平成28年(2016年)問43/宅建過去問

宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBと建築工事完了前のマンション(代金3,000万円)の売買契約を締結した場合、宅地建物取引業法第41条の規定に基づく手付金等の保全措置(以下この問において「保全措置」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア Aが、Bから手付金600万円を受領する場合において、その手付金の保全措置を講じていないときは、Bは、この手付金の支払を拒否することができる。

イ Aが、保全措置を講じて、Bから手付金300万円を受領した場合、Bから媒介を依頼されていた宅地建物取引業者Cは、Bから媒介報酬を受領するに当たり、Aと同様、あらかじめ保全措置を講じなければ媒介報酬を受領することができない。

ウ Aは、Bから手付金150万円を保全措置を講じないで受領し、その後引渡し前に、中間金350万円を受領する場合は、すでに受領した手付金と中間金の合計額500万円について保全措置を講じなければならない。

エ Aは、保全措置を講じないで、Bから手付金150万円を受領した場合、その後、建築工事が完了しBに引き渡す前に中間金150万円を受領するときは、建物についてBへの所有権移転の登記がなされるまで、保全措置を講じる必要がない。

  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. 四つ

 

 

 

 

 

 

【答え:2】


ア Aが、Bから手付金600万円を受領する場合において、その手付金の保全措置を講じていないときは、Bは、この手付金の支払を拒否することができる。

ア・・・正しい

売主が宅建業者で買主が非宅建業者の場合、手付金等の保全措置のルールが適用されます。

未完成物件の場合、宅建業者が受領できる手付金等が、代金の5%または1000万円を超える場合に、保全措置が必要です。

本肢の場合、3000万円の5%=150万円

つまり、150万円を超える手付金や中間金を受領する前に保全措置が必要となるわけです。

したがって、本肢の場合、売主業者Aは600万円の手付金を受領する前に保全措置が必要です。

そして、保全措置が必要にもかかわらず、売主業者が保全措置を講じない場合、買主は手付金等の保全措置の交付を拒否してもよいです。

したがって、本肢は正しい記述です。


イ Aが、保全措置を講じて、Bから手付金300万円を受領した場合、Bから媒介を依頼されていた宅地建物取引業者Cは、Bから媒介報酬を受領するに当たり、Aと同様、あらかじめ保全措置を講じなければ媒介報酬を受領することができない。

イ・・・誤り

手付金等の保全措置のルールが適用されるのは売主業者であり、媒介業者は適用されません
したがって、保全措置を講じていなくても、売買契約が成立すれば報酬を請求・受領することができます。


ウ Aは、Bから手付金150万円を保全措置を講じないで受領し、その後引渡し前に、中間金350万円を受領する場合は、すでに受領した手付金と中間金の合計額500万円について保全措置を講じなければならない。

ウ・・・正しい

売主業者Aが受領するものは
手付金150万円
中間金350万円
です。

そして、売主業者Aが150万円を超える手付金や中間金を受領する前に保全措置が必要となります。つまり、手付金を受領する際は保全措置は不要で、その後中間金を受領する前に保全措置が必要です。
そして、保全措置を講じなければいけない金額は手付金や中間金等の合計なので500万円について保全措置が必要です。
したがって、本肢は正しいです。


エ Aは、保全措置を講じないで、Bから手付金150万円を受領した場合、その後、建築工事が完了しBに引き渡す前に中間金150万円を受領するときは、建物についてBへの所有権移転の登記がなされるまで、保全措置を講じる必要がない。

エ・・・誤り

売主業者Aが受領するものは
手付金150万円
中間金150万円
です。

そして、売主業者Aが150万円を超える手付金や中間金を受領する前に保全措置が必要となります。
ただし、例外として、買主への所有権移転登記を行った場合は保全措置は不要となります。

つまり、「建物についてBへの所有権移転の登記がなされるまで、保全措置を講じる必要がない。」というのは誤りです。
手付金+中間金が150万円を超えているので、中間金受領前に300万円について保全措置を講じる必要があります。

ちなみに、完成物件と未完成物件の判断は、契約締結時の状況で判断するので、契約締結時に未完成物件であれば、その後完成したとしても未完成物件として手付金等の保全措置のルールを適用します。

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平成28年度(2016年)宅建試験・過去問

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民法の条文
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賃貸借・使用者責任
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