制限行為能力者に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1.古着の仕入販売に関する営業を許された未成年者は、成年者と同一の行為能力を有するので、法定代理人の同意を得ないで、自己が居住するために建物を第三者から購入したとしても、その法定代理人は当該売買契約を取り消すことができない。
2.被保佐人が、不動産を売却する場合には、保佐人の同意が必要であるが、贈与の申し出を拒絶する場合には、保佐人の同意は不要である。
3.成年後見人が、成年被後見人に代わって、成年被後見人が居住している建物を売却する際、後見監督人がいる場合には、後見監督人の許可があれば足り、家庭裁判所の許可は不要である。
4.被補助人が、補助人の同意を得なければならない行為について、同意を得ていないにもかかわらず、詐術を用いて相手方に補助人の同意を得たと信じさせていたときは、被補助人は当該行為を取り消すことができない。
【答え:4】
1・・・誤り
本肢において法定代理人から営業許可を受けているのは「古着の仕入販売」に関してです。
したがって、「古着の仕入販売に関する営業」については、「成年者と同一の行為能力を有するもの」として扱います。
建物の購入については、通常の未成年者として扱うので、原則通り取り消しが可能です。
したがって、その法定代理人は当該売買契約を取り消すことができます。
2・・・誤り
被保佐人は、下記行為を行う場合、保佐人の同意が必要となります。
- 元本を領収し、又は利用する行為
- 借財又は保証をする行為
- 不動産、その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為(売却等)
- 訴訟行為
- 贈与、和解又は仲裁合意をすること
- 相続の承認もしくは放棄又は遺産の分割をすること
- 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること
- 新築、改築、増築又は大修繕をすること
- 山林を除く土地について5年を超える賃貸借、建物について3年を超える賃貸借をすること
等 - したがって、「不動産を売却する場合」も「贈与の申し出を拒絶する場合」も、保佐人の同意が必要です。
3・・・誤り
成年被後見人が居住する建物や敷地について、成年後見人が、成年被後見人に代わって「売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定などの処分」をする場合、家庭裁判所の許可を得なければなりません。
したがって、本肢は「家庭裁判所の許可は不要」となっているので誤りです。
4・・・正しい
原則、制限行為能力者が行った行為はあとで取り消しができますが、本肢のように
制限行為能力者が、行為能力者であると信じさせるために詐術を用いて契約した場合は、相手方を保護するために取り消すことはできないとしています。(例外的に取り消しできない)
平成28年度(2016年)宅建試験・過去問
- 問1
- 民法の条文
- 問2
- 制限行為能力者
- 問3
- 意思表示・対抗関係
- 問4
- 抵当権
- 問5
- 債権譲渡
- 問6
- 契約不適合責任
- 問7
- 賃貸借・使用者責任
- 問8
- 転貸借
- 問9
- 判決文
- 問10
- 相続
- 問11
- 借地権
- 問12
- 借家権
- 問13
- 区分所有法
- 問14
- 不動産登記法
- 問15
- 国土利用計画法
- 問16
- 都市計画法
- 問17
- 都市計画法
- 問18
- 建築基準法
- 問19
- 建築基準法
- 問20
- 宅地造成等規制法
- 問21
- 土地区画整理法
- 問22
- 農地法
- 問23
- 印紙税
- 問24
- 不動産取得税
- 問25
- 不動産鑑定評価基準
- 問26
- 監督処分
- 問27
- 媒介契約
- 問28
- 8種制限
- 問29
- 業務上の規制
- 問30
- 重要事項説明・37条書面
- 問31
- 保証協会
- 問32
- 広告の規制
- 問33
- 報酬
- 問34
- 業務上の規制
- 問35
- 免許
- 問36
- 重要事項説明
- 問37
- 免許の基準・免許換え
- 問38
- 宅地建物取引士
- 問39
- 35条書面・37条書面
- 問40
- 営業保証金
- 問41
- 業務上の規制
- 問42
- 37条書面
- 問43
- 8種制限
- 問44
- クーリングオフ
- 問45
- 住宅瑕疵担保履行法
- 問46
- 住宅金融支援機構
- 問47
- 不当景品類及び不当表示防止法
- 問48
- 統計
- 問49
- 土地
- 問50
- 建物