A、B及びCが別荘として甲建物を共同購入した場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、A、B及びCの持分はそれぞれ3分の1ずつであり、甲建物の使用について別段の合意はないものとする。
1.Aは、甲建物の3分の1の面積に相当する部分を排他的に使用することができる。
2.Aは、自己の持分に抵当権を設定する場合、B及びCの同意を得る必要がある。
3.Aは、自己の持分を超えて甲建物を使用した場合、自己の持分を超える使用の対価を、B及びCに償還する義務を負う。
4.Aは、甲建物の購入から5年を経過しなければ、自己の持分を譲渡することができない。
1・・・ 誤り
「共有」とは、1つの物を何人かでいっしょに持っている状態のことを言い、1人ひとりが持っている権利の割合を「持分」と言います。この問題では、A、B、Cが別荘を3分の1ずつの持分で共有しています。
各共有者は、共有物の「全部」について、持分に応じた使用をすることができます(民法249条1項)。つまり、Aは別荘の3分の1の部分だけを使えるのではなく、別荘全体を使えます。ただし、持分に応じて、という制限があるので、たとえば1年のうち4か月ずつ交代で使うといった形になります。
「3分の1の面積に相当する部分を自分だけで使える」としてしまうと、どの部屋をAが取るかでもめますし、BやCがその部分を使えなくなってしまいます。持分は面積の割合ではなく、権利の割合です。ですので、この肢は誤りです。
2・・・ 誤り
各共有者は、自分の持分については、ほかの共有者の同意なく自由に処分することができます。「処分」とは、売ったり、担保に入れたりすることを言います。
「抵当権」とは、お金を借りるときに、返せなくなったら土地や建物を競売にかけて、その代金から優先して返してもらえるようにしておく権利のことを言います。たとえば、Aが銀行からお金を借りるときに、甲建物の自分の持分3分の1に抵当権を設定するということです。
持分は各共有者の財産ですので、それに抵当権を設定するのにBやCの同意はいりません。BやCからしても、自分の持分に影響があるわけではないからです。
これに対して、共有物「全体」を売ったり、全体に抵当権を設定したりするには、共有者全員の同意が必要です(民法251条1項)。「自分の持分」なのか「共有物全体」なのかの違いはよく出題されるので、しっかり押さえておきましょう。
3・・・ 正しい
共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除いて、ほかの共有者に対して、自分の持分を超える使用の対価を償還する義務を負います(民法249条2項)。「償還」とは、お金を返すこと、支払うことを言います。
たとえば、A、B、Cが3分の1ずつ持っている別荘を、Aが1年中ひとりで使っていたとします。Aの持分は3分の1なので、本来は1年のうち4か月分くらいしか使えないはずです。それを超えて使った8か月分については、BとCの分を使ったことになるので、その分の使用料(たとえば家賃相当額)をBとCに支払わなければなりません。
この問題では「甲建物の使用について別段の合意はない」とされているので、原則どおりAは償還義務を負います。ですので、この肢は正しいです。
なお、この規定は令和3年の民法改正で明文化されたものです。
4・・・ 誤り
各共有者は、自分の持分を、いつでも自由に譲渡することができます。「譲渡」とは、売ったりあげたりして、ほかの人に移すことを言います。購入から何年たっていなければ譲渡できない、という決まりはありません。ですので、Aは購入してすぐでも自分の持分をほかの人に売ることができます。
この肢は、「5年」という数字が出てくる共有物分割禁止の特約と混ぜたひっかけです。「共有物の分割」とは、共有をやめて、それぞれの単独の持ち物に分けることを言います。各共有者はいつでも共有物の分割を請求できますが、共有者どうしで「5年を超えない期間内は分割しない」という約束をすることができます(民法256条1項)。
「持分の譲渡」と「共有物の分割」は別の話です。分割しない約束がある場合でも、持分の譲渡は自由にできます。
令和8年(2026年):宅建試験・過去問
- 問1
- 所有者不明土地・管理不全土地
- 問2
- 賃貸借
- 問3
- 共有
- 問4
- 相続(法定相続分)
- 問5
- 契約の終了
- 問6
- 売買契約・賃貸借契約
- 問7
- 代理
- 問8
- 売買契約
- 問9
- 法定地上権
- 問10
- 契約総合
- 問11
- 借地権
- 問12
- 建物賃貸借
- 問13
- 区分所有法
- 問14
- 不動産登記法
- 問15
- 都市計画法
- 問16
- 都市計画法・開発許可
- 問17
- 建築基準法
- 問18
- 建築基準法
- 問19
- 盛土規制法
- 問20
- 土地区画整理法
- 問21
- 農地法
- 問22
- 国土利用計画法
- 問23
- 贈与税(住宅取得等資金の非課税特例)
- 問24
- 不動産取得税
- 問25
- 地価公示法
- 問26
- 広告
- 問27
- 監督処分・罰則
- 問28
- 宅建士
- 問29
- 媒介契約
- 問30
- 営業保証金
- 問31
- 宅地・宅建業の定義
- 問32
- 犯罪収益移転防止法
- 問33
- 専任の宅建士
- 問34
- 重要事項説明・35条書面
- 問35
- 報酬計算(売買)
- 問36
- 重要事項説明
- 問37
- 報酬計算(貸借)
- 問38
- 37条書面
- 問39
- 業務上の規制
- 問40
- 業務上の規制
- 問41
- 届出
- 問42
- クーリングオフ
- 問43
- 重要事項説明
- 問44
- 案内所等の規制
- 問45
- 住宅瑕疵担保履行法
- 問46
- 住宅金融支援機構
- 問47
- 不当景品類及び不当表示防止法
- 問48
- 統計
- 問49
- 土地
- 問50
- 建物






