令和3年(2021年)12月試験・問4/宅建過去問

いずれも宅地建物取引業者ではない売主Aと買主Bとの間で令和4年7月1日に締結した売買契約に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1.BがAに対して手付を交付した場合、Aは、目的物を引き渡すまではいつでも、手付の倍額を現実に提供して売買契約を解除することができる。

2.売買契約の締結と同時に、Aが目的物を買い戻すことができる旨の特約をする場合、買戻しについての期間の合意をしなければ、買戻しの特約自体が無効となる。

3.Bが購入した目的物が第三者Cの所有物であり、Aが売買契約締結時点でそのことを知らなかった場合には、Aは損害を賠償せずに売買契約を解除することができる。

4.目的物の引渡しの時点で目的物が品質に関して契約の内容に適合しないことをAが知っていた場合には、当該不適合に関する請求権が消滅時効にかかっていない限り、BはAの担保責任を追及することができる。


【答え:4】

1.いずれも宅地建物取引業者ではない売主Aと買主Bとの間の売買契約について、BがAに対して手付を交付した場合、Aは、目的物を引き渡すまではいつでも、手付の倍額を現実に提供して売買契約を解除することができる。

1・・・誤り

買主から売主に手付が交付された場合、相手方が契約の履行に着手するまでは、買主は手付を放棄して、契約解除することができます。

一方、売主は手付の倍額を現実に提供することで契約解除することができます

本肢は、売主Aからの手付解除の話なので、買主Bが履行に着手する前であれば、手付の倍額を現実に提供して売買契約を解除することができます。

したがって、本肢の「Aは、目的物を引き渡すまではいつでも」というのは誤りです。

正しくは、「Aは、買主Bが履行に着手する前であれば」です。

 


2.いずれも宅地建物取引業者ではない売主Aと買主Bとの間の売買契約について、売買契約の締結と同時に、Aが目的物を買い戻すことができる旨の特約をする場合、買戻しについての期間の合意をしなければ、買戻しの特約自体が無効となる。

2・・・誤り

「売主Aが目的物を買い戻すことができる旨の特約」とは、売主Aが、買主Bに売り、その後、売主Aが、買主Bから、買い取る約束するものです。

そして、買戻しできる期間は、10年を超えることができません。そして、特約でこれより長い期間を定めたときは、その期間は、10年となります。

また、買戻しについて期間を定めなかったときは、5年以内に買戻しをしなければなりません。

本肢は、「期間の合意がない場合」5年以内に、売主Aは買い戻すことになります。

したがって、「買戻しについての期間の合意をしなければ、買戻しの特約自体が無効となる。」というのは誤りです。

 


3.いずれも宅地建物取引業者ではない売主Aと買主Bとの間の売買契約について、Bが購入した目的物が第三者Cの所有物であり、Aが売買契約締結時点でそのことを知らなかった場合には、Aは損害を賠償せずに売買契約を解除することができる。

3・・・誤り

他人物であっても、売買をすることができます(他人物売買も有効)。そして、他人物売買をした売主Aは、他人物の所有者Cから目的物を取得して、買主Bに移転登記をする義務を負います。

もし、買主Bに移転登記をすることができない場合、売主は債務不履行となり、損害賠償債務を負います。

これは、売主Aの善意・悪意は関係ありません。

よって、「Aは損害を賠償せずに」は誤りです。

もし、移転登記ができないのであれば、Aは売買契約を解除することができ、また、損害賠償もしなければなりません。

 


4.いずれも宅地建物取引業者ではない売主Aと買主Bとの間の売買契約について、目的物の引渡しの時点で目的物が品質に関して契約の内容に適合しないことをAが知っていた場合には、当該不適合に関する請求権が消滅時効にかかっていない限り、BはAの担保責任を追及することができる。

4・・・正しい

引渡した目的物の種類または品質に契約不適合がある場合、原則、買主が不適合を知ってから1年以内にその旨を売主に通知しなければ、売主に対して、担保責任を追及することができません。

ただし、例外として、売主が引渡しの時にその不適合を知り(悪意)、又は重大な過失によって知らなかったとき(重過失)は、上記通知をしなかったとしても、消滅時効期間内であれば、売主に対して担保責任を追及することができます

よって、本肢は正しいです。

※ 消滅時効期間は、「契約不適合を知ってから5年 」or「 引渡しから10年」の早い方です。

令和6年度 個別指導開講

令和3年(2021年)12月試験分:宅建試験・過去問

問1
自力救済(判決文)
問2
相隣関係
問3
成年被後見人
問4
売買契約
問5
代理
問6
物権変動
問7
相続
問8
民法総合
問9
売買契約・賃貸借契約
問10
抵当権
問11
借地権
問12
借家権
問13
区分所有法
問14
不動産登記法
問15
都市計画法
問16
都市計画法(開発許可)
問17
建築基準法
問18
建築基準法
問19
宅地造成等規制法
問20
土地区画整理法
問21
農地法
問22
国土利用計画法
問23
登録免許税
問24
固定資産税
問25
地価公示法
問26
契約書面(37条書面)
問27
8種制限
問28
監督処分・罰則
問29
免許
問30
広告
問31
報酬
問32
保証協会
問33
媒介契約
問34
宅地・建物の定義
問35
重要事項説明書(35条書面)
問36
免許
問37
宅建士
問38
業務上の規制
問39
保証協会
問40
契約書面(37条書面)
問41
宅建士
問42
契約書面(37条書面)
問43
クーリングオフ
問44
重要事項説明書(35条書面)
問45
住宅瑕疵担保履行法
問46
住宅金融支援機構
問47
不当景品類及び不当表示防止法
問48
統計
問49
土地
問50
建物

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