令和8年(2026年)問29|媒介契約

宅地建物取引業者Aが個人BからB所有の土地付建物の売却の依頼を受け、Bと媒介契約を締結した。媒介契約締結後にAがBに対して行う必要がある業務に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ア.AはBとの間で締結した媒介契約について、法第34条の2第1項に規定する書面を作成し、Bから口頭による承諾を取得した上で電磁的方法による提供を行った。

イ.AはBと専任媒介契約を締結することにした。媒介契約の締結後、売却に関する情報を指定流通機構に登録したAは、Bからの要求の有無にかかわらず、指定流通機構から発行された登録を証する書面を遅滞なく引き渡す必要がある。

ウ.AはBと一般媒介契約を締結することにした。媒介契約の締結後、Cから土地付建物の購入の申込みを受けたAは、Bからの業務処理の状況報告の依頼の有無にかかわらず、Cから申込みを受けた旨を遅滞なく報告する必要がある。

1.一つ

2.二つ

3.三つ

4.なし


【答え:2(イウが正しい)】

ア.AはBとの間で締結した媒介契約について、法第34条の2第1項に規定する書面を作成し、Bから口頭による承諾を取得した上で電磁的方法による提供を行った。

ア・・・ 誤り

宅建業者は、売買や交換の媒介契約を締結したときは、遅滞なく、宅建業法34条の2第1項に定める事項を書いた書面を作成して記名押印し、依頼者に交付しなければなりません(宅建業法34条の2第1項)。「媒介契約」とは、家を売りたい人などが、宅建業者に買主を探して契約をまとめてもらうように頼む契約のことを言います。

この書面は、依頼者の承諾を得れば、紙で渡す代わりに、電子メールなどの電磁的方法で提供することもできます(宅建業法34条の2第11項)。

ただし、その承諾は、あらかじめ依頼者に対して、どのような電磁的方法を使うのか(電子メールなのか、ウェブサイトからのダウンロードなのか、など)を示したうえで、書面または電子メールなどの電磁的方法で得なければならないとされています(宅建業法施行令2条の6第1項)。口頭で「いいですよ」と言ってもらっただけでは足りません。後で「そんな承諾はしていない」というトラブルにならないよう、記録が残る方法で承諾を得ることが求められているのです。

ですので、口頭による承諾を取得しただけで電磁的方法により提供したAの対応は、宅建業法に違反します。重要事項説明書や37条書面の電磁的方法による提供も同じルールですので、あわせて押さえておきましょう。


イ.AはBと専任媒介契約を締結することにした。媒介契約の締結後、売却に関する情報を指定流通機構に登録したAは、Bからの要求の有無にかかわらず、指定流通機構から発行された登録を証する書面を遅滞なく引き渡す必要がある。

イ・・・ 正しい

「専任媒介契約」とは、依頼者が、ほかの宅建業者に重ねて媒介や代理を頼むことを禁止する媒介契約のことを言います。

専任媒介契約を結んだ宅建業者は、契約の相手方を探すため、契約締結の日から7日以内(休業日を除きます。専属専任媒介契約の場合は5日以内)に、その物件の情報を指定流通機構に登録しなければなりません(宅建業法34条の2第5項)。「指定流通機構」とは、国土交通大臣が指定した、不動産の物件情報を宅建業者どうしで共有するためのネットワークを運営する団体のことを言います。「レインズ」と呼ばれています。

そして、登録をした宅建業者は、指定流通機構が発行する登録を証する書面を、遅滞なく依頼者に引き渡さなければなりません(宅建業法34条の2第6項)。これは、依頼者からの請求がなくても必ずしなければならない義務です。依頼者が、自分の物件がきちんと登録されたことを確認できるようにするためです。

なお、この登録を証する書面も、依頼者の承諾を得れば、電磁的方法で提供することができます(宅建業法34条の2第12項)。


ウ.AはBと一般媒介契約を締結することにした。媒介契約の締結後、Cから土地付建物の購入の申込みを受けたAは、Bからの業務処理の状況報告の依頼の有無にかかわらず、Cから申込みを受けた旨を遅滞なく報告する必要がある。

ウ・・・ 正しい

「一般媒介契約」とは、依頼者が、ほかの宅建業者にも重ねて媒介や代理を頼むことができる媒介契約のことを言います。たとえば、家を売りたい人が、A社にもD社にも同時に買主探しを頼むことができる契約です。

媒介契約を締結した宅建業者は、その媒介契約の目的物である宅地や建物について売買や交換の申込みがあったときは、遅滞なく、その旨を依頼者に報告しなければなりません(宅建業法34条の2第8項)。このルールは、専任媒介契約だけでなく、一般媒介契約にも適用されます。そして、依頼者から報告をしてほしいと頼まれたかどうかに関係なく、報告しなければなりません。

業者が、自分に都合のいい買主を見つけるまで、ほかの買主からの申込みを依頼者に伝えないといった「囲い込み」を防ぐためのルールです。

これに対して、業務の処理状況を2週間に1回以上(専属専任媒介契約は1週間に1回以上)報告する義務は、専任媒介契約にだけある義務で、一般媒介契約にはありません(宅建業法34条の2第9項)。この違いはよく出題されるので、しっかり押さえておきましょう。

以上より、正しいものはイとウなので、二つです。


令和8年(2026年):宅建試験・過去問

問1
所有者不明土地・管理不全土地
問2
賃貸借
問3
共有
問4
相続(法定相続分)
問5
契約の終了
問6
売買契約・賃貸借契約
問7
代理
問8
売買契約
問9
法定地上権
問10
契約総合
問11
借地権
問12
建物賃貸借
問13
区分所有法
問14
不動産登記法
問15
都市計画法
問16
都市計画法・開発許可
問17
建築基準法
問18
建築基準法
問19
盛土規制法
問20
土地区画整理法
問21
農地法
問22
国土利用計画法
問23
贈与税(住宅取得等資金の非課税特例)
問24
不動産取得税
問25
地価公示法
問26
広告
問27
監督処分・罰則
問28
宅建士
問29
媒介契約
問30
営業保証金
問31
宅地・宅建業の定義
問32
犯罪収益移転防止法
問33
専任の宅建士
問34
重要事項説明・35条書面
問35
報酬計算(売買)
問36
重要事項説明
問37
報酬計算(貸借)
問38
37条書面
問39
業務上の規制
問40
業務上の規制
問41
届出
問42
クーリングオフ
問43
重要事項説明
問44
案内所等の規制
問45
住宅瑕疵担保履行法
問46
住宅金融支援機構
問47
不当景品類及び不当表示防止法
問48
統計
問49
土地
問50
建物

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