令和8年(2026年)問11|借地権

AがBとの間で、A所有の甲土地につき、期間60年とする賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)を締結する場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。

1.本件契約において、専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。)の所有を目的とする旨を定め、かつ、契約の更新がないことを定める場合には、公正証書によって契約しなければならない。

2.本件契約が甲土地を資材置場とすることを目的とし、建物を所有することを目的としない場合には、存続期間を60年と定めても、期間は50年となる。

3.本件契約が建物の所有を目的とし、書面で締結する場合、更新がない旨及び本件契約が期間満了した場合にBはAに対して甲土地上の建物の買取りを請求しない旨を定めることはできるが、BがAに対して地代減額を請求しない旨を定めても、地代が不相当となったときは、Bは地代減額請求をすることができる。

4.本件契約が建物の所有を目的とする場合、甲土地上にBが所有する建物について、Bと氏を同じくし、かつ、未成年の長男名義で保存登記をしても、甲土地が第三者であるCに売却された場合には、Bは借地権をCに対抗することができない。


【答え:1】

1.本件契約において、専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。)の所有を目的とする旨を定め、かつ、契約の更新がないことを定める場合には、公正証書によって契約しなければならない。

1・・・ 誤り

「事業用定期借地権」とは、店舗や工場など、専ら事業の用に供する建物(住むための建物を除く)を所有するための借地権で、契約の更新がないものを言います。事業用定期借地権の存続期間は10年以上50年未満であり、公正証書によって契約しなければなりません(借地借家法23条)。

この問題では、期間が60年です。60年だと事業用定期借地権の期間(50年未満)を超えるので、事業用定期借地権として契約することはできません。

しかし、期間が50年以上であれば、「一般定期借地権」として、更新がないことなどを定めることができます(借地借家法22条1項)。一般定期借地権は、建物の用途に制限がないので、事業用の建物でもかまいません。そして、一般定期借地権は、公正証書に限らず、書面(電磁的記録も含む)で契約すればよいとされています(借地借家法22条1項・2項)。

ですので、この契約は公正証書でなくても書面でよく、「公正証書によって契約しなければならない」というのは誤りです。期間によって使える定期借地権の種類が変わるので、しっかり押さえておきましょう。


2.本件契約が甲土地を資材置場とすることを目的とし、建物を所有することを目的としない場合には、存続期間を60年と定めても、期間は50年となる。

2・・・ 正しい

借地借家法は、建物の所有を目的とする土地の賃貸借などに適用される法律です。この問題のように、資材置場として土地を借りる場合は、建物の所有を目的としないので、借地借家法は適用されず、民法が適用されます。

民法では、賃貸借の存続期間は50年を超えることができず、50年より長い期間を定めたときでも、その期間は50年とされます(民法604条1項)。たとえば、60年と決めても、50年に短くされるということです。

ですので、この肢は正しいです。

なお、建物の所有を目的とする借地権の場合は、借地借家法が適用されるので、この50年の上限はなく、60年と定めればそのとおり60年となります(借地借家法3条)。借地借家法が適用されるかどうかで答えが変わるので、注意しましょう。


3.本件契約が建物の所有を目的とし、書面で締結する場合、更新がない旨及び本件契約が期間満了した場合にBはAに対して甲土地上の建物の買取りを請求しない旨を定めることはできるが、BがAに対して地代減額を請求しない旨を定めても、地代が不相当となったときは、Bは地代減額請求をすることができる。

3・・・ 正しい

この問題の契約は、期間が60年で、建物の所有を目的とし、書面で結ぶので、「一般定期借地権」として契約することができます。「一般定期借地権」とは、存続期間を50年以上として、契約の更新がないことなどを定めた借地権のことを言います(借地借家法22条1項)。

一般定期借地権では、①契約の更新をしないこと、②建物を建て直しても期間を延長しないこと、③期間が満了したときに建物の買取りを請求しないこと、を定めることができます。ですので、更新がないことや、BがAに建物の買取りを請求しないことは定めることができます。

一方、地代を減額しない旨の特約は、借地人に不利なので無効です。借地借家法11条1項は、地代を「増額しない」特約だけを有効としています。そのため、地代減額請求をしない旨を定めていても、地代が不相当になったときは、Bは地代減額請求をすることができます。

ですので、この肢は正しいです。


4.本件契約が建物の所有を目的とする場合、甲土地上にBが所有する建物について、Bと氏を同じくし、かつ、未成年の長男名義で保存登記をしても、甲土地が第三者であるCに売却された場合には、Bは借地権をCに対抗することができない。

4・・・ 正しい

「借地権」とは、建物を持つために他人の土地を借りる権利のことを言います。借地権は、土地の登記がなくても、借地上に借地権者が登記されている建物を持っていれば、第三者に対抗することができます(借地借家法10条1項)。「対抗する」とは、自分の権利をほかの人に主張することを言います。たとえば、土地が売られても、新しい持ち主に「この土地を借りています」と言えるということです。

ただし、建物の登記は、借地権者本人の名義でなければなりません。判例では、借地権者Bが、自分と同じ氏の長男の名義で建物を登記していた場合は、たとえ長男が未成年であっても、借地権を第三者に対抗することはできないとされています。土地を買おうとする人が建物の登記を見ても、長男の名前しかなければ、Bが借地権を持っているとは分からないからです。

ですので、この場合、Bは借地権をCに対抗することができず、この肢は正しいです。


令和8年(2026年):宅建試験・過去問

問1
所有者不明土地・管理不全土地
問2
賃貸借
問3
共有
問4
相続(法定相続分)
問5
契約の終了
問6
売買契約・賃貸借契約
問7
代理
問8
売買契約
問9
法定地上権
問10
契約総合
問11
借地権
問12
建物賃貸借
問13
区分所有法
問14
不動産登記法
問15
都市計画法
問16
都市計画法・開発許可
問17
建築基準法
問18
建築基準法
問19
盛土規制法
問20
土地区画整理法
問21
農地法
問22
国土利用計画法
問23
贈与税(住宅取得等資金の非課税特例)
問24
不動産取得税
問25
地価公示法
問26
広告
問27
監督処分・罰則
問28
宅建士
問29
媒介契約
問30
営業保証金
問31
宅地・宅建業の定義
問32
犯罪収益移転防止法
問33
専任の宅建士
問34
重要事項説明・35条書面
問35
報酬計算(売買)
問36
重要事項説明
問37
報酬計算(貸借)
問38
37条書面
問39
業務上の規制
問40
業務上の規制
問41
届出
問42
クーリングオフ
問43
重要事項説明
問44
案内所等の規制
問45
住宅瑕疵担保履行法
問46
住宅金融支援機構
問47
不当景品類及び不当表示防止法
問48
統計
問49
土地
問50
建物

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