AがBに対してA所有の甲建物を令和4年7月1日に①売却した場合と②賃貸した場合についての次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1.①と②の契約が解除された場合、①ではBは甲建物を使用収益した利益をAに償還する必要があるのに対し、②では将来に向かって解除の効力が生じるのでAは解除までの期間の賃料をBに返還する必要はない。
2.①ではBはAの承諾を得ずにCに甲建物を賃貸することができ、②ではBはAの承諾を得なければ甲建物をCに転貸することはできない。
3.甲建物をDが不法占拠している場合、①ではBは甲建物の所有権移転登記を備えていなければ所有権をDに対抗できず、②ではBは甲建物につき賃借権の登記を備えていれば賃借権をDに対抗することができる。
4.①と②の契約締結後、甲建物の引渡し前に、甲建物がEの放火で全焼した場合、①ではBはAに対する売買代金の支払を拒むことができ、②ではBとAとの間の賃貸借契約は終了する。
1・・・正しい
契約が解除された場合、原則、契約は最初からなかったことになり、各当事者は、原状回復義務が生じます。。
①売買契約の場合
売主Aは、買主Bに対して、「代金に利息を付けて」返還し、買主Bは、売主Aに対して「使用収益した利益」を償還しなければなりません。よって、前半部分は正しいです。
②賃貸借契約の場合
賃貸借契約の解除は、一般的な解除と異なり、将来に向かってのみ効果を生じるので、貸主Aは賃料を返還する必要はありません。よって、後半部分も正しいです。
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2・・・正しい
①売買契約の場合
買主Bは、売買契約を締結することにより、甲建物の所有者となります。所有者なので、誰に賃貸しても、問題はないため、売主Aの承諾を得ずに、Cに甲建物を賃貸することができます。よって、前半部分は正しいです。
②賃貸借契約の場合
AがBに賃貸し、BがCに賃貸するということは、BはCに転貸をするということです。
転貸をする場合、賃借人Bは、賃貸人Aの承諾がなければ、転貸をすることはできないです。よって、後半部分も正しいです。
3・・・誤り
不法占拠者は、「第三者」に当たりません。そのため、登記がなくても、所有者や賃借人は、不法占拠者に所有権や賃借権を対抗することができます。
①売買契約の場合
所有者Bは、登記なくして、不法占拠者に対して、所有権を対抗することができます。よって、前半部分は誤りです。
②賃貸借契約の場合
賃借人Bは、登記なくして、不法占拠者に対して、賃借権を対抗することができます。よって、後半部分も誤りです。
4・・・正しい
契約締結後、甲建物の引渡し前に、甲建物がEの放火(当事者の責任ではない事由)で全焼した場合、いずれの場合も履行不能となります。
①売買契約の場合
当事者の責任ではない事由で目的物が滅失した場合、売主Aの引渡し債務は消滅し、買主Bは、売主への代金支払いを拒むことができます。よって、前半部分は正しいです。
②賃貸借契約の場合
賃貸借契約において、賃借物の全部が滅失した場合、賃借人Bは、使用収益することができなくなるため、賃貸借契約は当然に終了します。よって、後半部分も正しいです。
令和3年(2021年)12月試験分:宅建試験・過去問
- 問1
- 自力救済(判決文)
- 問2
- 相隣関係
- 問3
- 成年被後見人
- 問4
- 売買契約
- 問5
- 代理
- 問6
- 物権変動
- 問7
- 相続
- 問8
- 民法総合
- 問9
- 売買契約・賃貸借契約
- 問10
- 抵当権
- 問11
- 借地権
- 問12
- 借家権
- 問13
- 区分所有法
- 問14
- 不動産登記法
- 問15
- 都市計画法
- 問16
- 都市計画法(開発許可)
- 問17
- 建築基準法
- 問18
- 建築基準法
- 問19
- 宅地造成等規制法
- 問20
- 土地区画整理法
- 問21
- 農地法
- 問22
- 国土利用計画法
- 問23
- 登録免許税
- 問24
- 固定資産税
- 問25
- 地価公示法
- 問26
- 契約書面(37条書面)
- 問27
- 8種制限
- 問28
- 監督処分・罰則
- 問29
- 免許
- 問30
- 広告
- 問31
- 報酬
- 問32
- 保証協会
- 問33
- 媒介契約
- 問34
- 宅地・建物の定義
- 問35
- 重要事項説明書(35条書面)
- 問36
- 免許
- 問37
- 宅建士
- 問38
- 業務上の規制
- 問39
- 保証協会
- 問40
- 契約書面(37条書面)
- 問41
- 宅建士
- 問42
- 契約書面(37条書面)
- 問43
- クーリングオフ
- 問44
- 重要事項説明書(35条書面)
- 問45
- 住宅瑕疵担保履行法
- 問46
- 住宅金融支援機構
- 問47
- 不当景品類及び不当表示防止法
- 問48
- 統計
- 問49
- 土地
- 問50
- 建物