AとBとの間で令和2年7月1日に締結された売買契約に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、売買契約締結後、AがBに対し、錯誤による取消しができるものはどれか。
1.Aは、自己所有の自動車を100万円で売却するつもりであったが、重大な過失によりBに対し「10万円で売却する」と言ってしまい、Bが過失なく「Aは本当に10万円で売るつもりだ」と信じて購入を申し込み、AB間に売買契約が成立した場合
2.Aは、自己所有の時価100万円の壺を10万円程度であると思い込み、Bに対し「手元にお金がないので、10万円で売却したい」と言ったところ、BはAの言葉を信じ「それなら10万円で購入する」と言って、AB間に売買契約が成立した場合
3.Aは、自己所有の時価100万円の名匠の絵画を贋作だと思い込み、Bに対し「贋作であるので、10万円で売却する」と言ったところ、Bも同様に贋作だと思い込み「贋作なら10万円で購入する」と言って、AB間に売買契約が成立した場合
4.Aは、自己所有の腕時計を100万円で外国人Bに売却する際、当日の正しい為替レート(1ドル100円)を重大な過失により1ドル125円で計算して「8,000ドルで売却する」と言ってしまい、Aの錯誤について過失なく知らなかったBが「8,000ドルなら買いたい」と言って、AB間に売買契約が成立した場合
【答え:3】
1・・・錯誤取消しできない
表意者Aが錯誤取消しするためには、原則して、「重過失がない」ことが要件です。
例外的に、重過失があっても取消しできるのは、「①相手方Bが悪意もしくは重過失の場合」「②相手方Bも同一錯誤に陥った場合」です。
本問は①②に当たらないので、原則で考えると、表意者Aは重過失があるので、錯誤取消しできません!
2・・・錯誤取消しできない
表意者Aは、勘違いをして「売却したい」意思表示をしていますが、「思い込み」で勘違いをしているので「表意者Aは重過失」あります。
よって、選択肢1の通り、原則を考えると、表意者Aは重過失があるので、錯誤取消しできません!
この問題文は問題文の理解が難しいので個別指導で解説します。
3・・・錯誤取消しできる
表意者Aが錯誤取消しするためには、原則して、「重過失がない」ことが要件です。
例外的に、重過失があっても取消しできるのは、「①相手方Bが悪意もしくは重過失の場合」「②相手方Bも同一錯誤に陥った場合」です。
本肢は、表意者Aは、勘違いをして「売却する」意思表示をしていますが、「思い込み」で勘違いをしているので「表意者Aは重過失」あります。
ただし、相手方Bも同じ勘違いをしているので、例外の「②相手方Bも同一錯誤に陥った場合」に当たるので、表意者Aは錯誤取消しができます。
4・・・錯誤取消しできない
表意者Aが錯誤取消しするためには、原則して、「重過失がない」ことが要件です。
例外的に、重過失があっても取消しできるのは、「①相手方Bが悪意もしくは重過失の場合」「②相手方Bも同一錯誤に陥った場合」です。
本肢は、表意者Aは、勘違いをして「売却する」意思表示をしていますが、「表意者Aは重過失」あります。
一方、相手方Bは、Aの勘違いについて「善意無過失」です。よって、例外①に当たりません。 よって、表意者Aは錯誤取消しができないです。
この問題は実は少しややこしい問題で、問題文の理解が難しい内容です。 上記解説は、その部分を省略していますが、重要な部分なので、個別指導で解説します。
令和2年(2020年)10月試験分:宅建試験・過去問
- 問1
- 囲繞地と袋地
- 問2
- 保証
- 問3
- 契約の解除(判決文)
- 問4
- 賃貸借契約
- 問5
- 委任契約
- 問6
- 錯誤
- 問7
- 保証
- 問8
- 相続
- 問9
- 売買契約・贈与契約
- 問10
- 時効
- 問11
- 借地権
- 問12
- 借家権
- 問13
- 区分所有法
- 問14
- 不動産登記法
- 問15
- 都市計画法
- 問16
- 都市計画法(開発許可)
- 問17
- 建築基準法
- 問18
- 建築基準法
- 問19
- 宅地造成等規制法
- 問20
- 土地区画整理法
- 問21
- 農地法
- 問22
- 国土利用計画法
- 問23
- 印紙税
- 問24
- 不動産取得税
- 問25
- 不動産鑑定評価基準
- 問26
- 免許
- 問27
- 広告
- 問28
- 宅建士
- 問29
- 媒介契約
- 問30
- 報酬計算
- 問31
- 重要事項説明書(35条書面)
- 問32
- 8種制限
- 問33
- 37条書面
- 問34
- 宅建士
- 問35
- 営業保証金
- 問36
- 保証協会
- 問37
- 37条書面
- 問38
- 媒介契約
- 問39
- 業務上の規制
- 問40
- クーリングオフ
- 問41
- 重要事項説明書(35条書面)
- 問42
- 8種制限
- 問43
- 免許の基準
- 問44
- 重要事項説明書(35条書面)
- 問45
- 住宅瑕疵担保履行法
- 問46
- 住宅金融支援機構
- 問47
- 不当景品類及び不当表示防止法
- 問48
- 統計
- 問49
- 土地
- 問50
- 建物