宅建業者が事業を継続できなくなった場合には、一定の手続きを行う必要があります。これは宅建業法第11条に定められており、具体的には、宅建業者が廃業したり、法人が解散したり、破産したりした場合などに、国土交通大臣または都道府県知事に届け出ることが義務付けられています。
この規定は、不動産取引の安全性を確保し、宅建業者の適正な管理を目的としています。例えば、廃業した業者が無届けのまま放置されると、消費者がその業者と取引をしようとしても連絡が取れず、トラブルになる可能性があります。そのため、宅建業法第11条では、業者が事業を継続できなくなった際の手続きを定めています。
廃業等の届出が必要なケースと届出義務者
宅建業法第11条第1項では、宅建業者が以下のいずれかの状況になった場合、その立場に応じた者が届出を行わなければならないと規定されています。
ケース | 届出義務者 |
---|---|
宅建業者が死亡した場合 | 相続人 |
法人が合併により消滅した場合 | |
宅建業者が破産手続開始の決定を受けた場合 | 破産管財人 |
法人が合併および破産以外の理由で解散した場合 | 清算人 |
宅建業を廃止した場合(個人事業主・法人含む) | 宅建業者本人(個人)または法人の代表者 |
届出期限
これらのケースに該当した場合、該当者は「その事実が発生した日」または「その事実を知った日」から 30日以内 に、免許を受けた 国土交通大臣または都道府県知事 に届出をしなければなりません。
個人事業主が亡くなった場合宅地建物取引業を営んでいたAさんが亡くなった場合、その相続人(例えばAさんの息子Bさん)は、Aさんの宅建業が継続できないことを30日以内に届出る必要があります。
法人が合併した場合宅建業を営む「XYZ株式会社」が他の会社と合併し、XYZ株式会社が消滅した場合、合併前のXYZ株式会社を代表していた役員が届出を行わなければなりません。
破産した場合宅建業を営む「ABC不動産」が経営破綻し、裁判所から破産手続開始決定を受けた場合、その会社の破産管財人が届出を行うことになります。
届出があった場合の免許の扱い
宅建業法第11条第2項では、「前項の第3号(破産)、第4号(解散)、第5号(廃業)の場合には、免許の効力を失う」と定められています。
つまり、
- 破産手続開始の決定
- 法人の解散
- 宅建業の廃業
これらの場合、届出があった時点で宅建業の免許は自動的に失効し、宅建業を営むことができなくなります。
宅建業者「DEF不動産」が業績不振により宅建業を廃止し、代表取締役が届出を行った。この届出が受理されると、DEF不動産の免許は失効し、宅建業としての営業はできなくなる。
法人「GHIハウジング」が業務整理のため解散を決定し、清算人が届出を行った。この場合も、GHIハウジングの免許は失効する。
届出の手続き方法(施行規則第5条の5)
届出は 「廃業等届出書」(別記様式第三号の五)を使用して行います。この届出書には、
- 事業者名
- 届出義務者の氏名・役職
- 届出理由(死亡、合併、破産、解散、廃業)
- 免許番号
- 届出日
などの情報を記入し、国土交通大臣または都道府県知事に提出します。
Aさん(個人事業主)が宅建業を廃業した場合、Aさん自身が「廃業等届出書」を作成し、宅建業の免許を受けた都道府県庁に提出する。
B株式会社が宅建業を廃業した場合、その代表取締役が「廃業等届出書」を提出する。
まとめ
宅建業法第11条は、宅建業者が 死亡・合併・破産・解散・廃業 した際に、届出を義務付ける規定です。この届出は、消費者保護や取引の安全性を確保するために重要なルールとなっています。
特に 届出期限(30日以内) や 免許の失効 については、試験でも問われるポイントなのでしっかり理解しておきましょう。
また、届出を怠ると宅建業法違反となり、行政処分の対象となる可能性もあるため、実務上でも重要な手続きです。
このように、宅建業者が事業を継続できなくなった場合には、迅速な届出が求められます。実際の試験では、「どのケースで誰が届出をするのか」「届出をしなかった場合どうなるのか」などが問われることが多いので、具体例を交えて理解を深めておきましょう!
