宅建業法18条|宅建士の登録要件と欠格事由を分かりやすく解説!

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令和7年度の宅建試験対策の個別指導

宅地建物取引士の登録とは?

宅地建物取引士(以下「宅建士」)として活動するためには、試験に合格するだけではなく、都道府県知事の登録を受ける必要があります。この登録を受けることで、正式に宅建士として業務を行うことができるようになります。

登録の要件

宅建士の登録を受けるためには、以下の2つの条件を満たす必要があります。

  1. 宅建試験に合格していること
  2. 2年以上の実務経験があること、またはそれと同等以上の能力があると認められること

ここでいう「実務経験」とは、宅建業者として、または宅建業者のもとで行う業務のことを指します。具体的には以下のような業務が該当します。

✅ 不動産の売買・賃貸に関する契約手続き

✅ 物件調査、重要事項説明

✅ 顧客との交渉

一方で、受付業務や事務作業(経理・総務・秘書など)は実務経験として認められません。

実務経験がない場合の対応策

「またはそれと同等以上の能力があると認められること」と書いてある通り、実務経験が2年以上ない場合でも、以下のいずれかに該当することで、登録を受けることが可能です。

1.登録実務講習の修了

「登録実務講習」という国土交通大臣が認めた講習を受講し、修了すれば、実務経験がなくても登録が可能になります。

 

📌 具体例

Aさんは宅建試験に合格したものの、不動産業界での勤務経験がありません。そこで、登録実務講習を受け、修了証を取得しました。その結果、宅建士として登録できるようになりました。

 

2.公的機関での業務経験

国・地方公共団体、またはそれらの出資法人で、宅地や建物の取引業務に2年以上従事していた場合も、実務経験と同等と認められます。

 

📌 具体例

Bさんは市役所の都市開発課で、公共用地の売買に関わる業務を3年間担当していました。そのため、宅建業者での経験はないものの、宅建士の登録要件を満たしました。

 

宅建士の登録の流れ

宅建士の登録を受けるためには、試験を受けた都道府県知事に対して申請を行います。

提出書類

📌 個人の場合

  • 住民票の写し
  • 略歴書
  • 登録実務講習の修了証(該当者のみ)

📌 法人の場合

  • 定款、登記事項証明書
  • 株主名簿または社員名簿
  • 役員の略歴書

登録が完了すると、宅地建物取引士資格登録簿に登録情報が記載され、正式に宅建士として活動できるようになります。

登録ができないケース(欠格事由)

以下に該当する場合は、宅建士の登録ができません。

成年者と同一の行為能力を有しない未成年者(民法改正の影響)

従来、未成年者は「法定代理人の同意がなければ有効な契約ができない」という制限があり、宅建士としての適正な業務遂行が困難と考えられていました。しかし、2022年の民法改正により成年年齢が18歳に引き下げられたため、18歳以上であれば宅建士になることが可能です。

ただし、未成年でも以下のような場合は成年者と同じ扱いになり、宅建士になれます。

  • 会社の代表取締役や個人事業主として営業をしている場合(商法上の「成年擬制」)
  • 親権者や未成年後見人から「同意」されている場合

破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者

破産手続が開始されると、財産の管理処分権を失い、自分の財産を自由に処分することができません。この状態では宅建士として適正な業務遂行が困難と判断されます。
ただし、「復権」を得れば、宅建士になることが可能です。復権とは、破産者が法的に制限されていた権利を回復する手続きのことです。

宅建業の免許を取り消され、その取消しの日から5年経過していない者

下記のような重大な違反を犯した者で宅建業の免許が取り消された者は、再び宅建士となることを制限されます。具体的な違反例としては、以下のようなケースがあります。

  • 不正な手段で宅建業の免許を取得
  • 業務停止処分を受けた後も違反行為を継続
  • 重要事項説明の義務違反
  • 詐欺的な行為による取引の実施

また、免許取消処分を受けた法人の役員で、聴聞の期日及び場所の公示の日前60日以内にその法人の役員であった者も免許取消しから5年間は宅建士になることができません。

 免許取消処分の公示後に廃業届を出した者

免許の取消処分の聴聞の期日及び場所が公示された日から、当該処分をする日または処分をしないことを決定する日までの間に宅建業の廃止届を提出し、5年経過しない者は宅建士になることができません。

免許取消処分が確定する前に「廃業届」を出すことで処分を逃れようとする者がいます。このような不正を防ぐため、廃業届を出しても5年間は宅建士になれません。ただし、「相当の理由」がある場合(例えば健康上の理由で事業をやめた場合)を除きます。

第五条第一項第四号に該当する者

宅建業法第5条第1項第4号には「免許を受けられない者」の規定があります。この規定に該当する者は、当然ながら宅建士にもなれません。

具体的には、以下のような者が該当します。

  • 法人でその役員が宅建業法に違反して処分を受けた
  • 宅建業に関して不正行為を行った

拘禁刑以上の刑を受けて5年経過していない者

拘禁系以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者は、宅建士にもなれません。

刑法上、「拘禁以上の刑」とは、以前の「禁錮刑」「懲役刑」および「死刑」を指します。罰金刑ではないため、比較的重い犯罪に該当するケースです。

具体的には、次のような犯罪を犯した者が該当します。

  • 詐欺罪
  • 業務上横領罪
  • 贈収賄罪
  • 脱税などの経済犯罪

ただし、刑の執行を終えた日から5年が経過すれば、宅建士になることが可能です。

宅建業法や暴力団関係の法律違反による罰金刑を受け、その執行を終えてから5年経過していない者

宅建業法違反や一定の刑法、暴力団関係の法律に違反し、罰金刑を受けた者は5年間宅建士になれません。罰金刑で欠格となる法律は下記の通りです。

刑法

  • 暴行罪(第204条)
  • 傷害罪(第206条)
  • 脅迫罪(第222条)
  • 強要罪(第223条)
  • 詐欺罪(第246条)
  • 横領罪(第252条)
  • 背任罪(第247条)

暴力行為等処罰法

  • 集団的暴行等の罪(第1条)
  • 凶器準備集合罪(第1条の2)
  • 指揮者責任による罪(第1条の3)

 暴力団員等

宅建業界の適正な運営を守るため、暴力団員やそれに準じる者は宅建士になれません。
暴力団員でなくなったとしても、その後5年間は欠格事由に該当します。

宅建士の登録を消除され、5年経過していない者

宅建士の資格登録を取り消されるような重大な違反をした者は、再び宅建士になれるまで5年間の制限があります。

事務禁止期間中に登録を消除された者

宅建士として事務禁止処分を受けた者は、登録を消除されてもその期間が満了するまでは宅建士になれません。

心身の故障により業務遂行が困難な者

「心身の故障により宅建士の事務を適正に行うことができない者」とは、精神の機能の障害により宅地建物取引士の事務を適正に行うに当たつて必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者をいいます。

宅建士は重要な契約の説明を行う仕事であり、精神疾患や認知症などにより適切な業務ができない場合は、宅建士になれません。具体的な判断基準は国土交通省令で定められています。

まとめ

✅ 宅建士として活動するには、試験合格に加えて「登録」が必要

✅ 2年以上の実務経験が必要だが、「登録実務講習」の修了で代替可能

✅ 欠格事由に該当する場合は登録不可

宅建業法第18条は、単に資格を取得するだけでなく、「実際に宅建士として業務を行うための条件」を定めています。試験に合格しただけでは登録ができない点をしっかり理解し、必要な手続きを進めましょう。

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