宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではないBとの間で建物の売買契約を締結する場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
1.AB間の建物の売買契約において、Bが当該契約の履行に着手した後においては、Aは、契約の締結に際してBから受領した手付金の倍額をBに現実に提供したとしても、契約を解除することはできない。
2.AB間の建物の売買契約における「法第37条の2の規定に基づくクーリング・オフによる契約の解除の際に、当該契約の締結に際しAがBから受領した手付金は返還しない」旨の特約は有効である。
3.AB間の建物の割賦販売の契約において、Bからの賦払金が当初設定していた支払期日までに支払われなかった場合、Aは直ちに賦払金の支払の遅滞を理由として当該契約を解除することができる。
4.AB間で工事の完了前に当該工事に係る建物(代金5,000万円)の売買契約を締結する場合、Aは、法第41条に定める手付金等の保全措置を講じた後でなければ、Bから200万円の手付金を受領してはならない。
【答え:1】
1・・・正しい
手付解除のルールでは、「相手方が履行に着手したら、それ以後、手付解除はできない」としています。
本肢の場合、「買主Bが当該契約の履行に着手した後」なので、相手方である売主Aは、Bから受領した手付金の倍額をBに現実に提供したとしても、契約を解除(手付解除)することはできません。
よって、正しいです。
「履行に着手する」については個別指導で解説します!
2・・・誤り
クーリングオフによる解除が行われた場合、宅建業者は、受領した手付金その他の金銭を速やかに返還しなければなりません。
よって、本肢のように「クーリングオフによる解除の際に、宅建業者Aが手付金を返還しない」旨の特約は無効となります。
3・・・誤り
割賦販売において、買主が割賦金(分割のお金)の支払いをしない場合、売主業者は30日以上の期間を定めて書面で催告し、その間に履行されなければ、「契約解除」や「残代金の一括請求」ができます。
そして、これに反する特約は無効となります。
本肢は「支払期日までに支払われなかった場合、Aは直ちに賦払金の支払の遅滞を理由として当該契約を解除することができる」となっているので誤りです。
「直ちに」解除はできません。
4・・・誤り
工事完了前の物件(未完成物件)の場合、代金の5%を超える手付金等を受領する場合、事前に保全措置が必要です。
本肢の場合、5000万円の5%は250万円です。
よって、200万円の手付金を受領する場合、手付金等の保全措置は不要です。
よって、保全措置を講じた後でなくても200万円の手付金を受領できるので誤りです。
令和2年(2020年)10月試験分:宅建試験・過去問
- 問1
- 囲繞地と袋地
- 問2
- 保証
- 問3
- 契約の解除(判決文)
- 問4
- 賃貸借契約
- 問5
- 委任契約
- 問6
- 錯誤
- 問7
- 保証
- 問8
- 相続
- 問9
- 売買契約・贈与契約
- 問10
- 時効
- 問11
- 借地権
- 問12
- 借家権
- 問13
- 区分所有法
- 問14
- 不動産登記法
- 問15
- 都市計画法
- 問16
- 都市計画法(開発許可)
- 問17
- 建築基準法
- 問18
- 建築基準法
- 問19
- 宅地造成等規制法
- 問20
- 土地区画整理法
- 問21
- 農地法
- 問22
- 国土利用計画法
- 問23
- 印紙税
- 問24
- 不動産取得税
- 問25
- 不動産鑑定評価基準
- 問26
- 免許
- 問27
- 広告
- 問28
- 宅建士
- 問29
- 媒介契約
- 問30
- 報酬計算
- 問31
- 重要事項説明書(35条書面)
- 問32
- 8種制限
- 問33
- 37条書面
- 問34
- 宅建士
- 問35
- 営業保証金
- 問36
- 保証協会
- 問37
- 37条書面
- 問38
- 媒介契約
- 問39
- 業務上の規制
- 問40
- クーリングオフ
- 問41
- 重要事項説明書(35条書面)
- 問42
- 8種制限
- 問43
- 免許の基準
- 問44
- 重要事項説明書(35条書面)
- 問45
- 住宅瑕疵担保履行法
- 問46
- 住宅金融支援機構
- 問47
- 不当景品類及び不当表示防止法
- 問48
- 統計
- 問49
- 土地
- 問50
- 建物