宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではないBとの間で締結する建築工事完了前のマンション(代金3,000万円)の売買契約に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(35条以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
1.Aが手付金として200万円を受領しようとする場合、Aは、Bに対して書面で法第41条に定める手付金等の保全措置を講じないことを告げれば、当該手付金について保全措置を講じる必要はない。
2.Aが手付金を受領している場合、Bが契約の履行に着手する前であっても、Aは、契約を解除することについて正当な理由がなければ、手付金の倍額を償還して契約を解除することができない。
3.Aが150万円を手付金として受領し、さらに建築工事完了前に中間金として50万円を受領しようとする場合、Aは、手付金と中間金の合計額200万円について法第41条に定める手付金等の保全措置を講じれば、当該中間金を受領することができる。
4.Aが150万円を手付金として受領し、さらに建築工事完了前に中間金として500万円を受領しようとする場合、Aは、手付金と中間金の合計額650万円について法第41条に定める手付金等の保全措置を講じたとしても、当該中間金を受領することができない。
【答え:3】
1・・・誤り
まず、宅建業者Aが自ら売主であり、買主Bが宅建業者ではないので、8種制限が適用されます。 そして、建築工事完了前の物件なので、代金の5%(150万円)を超える手付金等を受領する場合、売主業者Aは保全措置が必要です。 よって、本問の場合、「売主業者Aが手付金として200万円を受領しようとする場合」なので、手付金を受領する前に保全措置が必要です。 つまり、「書面で手付金等の保全措置を講じないことを告げれば、当該手付金について保全措置を講じる必要はない」というのは誤りです。
2・・・誤り
売主が、手付解除ができるのは、買主Bが履行に着手する前であることが要件です。 「手付金の交付」は、買主Bが履行に着手したことにはなりません。 つまり、本問の状況では、売主業者Aは手付金の倍額を償還して契約を解除することができます。 よって、本問は「解除できない」となっているので誤りです。
3・・・正しい
選択肢1の通り、建築工事完了前の物件なので、代金の5%(150万円)を超える手付金等を受領する場合、売主業者Aは保全措置が必要です。 そして「Aが150万円を手付金として受領」する際は、150万円超ではないので、保全措置は不要です。 その後、中間金50万円を受領する場合、150万円を超えるので、中間金受領前に「手付金150万円と中間金50万円の合計金額200万円」について保全措置が必要です。 この保全措置を講じれば、中間金を受領できるので、正しいです。
4・・・誤り
考え方は選択肢3と同じです。 建築工事完了前の物件なので、代金の5%(150万円)を超える手付金等を受領する場合、売主業者Aは保全措置が必要です。 そして「Aが150万円を手付金として受領」する際は、150万円超ではないので、保全措置は不要です。 その後、中間金500万円を受領する場合、150万円を超えるので、中間金受領前に「手付金150万円と中間金500万円の合計金額650万円」について保全措置が必要です。 この保全措置を講じれば、中間金を受領できるので、「中間金を受領することができない」という記述は誤りです。
令和元年(平成31年)度(2019年)宅建試験・過去問
内容 | |
---|---|
問1 | 対抗関係 |
問2 | 意思表示 |
問3 | 売主の担保責任 |
問4 | 不法行為 |
問5 | 代理(判決文) |
問6 | 相続 |
問7 | 弁済 |
問8 | 請負 |
問9 | 時効 |
問10 | 抵当権 |
問11 | 借地権 |
問12 | 借家権 |
問13 | 区分所有法 |
問14 | 不動産登記法 |
問15 | 都市計画法 |
問16 | 都市計画法(開発許可) |
問17 | 建築基準法 |
問18 | 建築基準法 |
問19 | 宅地造成等規制法 |
問20 | 土地区画整理法 |
問21 | 農地法 |
問22 | 国土利用計画法 |
問23 | 所得税 |
問24 | 固定資産税 |
問25 | 地価公示法 |
問26 | 免許 |
問27 | 8種制限 |
問28 | 重要事項説明書(35条書面) |
問29 | 監督処分・罰則 |
問30 | 広告規制 |
問31 | 媒介契約 |
問32 | 報酬計算(空き家等の特例) |
問33 | 保証協会 |
問34 | 37条書面 |
問35 | 業務上の規制 |
問36 | 37条書面 |
問37 | 手付金等の保全措置 |
問38 | クーリング・オフ |
問39 | 重要事項説明書(35条書面) |
問40 | 業務上の規制 |
問41 | 重要事項説明書(35条書面) |
問42 | 宅地の定義 |
問43 | 免許の基準 |
問44 | 宅建士 |
問45 | 住宅瑕疵担保履行法 |
問46 | 住宅金融支援機構 |
問47 | 不当景品類及び不当表示防止法 |
問48 | 統計(省略) |
問49 | 土地 |
問50 | 建物 |