宅建業法26条|営業保証金の供託方法と具体例をわかりやすく解説

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令和7年度の宅建試験対策の個別指導

宅建業法第26条(事務所新設の場合の営業保証金)

  1. 宅地建物取引業者は、事業の開始後新たに事務所を設置したとき(第七条第一項各号の一に該当する場合において事務所の増設があつたときを含むものとする。)は、当該事務所につき前条第二項の政令で定める額の営業保証金を供託しなければならない。
  2. 前条第一項及び第三項から第五項までの規定は、前項の規定により供託する場合に準用する。

    営業保証金とは?

    宅地建物取引業(宅建業)を行うには、営業保証金を法務局に供託(あずけること)する必要があります。これは、消費者が宅建業者と取引を行った際に損害を被った場合、その保証として使われる資金です。

    例えば、不動産会社Aが宅地を販売したものの、売買契約後に契約不履行を起こしてしまった場合、購入者は営業保証金から賠償を受けることができます。

    宅建業法第26条のポイント

    第26条では、「宅建業者が新しく事務所を開設する場合」に関する営業保証金の供託義務を定めています。

    簡単に言うと、会社を設立して宅建業を開始するときだけでなく、既存の会社が新たに事務所を増やす場合もその新しい事務所のために、追加で営業保証金を供託しなければならないということです。

    具体例1:新規開業

    田中さんは、新しく「田中不動産株式会社」を設立し、東京都内に本店を構えました。宅建業の免許を取得した後、営業を開始する前に、法務局に営業保証金を供託しました。

    具体例2:支店の開設

    田中不動産株式会社が、事業拡大のために大阪に支店を開設しました。この場合も、新しく開設する事務所(大阪支店)のために、営業保証金を追加で供託する必要があります。

    施行規則における営業保証金の供託方法

    宅建業法第26条第2項では、「前条第一項及び第三項から第五項までの規定を準用する」と記載されています。

    つまり、第25条の規定(営業保証金の供託に関するルール)が、新しく開設する事務所にも適用されることになります。

    また、施行規則第15条および第15条の2では、供託する営業保証金として認められる「有価証券」について定めています。(施行規則第15条および第15条の2の条文は覚えなくてもよい)

    供託できる有価証券の種類

    以下の有価証券を営業保証金の代わりとして供託することができます。

    • 国債証券:額面金額(額面通りの金額)で評価される。
    • 地方債証券や政府保証債額面金額の90%として計算。
    • 国土交通大臣が指定する債券額面金額の80%として計算。

    国土交通大臣が指定する債券には、「社債(企業が発行する債券)」「金融機関発行の債券(銀行や信用金庫などが発行)」「証券取引所で取引される公社債(公共団体や企業が発行するもの)」が含まれてます。

    供託すべき金額

    新しく増設(新設)する事務所は、支店(従たる事務所)に当たるので、1支店あたり500万円です。

    注意点

    その支店で宅建業を営まない場合、その支店は、宅建業法上「従たる事務所」に当たらないので、供託不要です。

    供託先

    供託する場所は、主たる事務所(本店)最寄りの供託所です。

    注意点

    支店最寄りの供託所ではないので注意しましょう!

    事務所を増設する宅建業者は、「供託申請書と必要書類(登記事項証明書、印鑑証明書など)」を準備して本店最寄りの供託所に供託します。

    供託証明書の取得と免許権者への届出

    供託が完了すると、法務局から供託証明書が発行されます。宅建業者はこの供託証明書を添えて、宅建業の免許権者(知事または国土交通大臣)へ届け出ます。これで、宅建業者は増設した支店で宅建業を営むことができるようになります。

    具体例

    東京都知事免許の田中不動産株式会社は、新たに東京都立川市に支店を開設。営業保証金500万円を東京法務局に供託し、供託証明書を取得。これをもとに東京都知事へ届出を行った。

    事務所増設後、供託しないとどうなる?

    もし、新たに開設した事務所について、適切に営業保証金を供託しなかった場合、宅建業者はその事務所では、宅建業を行うことができません。

    ①追加の営業保証金を供託をして、免許権者に「供託した旨の届出」をして、その事務所で業務を開始できます。

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