宅地建物取引業者A社は、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主B社と宅地の売買について交渉したところ、大筋の合意を得て、重要事項説明を翌日に行うこととした。しかし、重要事項説明の予定日の朝、A社の唯一の取引士である甲が交通事故に遭い、5日間入院することとなった。この場合におけるA社の行為に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものはどれか。
1 A社の代表者である乙は、取引士ではないが契約締結権限をもつ代表者であるため、 甲を代理してB社の代表者丙に対し、甲の宅地建物取引士証を提示した上、重要事項説明を行った。なお、乙は宅地建物取引業に30年間携わったベテランであったこともあり、説明の内容に落ち度はなかった。
2 A社の従業者である丁は、有効期間は満了しているが、宅地建物取引士証を持っていたため、丁がその宅地建物取引士証を提示した上、B社の代表者丙に重要事項説明を行った。
3 事情を知ったB社の代表者丙から、「自分も宅地建物取引業に長年携わっているので、重要事項説明は契約後でも構わない」という申出があったため、重要事項説明は契約締結後に退院した甲が行った。
4 事情を知ったB社と合意の上、A社は重要事項を記載した書面を交付するにとどめ、退院後、契約締結前に甲が重要事項説明を行った。
【答え:4】
1・・・違反する
重要事項の説明は、どんなことがあっても、取引士が行わなければなりません。つまり、説明に落ち度がなかったとしても、取引士以外の者が行えば宅地建物取引業法に違反します。
2・・・違反する
取引士証の有効期間が満了していれば、その人は取引士の業務を行えません。したがって、重要事項の説明を行えば宅地建物取引業法に違反します。
3・・・違反する
重要事項説明はどんなことがあっても、契約の前にしなければなりません。契約の前に物件に関する重要なことを話すから、意味があるのです。
4・・・違反しない
ここでのポイントは、“重要事項説明書は買主(借主)に交付しなければならない(交付自体は取引士でなくてもよい)”ことと“契約成立前に重要事項の説明を行うこと”です。
本肢は、書面の交付→説明→契約成立の順を取っており、宅地建物取引業法に違反しない。
平成23年度(2011年)宅建試験・過去問
内容 | |
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問1 | 詐欺、強迫 |
問2 | 停止条件 |
問3 | 共有 |
問4 | 根抵当権 |
問5 | 債権譲渡 |
問6 | 相殺 |
問7 | 転貸借 |
問8 | 契約関係 |
問9 | 契約不適合責任 |
問10 | 相続 |
問11 | 借地権 |
問12 | 借家権・一時使用 |
問13 | 区分所有法 |
問14 | 不動産登記法 |
問15 | 国土利用計画法 |
問16 | 都市計画法 |
問17 | 開発許可 |
問18 | 防火地域 |
問19 | 建築基準上全般 |
問20 | 宅地造成等規制法 |
問21 | 土地区画整理法 |
問22 | 農地法 |
問23 | 印紙税 |
問24 | 固定資産税 |
問25 | 地価公示 |
問26 | 宅地建物取引業の免許 |
問27 | 宅建業の欠格事由 |
問28 | 宅地建物取引業全般 |
問29 | 取引主任者の登録 |
問30 | 営業保証金 |
問31 | 媒介契約 |
問32 | 重要事項説明 |
問33 | 重要事項説明 |
問34 | 35条書面と37条書面 |
問35 | クーリングオフ |
問36 | 広告 |
問37 | 8種規制 総合 |
問38 | 手付金等の保全措置 |
問39 | 8種規制 総合 |
問40 | 報酬額の制限 |
問41 | 宅建業法 総合 |
問42 | 案内所 |
問43 | 宅地建物取引業保証協会 |
問44 | 監督処分 |
問45 | 住宅瑕疵担保履行法 |
問46 | 住宅金融支援機構 |
問47 | 不当景品類及び不当表示防止法 |
問48 | 統計 |
問49 | 土地 |
問50 | 建物 |