令和8年(2026年)問26|広告

宅地建物取引業者が行う広告に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。

1.既に売却済みの物件を、インターネットで広告掲載を続けて顧客を集め、来店した顧客に他の物件を案内して勧めた場合、実際には取引が成立しなかった場合でも監督処分の対象となる。

2.駅まで実際の道のりで4kmある宅地を販売するに当たり、「駅まで1kmの好立地」と広告に表示したとしても、実際に駅まで直線距離で1kmであれば、法第32条に規定する誇大広告等の禁止に違反することはない。

3.工事完了前の建物について、建築基準法第6条第1項前段の規定に基づく確認を受ける前は、当該確認を申請中であることを広告中に明示しない限り、貸借の媒介に関する広告をすることができない。

4.宅地又は建物に係る広告の表示項目の中に、取引物件に係る現在又は将来の利用の制限があるが、この制限には、都市計画法に基づく利用制限等の公法上の制限は含まれるが、借地権の有無等の私法上の制限は含まれない。


【答え:1】

1.既に売却済みの物件を、インターネットで広告掲載を続けて顧客を集め、来店した顧客に他の物件を案内して勧めた場合、実際には取引が成立しなかった場合でも監督処分の対象となる。

1・・・ 正しい

宅建業者は、広告をするときに、物件の所在、規模、形質、利用の制限、環境、交通、代金などについて、著しく事実に相違する表示をしたり、実際のものよりも著しく優良・有利だと人に誤認させるような表示をしたりしてはいけません(宅建業法32条)。これを「誇大広告等の禁止」と言います。

すでに売れてしまった物件や、そもそも売るつもりがない物件を広告して、お客さんを集め、来店したお客さんに別の物件をすすめることを「おとり広告」と言います。たとえば、駅近で格安のマンションをインターネットに載せておき、問い合わせがあったら「その物件はもう売れてしまいました。代わりにこちらはどうですか」と別の物件を紹介するやり方です。おとり広告も誇大広告等の禁止に違反します。

そして、誇大広告等の禁止は、そのような広告をしただけで違反になります。実際に誰かがだまされて契約しなかったとしても、また、損害が出なかったとしても違反です。ですので、指示処分や業務停止処分といった監督処分の対象になります(宅建業法65条)。さらに、6か月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその両方が科されることもあります(宅建業法81条1号)。


2.駅まで実際の道のりで4kmある宅地を販売するに当たり、「駅まで1kmの好立地」と広告に表示したとしても、実際に駅まで直線距離で1kmであれば、法第32条に規定する誇大広告等の禁止に違反することはない。

2・・・ 誤り

宅建業者は、広告をするときに、交通その他の利便について、著しく事実に相違する表示をしてはいけません(宅建業法32条)。

この肢では、実際に歩いて行く道のりでは駅まで4kmもあるのに、「駅まで1km」と表示しています。広告を見た人は、ふつう「駅まで歩いて1kmで行ける」と考えますので、実際の4kmとは大きく違い、著しく事実に相違する表示になります。たとえ地図の上で直線距離を測ると1kmだったとしても、川や線路があって遠回りしなければならないなら、お客さんにとっては4kmの距離です。

不動産の広告のルールを定めた「不動産の表示に関する公正競争規約」でも、駅などからの距離や所要時間は、道路に沿った距離で表示することとされています。徒歩の所要時間は、道路距離80mにつき1分で計算します。

直線距離なら正しいのだから違反しない、という言い訳は通用しません。


3.工事完了前の建物について、建築基準法第6条第1項前段の規定に基づく確認を受ける前は、当該確認を申請中であることを広告中に明示しない限り、貸借の媒介に関する広告をすることができない。

3・・・ 誤り

宅建業者は、宅地の造成や建物の建築に関する工事が完了する前は、その工事に必要な開発許可や建築確認などの処分があった後でなければ、その宅地や建物の売買その他の業務に関する広告をしてはいけません(宅建業法33条)。「建築確認」とは、建物を建てる前に、その建物の計画が建築基準法などのルールに合っているかどうかを、役所や指定確認検査機関がチェックすることを言います。

この広告開始時期の制限は、売買や交換だけでなく、貸借の媒介や代理の広告にも適用されます。そして、建築確認を「申請中」であることを広告の中にはっきり書いたとしても、確認を受ける前に広告することはできません。建築確認がおりなければ、計画どおりの建物が建たないかもしれないからです。

これに対して、契約締結時期の制限(宅建業法36条)は、売買と交換にだけ適用され、貸借には適用されません。つまり、確認前でも貸借の契約をすることはできますが、広告はできないのです。広告と契約で貸借の扱いが違う点はよく出題されるので、しっかり押さえておきましょう。


4.宅地又は建物に係る広告の表示項目の中に、取引物件に係る現在又は将来の利用の制限があるが、この制限には、都市計画法に基づく利用制限等の公法上の制限は含まれるが、借地権の有無等の私法上の制限は含まれない。

4・・・ 誤り

誇大広告等の禁止の対象となる表示項目の1つに、「現在又は将来の利用の制限」があります(宅建業法32条)。

この「利用の制限」には、都市計画法や建築基準法などによる用途地域や建ぺい率・容積率の制限のような「公法上の制限」だけでなく、借地権の有無やその内容のような「私法上の制限」も含まれます(国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」)。

「公法上の制限」とは、国や地方公共団体が法律で決めている土地の使い方のルールのことを言います。「私法上の制限」とは、人と人との契約などによって生じる権利関係の制限のことを言います。たとえば、土地に他人の借地権がついていて、その人の家が建っていれば、その土地を買っても自分で自由に使うことはできません。

お客さんにとっては、どちらの制限も、その物件を自由に使えるかどうかに大きく関わる大事な情報です。ですので、私法上の制限について事実と違う表示をすることも誇大広告になります。


令和8年(2026年):宅建試験・過去問

問1
所有者不明土地・管理不全土地
問2
賃貸借
問3
共有
問4
相続(法定相続分)
問5
契約の終了
問6
売買契約・賃貸借契約
問7
代理
問8
売買契約
問9
法定地上権
問10
契約総合
問11
借地権
問12
建物賃貸借
問13
区分所有法
問14
不動産登記法
問15
都市計画法
問16
都市計画法・開発許可
問17
建築基準法
問18
建築基準法
問19
盛土規制法
問20
土地区画整理法
問21
農地法
問22
国土利用計画法
問23
贈与税(住宅取得等資金の非課税特例)
問24
不動産取得税
問25
地価公示法
問26
広告
問27
監督処分・罰則
問28
宅建士
問29
媒介契約
問30
営業保証金
問31
宅地・宅建業の定義
問32
犯罪収益移転防止法
問33
専任の宅建士
問34
重要事項説明・35条書面
問35
報酬計算(売買)
問36
重要事項説明
問37
報酬計算(貸借)
問38
37条書面
問39
業務上の規制
問40
業務上の規制
問41
届出
問42
クーリングオフ
問43
重要事項説明
問44
案内所等の規制
問45
住宅瑕疵担保履行法
問46
住宅金融支援機構
問47
不当景品類及び不当表示防止法
問48
統計
問49
土地
問50
建物

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