宅建業法第35条の2「供託所等に関する説明」について分かりやすく解説

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令和7年度の宅建試験対策の個別指導

宅地建物取引業者(以下「宅建業者」)は、不動産取引を行う際に一定の義務を負っています。その中の一つが「供託所等に関する説明義務」です。これは、宅建業者が営業保証金をどこに供託しているのか、あるいは保証協会に加入しているのかを契約前に説明しなければならないというものです。

この義務は、宅建業者と取引をする一般消費者が、万が一宅建業者とトラブルになった場合に、保証を受けるための仕組みを理解できるようにすることを目的としています。

宅建業者が説明すべき事項

宅建業者は、不動産の売買・交換・賃貸の契約を結ぶ前に、相手方(消費者)に対して以下の内容を説明しなければなりません。ただし、相手が別の宅建業者である場合は、この説明義務はありません。

営業保証金を供託している場合

宅建業者が「営業保証金」という形で資金を供託している場合、次の事項を説明する必要があります。

  1. 供託している供託所(法務局など)の名称
  2. 供託している供託所(法務局など)の所在地
具体例
たとえば、ある宅建業者A社が営業保証金を東京法務局に供託している場合、消費者には次のように説明する必要があります。
「当社は、営業保証金を東京法務局(千代田区霞が関○○)に供託しています。」この説明をすることで、万が一取引相手が損害を被った際に、消費者が保証金の返還請求をする際の窓口を知ることができます。

保証協会に加入している場合

宅建業者が「保証協会」に加入している場合、説明すべき事項は次のとおりです。

  1. 保証協会に加入していること
  2. 保証協会の名称
  3. 保証協会の所在地
  4. 保証協会が供託している供託所の名称と所在地

具体例
例えば、宅建業者B社が「全国宅地建物取引業保証協会」に加入しており、その供託所が大阪法務局だった場合、消費者には次のように説明する必要があります。

「当社は全国宅地建物取引業保証協会の会員であり、この協会の供託所は大阪法務局(大阪市中央区○○)にあります。」

この情報を伝えることで、消費者は保証協会の制度を利用できることを理解できるようになります。

供託所説明の目的と重要性

供託所の仕組みとは?

供託所とは、宅建業者が取引相手に対する保証金を預けている法務局などの機関のことです。供託所を利用することで、宅建業者と消費者の間で万が一トラブルが起こった際に、消費者は一定額の保証を受けることができます。

宅建業者には、以下のいずれかの方法で保証制度に加入する義務があります。

営業保証金を供託する方法

  • 1,000万円(主たる事務所)、500万円(従たる事務所)の保証金を供託所に預ける。
  • 供託したお金は、万が一消費者に損害を与えた場合に返還請求の対象となる。

保証協会に加入する方法

供託金の代わりに、保証協会に加入し、弁済業務保証金分担金を納付することで保証を受ける。

供託所の情報を説明する理由

  • 消費者が、万が一の際にどこに保証を請求できるのか知ることができる。
  • 宅建業者が適切な保証制度を利用していることを証明する。
  • トラブル時の対応方法を明確にすることで、不動産取引の安全性を高める。

実務上のポイント

説明方法

法律上、口頭で説明するだけでも問題ありませんが、実務では「重要事項説明書」に記載して説明するのが一般的です。なぜなら、後から「説明されていない」と言われた際の証拠になるからです。

実務例

重要事項説明書に「当社は〇〇供託所に営業保証金を供託しています」等を記載し、宅地建物取引士が説明し、消費者の署名をもらうのが一般的です。

供託制度のメリットとデメリット

供託制度のメリットとデメリット
営業保証金制度 保証協会制度
メリット 独自に保証金を供託しているため、信用度が高い 初期費用が安く抑えられる
デメリット 供託金の負担が大きい(1,000万円) 保証協会の規約に従う必要がある

試験対策ポイント

  • 供託所に関する説明義務があるのは、取引の相手方が消費者(宅建業者でない者)の場合のみ
  • 営業保証金を供託している場合は、供託所の名称・所在地を説明。
  • 保証協会に加入している場合は、社員である旨、協会の名称・所在地・供託所の名称・所在地を説明。
  • 法律上は口頭説明でもよいが、実務では重要事項説明書に記載するのが一般的。
  • 営業保証金制度と保証協会制度の違いを理解することが重要。
練習問題

宅地建物取引業者が宅地建物取引業者でない相手方と契約を締結する場合、供託所に関する説明として誤っているものを選びなさい。

  1. 営業保証金を供託している場合、その供託所の所在地を説明しなければならない。
  2. 宅建業者同士の取引でも供託所の説明は必要である。
  3. 保証協会に加入している場合、協会の名称と所在地を説明しなければならない。
  4. 供託所に関する説明は、重要事項説明書に記載することが望ましい。
正解:2(宅建業者同士の取引では説明義務なし)

まとめ

宅建業者は、営業保証金を供託しているか、保証協会に加入しているかを契約前に説明しなければなりません。これは消費者を保護するための重要な制度であり、試験でも頻繁に問われるテーマです。違いを理解し、実務上の流れをしっかり押さえておきましょう!

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