときは、行為をした人だけでなく法人にも50万円以下の罰金が科されます(宅建業法84条2号)。

50万円以下の罰金になるものとしては、ほかに、37条書面を交付しなかった場合や、従業者証明書を携帯させなかった場合、帳簿を備え付けなかった場合などがあります。


ウ.甲県知事の宅地建物取引士資格登録を受けている宅地建物取引士Cは、乙県内の業務に関し、他人に自己の名義の使用を許し、当該他人がその名義を使用して宅地建物取引士である旨の表示をした場合、乙県知事はCに対し法に基づき必要な指示や宅地建物取引士として行う事務の禁止の処分をすることができる。

ウ・・・ 正しい

「名義貸し」とは、宅建士が他人に自分の名前を使わせて、その他人が宅建士であるかのようにふるまうことを言います。たとえば、宅建士の資格を持っていない社員が、Cの名前を使って重要事項の説明をするような場合です。宅建士が他人に自己の名義の使用を許し、その他人がその名義を使って宅建士である旨の表示をした場合は、監督処分の対象になります(宅建業法68条1項2号)。

宅建士に対して指示処分や事務禁止処分をすることができるのは、その宅建士の登録をしている都道府県知事だけではありません。他の都道府県知事の登録を受けている宅建士が、自分の県の区域内で違反行為をした場合は、その県の知事も、必要な指示をしたり、1年以内の期間を定めて宅建士としての事務を行うことを禁止したりすることができます(宅建業法68条3項、4項)。

この肢では、Cは甲県知事の登録を受けていますが、乙県内の業務に関して名義貸しをしているので、乙県知事はCに対して指示処分や事務禁止処分をすることができます。

ただし、登録の消除をすることができるのは、登録をしている甲県知事だけです(宅建業法68条の2)。宅建業者に対する処分と同じ考え方ですので、あわせて覚えておきましょう。

以上より、ア、イ、ウはすべて正しいので、正しいものは三つです。


令和8年(2026年):宅建試験・過去問

問1
所有者不明土地・管理不全土地
問2
賃貸借
問3
共有
問4
相続(法定相続分)
問5
契約の終了
問6
売買契約・賃貸借契約
問7
代理
問8
売買契約
問9
法定地上権
問10
契約総合
問11
借地権
問12
建物賃貸借
問13
区分所有法
問14
不動産登記法
問15
都市計画法
問16
都市計画法・開発許可
問17
建築基準法
問18
建築基準法
問19
盛土規制法
問20
土地区画整理法
問21
農地法
問22
国土利用計画法
問23
贈与税(住宅取得等資金の非課税特例)
問24
不動産取得税
問25
地価公示法
問26
広告
問27
監督処分・罰則
問28
宅建士
問29
媒介契約
問30
営業保証金
問31
宅地・宅建業の定義
問32
犯罪収益移転防止法
問33
専任の宅建士
問34
重要事項説明・35条書面
問35
報酬計算(売買)
問36
重要事項説明
問37
報酬計算(貸借)
問38
37条書面
問39
業務上の規制
問40
業務上の規制
問41
届出
問42
クーリングオフ
問43
重要事項説明
問44
案内所等の規制
問45
住宅瑕疵担保履行法
問46
住宅金融支援機構
問47
不当景品類及び不当表示防止法
問48
統計
問49
土地
問50
建物

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