宅建業法22条の2条|宅建士証の申請・有効期限・移転・再交付の流れ

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令和7年度の宅建試験対策の個別指導

宅地建物取引士証とは?

宅地建物取引士(以下「宅建士」)は、宅建業務を行うために必要な資格です。しかし、試験に合格しただけでは正式に宅建士として活動できません。都道府県知事から「宅地建物取引士証(以下「宅建士証」)」の交付を受ける必要があります。

例えば、不動産会社で勤務するAさんが宅建試験に合格しても、宅建士証がないと重要事項説明などの業務を行うことができません。この宅建士証が「宅建士であることの証明書」となるのです。

宅建士証の交付申請(第22条の2 第1項)

試験に合格した者は、登録を行っている都道府県知事に対して宅建士証の交付を申請することができます。登録を行った都道府県で申請をしなければならないため、例えば東京都で登録している人は大阪府の知事に申請することはできません。

具体的な流れ

  1. 申請者は登録している都道府県知事に申請書を提出
  2. 都道府県知事が必要な確認を行う。
  3. 問題がなければ、宅建士証が交付される。

交付前の講習受講義務(第22条の2 第2項)

宅建士証の交付を受けるためには、申請前6ヶ月以内知事指定の講習を受講する必要があります。

ただし、例外として以下の場合は講習を受ける必要がありません

  1. 試験合格後1年以内に宅建士証を申請する場合
  2. 登録移転による宅建士証の交付の場合
具体例

  • 2024年10月に試験に合格したBさんが、2025年3月に宅建士証を申請する場合、講習を受ける必要はありません(試験合格後1年以内)。
  • 一方、2022年に試験に合格したが、宅建士証を取得せずにいたCさんが2025年に申請する場合、講習を受講しなければなりません。

宅建士証の有効期間(第22条の2 第3項)

宅建士証の有効期間 5年間 です。

5年が経過すると、再交付の手続きをしなければ宅建士証は失効します。

具体例
例えば、2025年4月1日に交付された宅建士証は2030年3月31日まで有効です。更新を忘れると、宅建士としての業務ができなくなるため注意が必要です。

登録の移転と宅建士証の無効(第22条の2 第4項・第5項)

宅建士が登録を他の都道府県に移転すると、以前の都道府県で交付された宅建士証は 無効 となります。新しい都道府県で新たな宅建士証が交付されますが、有効期間は元の宅建士証の残存期間と同じになります。

具体例
東京都で2023年6月に宅建士証を取得し、有効期限が2028年6月だったDさんが2025年に大阪府へ登録を移転すると、新しい宅建士証は 2028年6月まで有効 となります。

宅建士証の返納義務(第22条の2 第6項~第8項)

以下のいずれかの場合、宅建士証を速やかに都道府県知事に返納しなければなりません。

  • 登録が消除されたとき(第6項)
    例えば、宅建士が死亡した場合や、登録を抹消した場合。
  • 事務禁止処分を受けたとき(第7項)
    宅建士が違法行為を行い、事務禁止の処分を受けた場合。

事務禁止処分を受けた場合、処分期間が終了し、知事に対して返還請求をすれば、宅建士証は返還されます(第8項)。
※ 知事に対して返還請求をしないと宅建士証は返ってきません

具体例
Eさんが業務停止処分(6ヶ月)を受けた場合、その間は宅建士証を都道府県知事に提出しなければなりません。6ヶ月経過後に請求すれば、宅建士証が戻ってきます。

宅建士証の申請手続き(施行規則第14条の10)

宅建士証の申請には、以下の事項を記載した 「宅地建物取引士証交付申請書」 を提出します。

  • 申請者の氏名・生年月日・住所
  • 登録番号
  • 勤務先の宅建業者の名称・免許証番号(勤務している場合)
  • 試験合格後1年以上経過しているかどうか

また、 6ヶ月以内に撮影した写真(無帽・正面・無背景) を添付する必要があります。

宅建士証の記載事項(施行規則第14条の11)

宅建士証には、以下の情報が記載されます。

  • 宅建士の 氏名・生年月日・住所
  • 登録番号と登録年月日
  • 宅建士証の交付年月日
  • 有効期間の満了日

また、希望者は 旧姓を併記 することができます。ただし、 旧姓と現姓を使い分けることは禁止 されています。

具体例
旧姓「田中」から現姓「佐藤」に変わったFさんが希望すれば、「佐藤(田中)」と記載することが可能です。

宅建士証の書換え・再交付(施行規則第14条の13~15)

氏名や住所が変更 された場合 → 宅建士証の書換え申請が必要(義務)。

紛失・汚損・破損 した場合 → 再交付申請が可能(任意)。

また、宅建士証の有効期間が近づいた場合、交付の申請前6か月以内に行われる知事指定の講習を受講した上で新しい宅建士証を交付申請することで更新が可能 です(宅建業法第22条の3)。

宅建士証の提示(宅建業法第22条の4)

宅建士は、取引の関係者から請求があったときは、宅建士証を提示しなければなりません。

注意点

  • 取引関係者でない者から請求された場合、宅建士証の提示は不要
  • 取引関係者から請求がなければ宅建士証の提示は不要

宅建士証の提示と個人情報保護

宅建士証の提示に当たり、個人情報保護の観点から、宅建士証の住所欄にシールを貼ったうえで提示しても差し支えありません。ただし、シールは容易に剥がすことが可能なものとし、宅建士証を汚損しないよう注意をしましょう。

まとめ

  • 宅建士証は 宅建業務を行うための証明書。
  • 交付を受けるには 都道府県知事への申請と講習受講 が必要(例外あり)。
  • 有効期間は5年 で、更新を忘れると事務不可(重要事項説明や35条書面・37条書面への記名ができなくなる)。
  • 登録移転すると旧宅建士証は無効 になり、新しい都道府県で新しい宅建士証を交付。
  • 氏名又は住所の変更時には書換え交付申請必須
  • 紛失時には再交付申請可能

宅建士証は宅建業務において重要な資格証明書です。適切に管理し、必要な手続きを忘れないようにしましょう。

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