令和8年(2026年)問6|売買契約・賃貸借契約

売買契約と賃貸借契約に関する次の記述について、民法の規定及び判例によれば、正しいものの組合せは1から4のうちどれか。

ア.売買契約も賃貸借契約もそれぞれ他人が所有する動産を目的とすることができる。

イ.引き渡された目的物が品質について契約の内容に適合しない場合、売買契約の買主は売主に対し、賃貸借契約の借主は貸主に対し、それぞれ目的物の修補等履行の追完を請求することができる。なお、契約の内容の不適合については、買主や借主の責めに帰すべき事由によらないものとする。

ウ.売買契約の売主が売主の地位を他に譲渡する場合も、賃貸借の目的となっている土地の所有者がその所有権とともに賃貸人の地位を他に譲渡する場合も、譲渡人と譲受人の合意があれば地位は移転し、買主や賃借人の承諾は必要ない。

エ.売買契約の場合も賃貸借契約の場合も、一方当事者に債務不履行があることによって他方の当事者が契約を解除した場合、契約は契約締結時に遡って効力を失い、買主も賃借人もそれぞれ原状回復義務を負う。

1.ア、イ

2.ア、ウ

3.イ、エ

4.ア、ウ、エ


【答え:1(アイが正しい)】

ア.売買契約も賃貸借契約もそれぞれ他人が所有する動産を目的とすることができる。

ア・・・ 正しい

売買契約も賃貸借契約も、他人が持っている物を目的とすることができます。

売買について、他人の物を売る契約(他人物売買)も有効であり、売主はその物の持ち主から権利を取得して買主に移す義務を負います(民法561条)。たとえば、中古車販売店Aが、知り合いのCが持っている車を、Cから仕入れる前にBに売る契約をしても、その契約は有効です。

賃貸借についても、他人の物を貸す契約(他人物賃貸借)は有効とされています。賃貸借の規定には、売買の規定が準用されます(民法559条)。たとえば、Aが友人Cのレンタル用の機械を、Cから借りる予定でBに貸す契約をすることもできます。

契約は約束なので、約束した時点で自分の物でなくても、約束自体は成立するということです。ですので、この記述は正しいです。


イ.引き渡された目的物が品質について契約の内容に適合しない場合、売買契約の買主は売主に対し、賃貸借契約の借主は貸主に対し、それぞれ目的物の修補等履行の追完を請求することができる。なお、契約の内容の不適合については、買主や借主の責めに帰すべき事由によらないものとする。

イ・・・ 正しい

「品質について契約の内容に適合しない」とは、約束した品質と違う物が渡されたことを言います。たとえば、新品のはずなのに傷があったり、ちゃんと動くはずの機械が壊れていたりする場合です。

売買契約では、引き渡された物が契約の内容に適合しないとき、買主は売主に対して、物を直すこと(修補)や代わりの物を渡すことなど、「履行の追完」を請求することができます(民法562条1項)。

賃貸借契約にも、この売買の規定が準用されます(民法559条)。また、賃貸人は、賃貸物の使用・収益に必要な修繕をする義務を負っています(民法606条1項)。たとえば、借りた機械がはじめから壊れていた場合、借主は貸主に直すよう請求できます。

この記述では、不適合が買主や借主のせいではないとされているので、どちらも追完を請求することができます(民法562条2項、606条1項ただし書参照)。ですので、この記述は正しいです。


ウ.売買契約の売主が売主の地位を他に譲渡する場合も、賃貸借の目的となっている土地の所有者がその所有権とともに賃貸人の地位を他に譲渡する場合も、譲渡人と譲受人の合意があれば地位は移転し、買主や賃借人の承諾は必要ない。

ウ・・・ 誤り

「契約上の地位の移転」とは、契約の当事者としての立場そのものを、ほかの人に譲ることを言います。

売主の地位を他人に譲るような、一般的な契約上の地位の移転は、譲る人と譲り受ける人が合意し、さらに契約の相手方(この場合は買主)が承諾したときに、地位が移ります(民法539条の2)。買主からすると、知らない人がいきなり売主になって、きちんと物を渡してくれるか分からないと困るので、承諾が必要とされています。

これに対して、賃貸されている土地の持ち主が、土地の所有権といっしょに賃貸人の地位を譲る場合は、賃借人の承諾はいりません(民法605条の3)。大家さんの仕事は土地を貸し続けることで、誰が大家さんでも内容はほとんど変わらないからです。

この記述は、売買の場合も買主の承諾がいらないとしている点が誤りです。


エ.売買契約の場合も賃貸借契約の場合も、一方当事者に債務不履行があることによって他方の当事者が契約を解除した場合、契約は契約締結時に遡って効力を失い、買主も賃借人もそれぞれ原状回復義務を負う。

エ・・・ 誤り

「解除」とは、契約をやめることを言います。相手が約束を守らない(債務不履行がある)場合、契約を解除することができます。

売買契約を解除した場合は、契約は初めからなかったことになり、各当事者は相手を元の状態に戻す義務(原状回復義務)を負います(民法545条1項)。たとえば、買主は受け取った物を返し、売主は受け取った代金を返します。

これに対して、賃貸借契約を解除した場合は、解除は将来に向かってのみ効力を生じます(民法620条)。たとえば、2年間アパートを貸していて家賃の滞納で解除した場合、その2年間の貸し借りまでなかったことにすると、それまで住んでいた分の家賃をすべて返し合うことになって、かえって面倒です。そのため、賃貸借は解除したときから先がなくなるだけとしているのです。

この記述は、賃貸借の解除も契約の時にさかのぼって効力を失うとしている点が誤りです。


令和8年(2026年):宅建試験・過去問

問1
所有者不明土地・管理不全土地
問2
賃貸借
問3
共有
問4
相続(法定相続分)
問5
契約の終了
問6
売買契約・賃貸借契約
問7
代理
問8
売買契約
問9
法定地上権
問10
契約総合
問11
借地権
問12
建物賃貸借
問13
区分所有法
問14
不動産登記法
問15
都市計画法
問16
都市計画法・開発許可
問17
建築基準法
問18
建築基準法
問19
盛土規制法
問20
土地区画整理法
問21
農地法
問22
国土利用計画法
問23
贈与税(住宅取得等資金の非課税特例)
問24
不動産取得税
問25
地価公示法
問26
広告
問27
監督処分・罰則
問28
宅建士
問29
媒介契約
問30
営業保証金
問31
宅地・宅建業の定義
問32
犯罪収益移転防止法
問33
専任の宅建士
問34
重要事項説明・35条書面
問35
報酬計算(売買)
問36
重要事項説明
問37
報酬計算(貸借)
問38
37条書面
問39
業務上の規制
問40
業務上の規制
問41
届出
問42
クーリングオフ
問43
重要事項説明
問44
案内所等の規制
問45
住宅瑕疵担保履行法
問46
住宅金融支援機構
問47
不当景品類及び不当表示防止法
問48
統計
問49
土地
問50
建物

宅建通信に関する相談はこちら