時効の援用に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1.消滅時効完成後に主たる債務者が時効の利益を放棄した場合であっても、保証人は時効を援用することができる。
2.後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができる。
3.詐害行為の受益者は、債権者から詐害行為取消権を行使されている場合、当該債権者の有する被保全債権について、消滅時効を援用することができる。
4.債務者が時効の完成の事実を知らずに債務の承認をした場合、その後、債務者はその完成した消滅時効を援用することはできない。
【答え:2】
1・・・正しい
本問は難しい内容なので「消滅時効完成後に主たる債務者が時効の利益を放棄した場合であっても、保証人は時効を援用することができる」とそのまま覚えてもらって大丈夫です!
2・・・誤り
例えば、1番抵当権者(先順位抵当権者)と2番抵当権者(後順位抵当権者)がいたとします。
そして、1番抵当権者の被担保債権の時効が完成した場合、2番抵当権者が、「1番抵当権者の被担保債権の時効が完成したから消滅させてください!」と主張できるか?が本肢の質問内容です。
そして、結論は、上記のように主張することはできません。
=2番抵当権者は1番抵当権者の被担保債権の時効を援用できない
その理由は「2番抵当権者(後順位抵当権者)」は直接利益を受ける者ではなく、反射的利益(間接的に利益)を受けているにすぎないからと判例では言っています。
しかし、分かりづらいのでここは、上記具体例と結論だけ覚えれば大丈夫です!
個別指導では、被担保債権まで細かく解説しています!
3・・・正しい
詐害行為の受益者は、債権者の被保全債権が時効消滅することで、「受益者と債務者間の契約を取り消されない」という利益を直接受けるため、詐害行為の受益者は、債権者の有する被保全債権について、消滅時効を援用することができます。
したがって、正しいです。
本問は「詐害行為」「詐害行為取消権」「被保全債権」等の知識が必要なので、個別指導では、一つの具体例を使ってすべて理解できるように解説いたします!
4・・・正しい
例えば、債権者Aが債務者Bにお金を貸し、なんの時効中断の行為を行わずに、一定期間(例えば10年)経過したとします。
この場合、債権者Aの債権の時効は完成します。
したがって、債務者Bは、時効を援用すれば(=時効が完成したので、債権債務を消滅させます!と主張することをすれば)、AとBの債権債務は消滅します。
それをせずに、債務者Bが「債務があることを認めます!」といった承諾書にサインなどすると、債務を承認したことになり、その後、完成していた時効を援用することはできません。
したがって、〇です。
ちなみに、これを一ひねりする問題が想定できるので、個別指導では、その関連問題についても一緒に解説します!
関連問題を一緒に勉強することで頭が整理させるので効率的に勉強できるわけです!
平成30年度(2018年)宅建試験・過去問
- 問1
- 意思表示
- 問2
- 代理
- 問3
- 停止条件
- 問4
- 時効
- 問5
- 事務管理
- 問6
- 法定地上権
- 問7
- 債権譲渡
- 問8
- 賃貸借(判決文)
- 問9
- 相殺
- 問10
- 相続
- 問11
- 借地権
- 問12
- 借家権
- 問13
- 区分所有法
- 問14
- 不動産登記法
- 問15
- 国土利用計画法
- 問16
- 都市計画法
- 問17
- 都市計画法(開発許可)
- 問18
- 建築基準法
- 問19
- 建築基準法
- 問20
- 宅地造成等規制法
- 問21
- 土地区画整理法
- 問22
- 農地法
- 問23
- 登録免許税
- 問24
- 不動産取得税
- 問25
- 不動産鑑定評価基準
- 問26
- 広告
- 問27
- 建物状況調査
- 問28
- 業務上の規制
- 問29
- 8種制限
- 問30
- 報酬
- 問31
- 報酬計算(空き家等の特例)
- 問32
- 監督処分
- 問33
- 媒介契約
- 問34
- 37条書面
- 問35
- 35条書面
- 問36
- 免許
- 問37
- クーリングオフ
- 問38
- 手付金等の保全措置
- 問39
- 35条書面
- 問40
- 業務の規制
- 問41
- 免許の要否
- 問42
- 宅建士
- 問43
- 営業保証金
- 問44
- 保証協会
- 問45
- 住宅瑕疵担保履行法
- 問46
- 住宅金融支援機構
- 問47
- 不当景品類及び不当表示防止法
- 問48
- 統計
- 問49
- 土地
- 問50
- 建物