令和8年(2026年)問30|営業保証金

宅地建物取引業法の規定に基づく営業保証金に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1.国土交通大臣又は都道府県知事は、免許をした日から3か月以内に宅地建物取引業者が営業保証金を供託した旨の届出を行わない場合には催告をしなければならず、当該催告が到達した日から1か月以内に届出がされなければ免許を取り消すことができる。

2.宅地建物取引業者は、本店の移転によるその最寄りの供託所の変更に伴い新たに営業保証金を供託した場合において、従前の営業保証金を取り戻すときは、営業保証金の還付を請求する権利を有する者に対し、6か月以上の期間を定めて申し出るべき旨の公告をしなければならない。

3.宅地建物取引業者は、本店を移転し最寄りの供託所が変更した場合において、金銭のみをもって営業保証金を供託しているときは、遅滞なく、費用を予納して、従前の本店の最寄りの供託所に対し、営業保証金の保管替えを請求しなければならない。

4.新たに事務所を2か所増設するための営業保証金の供託を国債証券と地方債証券で充てる場合、地方債証券の額面が600万円のときは、国債証券の額面は460万円のものが必要となる。


【答え:2】

1.国土交通大臣又は都道府県知事は、免許をした日から3か月以内に宅地建物取引業者が営業保証金を供託した旨の届出を行わない場合には催告をしなければならず、当該催告が到達した日から1か月以内に届出がされなければ免許を取り消すことができる。

1・・・ 正しい

「営業保証金」とは、宅建業者と取引をしたお客さんが損をしたときに、そのお客さんにお金を払えるように、宅建業者があらかじめ供託所(法務局)に預けておくお金のことを言います。宅建業者は、営業保証金を供託して、その旨を免許権者に届け出た後でなければ、事業を始めることができません(宅建業法25条4項、5項)。

免許権者(国土交通大臣または都道府県知事)は、免許を与えた日から3か月以内に、宅建業者が営業保証金を供託した旨の届出をしないときは、届出をするように催告しなければなりません(宅建業法25条6項)。「催告」とは、早くするように相手にうながすことを言います。この催告は「しなければならない」という義務です。

そして、催告が到達した日から1か月以内に宅建業者が届出をしないときは、免許権者はその免許を取り消すことができます(宅建業法25条7項)。こちらは「できる」なので、取り消すかどうかは免許権者が判断します。

「3か月」「1か月」という期間と、「しなければならない」と「できる」の違いを押さえておきましょう。


2.宅地建物取引業者は、本店の移転によるその最寄りの供託所の変更に伴い新たに営業保証金を供託した場合において、従前の営業保証金を取り戻すときは、営業保証金の還付を請求する権利を有する者に対し、6か月以上の期間を定めて申し出るべき旨の公告をしなければならない。

2・・・ 誤り

営業保証金を取り戻すときは、原則として、営業保証金から弁済を受ける権利がある人(還付請求権者)に対して、6か月以上の期間を定めて申し出るように公告しなければなりません(宅建業法30条2項)。いきなり取り戻してしまうと、まだ損害を受けたままのお客さんが、お金を受け取れなくなってしまうからです。

しかし、本店(主たる事務所)を移転したことによって最寄りの供託所が変わり、移転後の本店の最寄りの供託所に新たに営業保証金を供託した場合には、移転前の供託所の営業保証金を取り戻すときに公告は必要ありません(宅建業法30条2項かっこ書)。新しい供託所にきちんと同じ額の営業保証金が預けられているので、お客さんが困ることはないからです。

公告が不要になる場合としては、ほかに、営業保証金を取り戻す事由が発生してから10年を経過した場合や、保証協会の社員になった場合があります。逆に、免許の有効期間が切れた場合や廃業した場合、一部の事務所を廃止した場合などは、公告が必要です。


3.宅地建物取引業者は、本店を移転し最寄りの供託所が変更した場合において、金銭のみをもって営業保証金を供託しているときは、遅滞なく、費用を予納して、従前の本店の最寄りの供託所に対し、営業保証金の保管替えを請求しなければならない。

3・・・ 正しい

宅建業者は、本店(主たる事務所)を移転したため、その最寄りの供託所が変わった場合には、営業保証金を移転後の本店の最寄りの供託所に移さなければなりません(宅建業法29条1項)。

このとき、営業保証金を金銭だけで供託しているときは、遅滞なく、費用を予納して、営業保証金を供託している供託所(移転前の本店の最寄りの供託所)に対し、移転後の本店の最寄りの供託所への「保管替え」を請求しなければなりません。「保管替え」とは、供託所どうしでお金を移してもらう手続きのことを言います。お金なら、そのまま移してもらうことができるからです。

これに対して、国債証券などの有価証券だけで供託している場合や、金銭と有価証券の両方で供託している場合は、保管替えを請求することはできません。この場合は、遅滞なく、移転後の本店の最寄りの供託所に新たに営業保証金を供託しなければなりません。そして、新たに供託した後に、移転前の供託所から古い営業保証金を取り戻すことになります(このときは公告が不要なのは選択肢2のとおりです)。


4.新たに事務所を2か所増設するための営業保証金の供託を国債証券と地方債証券で充てる場合、地方債証券の額面が600万円のときは、国債証券の額面は460万円のものが必要となる。

4・・・ 正しい

営業保証金の額は、本店(主たる事務所)は1,000万円、支店(その他の事務所)は1か所ごとに500万円です(宅建業法25条2項、同法施行令2条の4)。事務所を2か所増設する場合は、500万円×2か所で1,000万円を供託しなければなりません(宅建業法26条1項)。

営業保証金は、お金だけでなく、国債証券などの有価証券で供託することもできます。ただし、有価証券は値段が変わることがあるので、額面どおりに評価されないものがあります。国債証券は額面金額の100%、地方債証券や政府保証債証券は額面金額の90%、それ以外の有価証券は額面金額の80%で評価されます(宅建業法25条3項、同法施行規則15条1項)。

地方債証券の額面が600万円のときは、600万円×90%で540万円と評価されます。1,000万円から540万円を引くと460万円が足りません。国債証券は額面どおり100%で評価されるので、額面460万円の国債証券が必要になります。

ですので、問題文は正しいです。なお、株式は営業保証金に使うことはできません。


令和8年(2026年):宅建試験・過去問

問1
所有者不明土地・管理不全土地
問2
賃貸借
問3
共有
問4
相続(法定相続分)
問5
契約の終了
問6
売買契約・賃貸借契約
問7
代理
問8
売買契約
問9
法定地上権
問10
契約総合
問11
借地権
問12
建物賃貸借
問13
区分所有法
問14
不動産登記法
問15
都市計画法
問16
都市計画法・開発許可
問17
建築基準法
問18
建築基準法
問19
盛土規制法
問20
土地区画整理法
問21
農地法
問22
国土利用計画法
問23
贈与税(住宅取得等資金の非課税特例)
問24
不動産取得税
問25
地価公示法
問26
広告
問27
監督処分・罰則
問28
宅建士
問29
媒介契約
問30
営業保証金
問31
宅地・宅建業の定義
問32
犯罪収益移転防止法
問33
専任の宅建士
問34
重要事項説明・35条書面
問35
報酬計算(売買)
問36
重要事項説明
問37
報酬計算(貸借)
問38
37条書面
問39
業務上の規制
問40
業務上の規制
問41
届出
問42
クーリングオフ
問43
重要事項説明
問44
案内所等の規制
問45
住宅瑕疵担保履行法
問46
住宅金融支援機構
問47
不当景品類及び不当表示防止法
問48
統計
問49
土地
問50
建物

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