宅建業法第33条の趣旨
宅建業法第33条では、宅地や建物の売買や賃貸を行う宅建業者が広告を出す際のタイミングについて規定しています。この条文の趣旨は、消費者が不確実な情報に基づいて不利益を被ることを防ぐために、一定の許可や確認を受けた後でなければ広告を出せないようにすることです。
例えば、まだ工事が始まっていない土地や建物について「販売開始!」といった広告が出されると、実際に購入できる状態なのか、法的な許可が取れているのか分からず、トラブルにつながる可能性があります。そこで、必要な許可や確認を受けるまでは広告を制限するルールが設けられています。
宅建業法第33条(広告の開始時期の制限)
宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる都市計画法第29条第1項又は第2項の許可、建築基準法第6条第1項の確認その他法令に基づく許可等の処分で政令で定めるものがあった後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。
宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる都市計画法第29条第1項又は第2項の許可、建築基準法第6条第1項の確認その他法令に基づく許可等の処分で政令で定めるものがあった後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。
宅建業者が宅地や建物の広告を出すためには、一定の法的な許可を取得した後でなければならない というルールが設けられています。
具体的には、
- 都市計画法に基づく開発許可
- 建築基準法に基づく建築確認
- その他政令で定める許可(詳細は後述)
などの手続きを済ませている必要があります。
❌NGなケース:
- まだ開発許可を受けていない土地について、「大規模分譲地 販売開始!」と広告を出す。
- 建築確認を受ける前のマンションについて、チラシやインターネット広告を掲載する。
✅OKなケース:
- 都市計画法に基づく開発許可を受けた後で、分譲地の広告を開始する。
- 建築確認を取得し、建築計画が確定した段階でマンション販売の広告を出す。
施行令による詳細な規定
宅建業法第33条では、広告を出すために必要な「許可等」を政令で定めると規定しています。そのため、具体的な許可の種類は施行令第2条の5で細かく規定されています。
例えば、
- 都市計画法に基づく開発許可
- 建築基準法に基づく建築確認
- 生産緑地法や景観法に基づく許可
など、多くの法律が関係しています。
具体例
- ケース①: 住宅を建てるために農地を宅地に変更する場合 → 農地法の許可 が必要。
- ケース②: 大規模マンションを建設する際に特定の都市計画区域で建築する場合 → 都市計画法の開発許可 が必要。
- ケース③: 文化財の近くに建物を建設する場合 → 文化財保護法の許可 が必要。
これらの許可を受ける前に広告を出すことは、宅建業法違反となります。
施行規則による細かいルール
施行規則では、
- 「確認」には変更確認も含まれる
- 建築確認を受けた後、変更の確認を申請している期間でも当初の確認内容で広告を継続することは可能
- 変更の確認を申請している場合、変更の確認を受ける予定であることを広告に表示すれば変更内容を広告可能
- スケルトン・インフィルのマンションでは「具体的な間取りが決まった場合は変更の確認が必要」と表示すればOK
具体例
- マンションの間取り変更:
- もともと建築確認を受けた間取りと異なる場合、「変更確認を申請予定」と明記すれば広告可能。
- セレクトプラン(複数の間取りプランを提示する場合):
- 確認を受けていないプランについて「変更の確認が必要」と表示すればOK。
まとめ
宅建業法第33条のポイントを整理すると…
- 工事が完了する前に広告を出す場合は、一定の許可・確認が必要。
- 許可を受ける前に広告を出すと宅建業法違反になる。
- 変更の確認を受ける予定なら、その旨を広告に明記すればOK。
注意点
宅建試験では、「どのタイミングで広告が出せるか?」という点がよく問われます。
例えば、✅ 開発許可を受けた土地 → 広告OK❌ 開発許可を受ける前の土地 → 広告NG✅ 建築確認を受けた建物 → 広告OK
例えば、✅ 開発許可を受けた土地 → 広告OK❌ 開発許可を受ける前の土地 → 広告NG✅ 建築確認を受けた建物 → 広告OK
❌ 建築確認を受けていない建物 → 広告NG
これをしっかり理解して、問題を解く際の判断基準にしてください。
以上が宅建業法第33条の解説です。このルールは、消費者を守るために非常に重要な規定なので、しっかり押さえておきましょう。
