建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1.集会の招集については、会議の日時、会議の場所、会議の目的たる事項及び議案の要領を示したうえで、少なくとも集会開催日の1週間前までに、各区分所有者に通知する必要がある。また、当該通知の期間については規約により伸長又は短縮が可能である。
2.共用部分の変更は集会において、出席しない区分所有者を含めたすべての区分所有者及びその議決権総数の各4分の3以上の多数による決議で決しなければならない。
3.建替え決議など区分所有権の処分を伴う集会の決議について、所在等不明区分所有者を裁判により母数から除外することが可能であり、当該決議に無関心で集会に出席しない区分所有者も決議の母数から除外することができる。
4.区分所有者が、国内に住所又は居所を有せず、又は有しないこととなる場合には、その専有部分及び共用部分の管理に関する事務を行わせるため、国内に住所又は居所を有する者のうちから国内管理人を選任することができるが、この国内管理人は保存行為のみでなく、専有部分の性質を変えない範囲内であれば、その利用又は改良を目的とする行為もすることができる。
1・・・ 誤り
「集会」とは、マンションの区分所有者が集まって、マンションの管理などについて話し合い、決議する会議のことを言います。管理組合の総会のことです。また、「区分所有者」とは、マンションの各部屋(専有部分)の持ち主のことを言います。
集会の招集の通知は、会日より少なくとも1週間前に、会議の目的たる事項と議案の要領を示して、各区分所有者に発しなければなりません(区分所有法35条1項)。「議案の要領」とは、何をどう決めたいのかという議案の中身をかんたんにまとめたもののことです。ここまでは問題文のとおりです。
誤っているのは後半です。令和8年4月1日に施行された改正区分所有法では、この1週間という期間は、規約で「伸長」することはできますが、「短縮」することはできなくなりました(区分所有法35条1項ただし書)。改正前は、規約で伸ばすことも縮めることもできた(伸縮できた)のですが、区分所有者が議案を検討する時間をしっかり確保するために、短くすることはできなくなったのです。ですので、「伸長又は短縮が可能」というのは誤りです。
改正前の知識のままだと間違えてしまうひっかけですので、しっかり押さえておきましょう。
2・・・ 誤り
「共用部分」とは、マンションの廊下、階段、エレベーター、外壁、屋上など、区分所有者のみんなで使う部分のことを言います。また、「共用部分の変更」とは、その形や効用(はたらき)を大きく変える工事のことを言います。たとえば、階段室をこわしてエレベーターを新しく設置するような工事です。
改正前の区分所有法では、共用部分の変更は、集会に出席しない人も含めた区分所有者全員と議決権総数の各4分の3以上の賛成が必要でした。しかし、令和8年4月1日施行の改正で、集会に出席した人の中での多数決に変わりました。
具体的には、区分所有者の過半数で、かつ議決権の過半数を持つ人が出席して(これを「定足数」と言います)、その出席した区分所有者とその議決権の各4分の3以上の賛成で決議します(区分所有法17条1項)。なお、書面や代理人で議決権を行使した人も出席者に数えます(区分所有法39条2項)。
集会に来ない無関心な人がいると、その人が反対したのと同じになってしまい、なかなか決議ができないという問題があったため、このように改正されました。ですので、「出席しない区分所有者を含めたすべての区分所有者」の4分の3以上とするのは誤りです。
3・・・ 誤り
前半は正しいです。「所在等不明区分所有者」とは、誰が持ち主か分からない、またはどこにいるのか分からない区分所有者のことを言います。改正区分所有法では、裁判所の裁判によって、こうした所在等不明区分所有者を決議の母数から除外することができるようになりました(区分所有法38条の2)。この制度は、建替え決議のような区分所有権の処分を伴う決議も含めて、すべての集会の決議に使うことができます。たとえば、100戸のマンションで5戸の持ち主が行方不明の場合、裁判を受ければ、残りの95戸だけで決議ができるようになります。
誤っているのは後半です。集会に出席しない無関心な区分所有者を母数から除外する、いわゆる「出席者多数決」は、普通決議や共用部分の変更などの決議には導入されましたが、建替え決議など区分所有権の処分を伴う決議には導入されていません。建替え決議は、今までどおり区分所有者全員とその議決権の各5分の4以上の多数で決議します(区分所有法62条1項)。建替えは自分の部屋を失うことにつながる重大なことなので、出席しなかったというだけで母数から外すことはしないのです。
行方不明の人は裁判で除外できるけれど、無関心な人は除外できない、という違いをしっかり押さえておきましょう。
4・・・ 正しい
「国内管理人」とは、マンションの区分所有者が外国に住んでいる場合に、その人の代わりに、日本国内で部屋や共用部分の管理に関する事務を行う人のことを言います。たとえば、海外に転勤した人や、日本のマンションを買った外国に住む人が、日本に住む知人や管理会社などを国内管理人に選ぶ、というイメージです。
令和8年4月1日施行の改正で新しくできた制度で、区分所有者は、国内に住所又は居所を有せず、又は有しないこととなる場合には、国内に住所又は居所を有する者の中から国内管理人を選任することができます(区分所有法6条の2第1項)。
国内管理人は、①保存行為、②専有部分の性質を変えない範囲内での利用又は改良を目的とする行為、③集会の招集の通知の受領、④集会での議決権の行使、⑤管理費などの支払いをする権限を持っています(区分所有法6条の2第2項)。保存行為とは、たとえば雨もりの修理のように、部屋の今の状態を守る行為のことです。ですので、保存行為だけでなく、利用や改良行為もすることができるという本肢は正しいです。
これまでは、外国に住んでいる区分所有者に連絡がとれず、管理費の支払いや集会の決議で困ることがありました。それを解消するための制度です。
令和8年(2026年):宅建試験・過去問
- 問1
- 所有者不明土地・管理不全土地
- 問2
- 賃貸借
- 問3
- 共有
- 問4
- 相続(法定相続分)
- 問5
- 契約の終了
- 問6
- 売買契約・賃貸借契約
- 問7
- 代理
- 問8
- 売買契約
- 問9
- 法定地上権
- 問10
- 契約総合
- 問11
- 借地権
- 問12
- 建物賃貸借
- 問13
- 区分所有法
- 問14
- 不動産登記法
- 問15
- 都市計画法
- 問16
- 都市計画法・開発許可
- 問17
- 建築基準法
- 問18
- 建築基準法
- 問19
- 盛土規制法
- 問20
- 土地区画整理法
- 問21
- 農地法
- 問22
- 国土利用計画法
- 問23
- 贈与税(住宅取得等資金の非課税特例)
- 問24
- 不動産取得税
- 問25
- 地価公示法
- 問26
- 広告
- 問27
- 監督処分・罰則
- 問28
- 宅建士
- 問29
- 媒介契約
- 問30
- 営業保証金
- 問31
- 宅地・宅建業の定義
- 問32
- 犯罪収益移転防止法
- 問33
- 専任の宅建士
- 問34
- 重要事項説明・35条書面
- 問35
- 報酬計算(売買)
- 問36
- 重要事項説明
- 問37
- 報酬計算(貸借)
- 問38
- 37条書面
- 問39
- 業務上の規制
- 問40
- 業務上の規制
- 問41
- 届出
- 問42
- クーリングオフ
- 問43
- 重要事項説明
- 問44
- 案内所等の規制
- 問45
- 住宅瑕疵担保履行法
- 問46
- 住宅金融支援機構
- 問47
- 不当景品類及び不当表示防止法
- 問48
- 統計
- 問49
- 土地
- 問50
- 建物






