宅建業法9条|変更の届出義務と手続き・違反リスクを解説

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宅建業法第9条の概要

宅地建物取引業者(以下、宅建業者)は、業務を行う上で重要な事項(8条2項2号~6号)に変更があった場合、国土交通省令の定めに従い、30日以内免許権者(国土交通大臣または都道府県知事)に届け出る義務があります(宅建業法第9条)。

変更の届出が必要な事項(宅建業法第8条第2項第2号~第6号)

  1. 商号または名称
    例:「ABC不動産株式会社」「田中不動産」
  2. 法人の場合:役員(社長・取締役など)の氏名、および政令で定められた使用人の氏名
  3. 個人事業主の場合:事業主本人の氏名、および政令で定められた使用人の氏名
  4. 事務所の名称および所在地
    例:「ABC不動産株式会社 本社(東京都渋谷区○○町1-2-3)」
  5. 各事務所ごとに配置される専任の宅地建物取引士の氏名

変更の届出が必要な理由

宅建業者は、国土交通大臣または都道府県知事から免許を受けて業務を行っています。そのため、業務の重要な情報が変更された場合、適正な管理・監督を行うために、その変更を届け出る必要があります。

具体例
例えば、会社の代表者が交代した場合、新しい代表者が適切に業務を行えるかどうかを監督機関が確認する必要があります。また、事務所を移転した場合、顧客や関係者が適切に連絡を取れるようにするためにも、正しい情報を届け出ることが重要です。

変更の届出の流れ

変更の届出手続き

宅建業者は、変更があった場合、変更があった日から30日以内に「宅地建物取引業者名簿登載事項変更届出書」(施行規則第5条の3)を免許権者に提出する必要があります。

提出書類(必要に応じて添付するもの)

  • 変更届出書(様式第3号の4)
  • 法人の役員が変更した場合 → 新役員の登記事項証明書、住民票、誓約書(※)
  • 事務所を新設・移転した場合 → 新しい事務所の賃貸借契約書の写し、地図 など
  • 宅地建物取引士が変更した場合 → 取引士の資格証の写し、登録証明書 など

※ 「誓約書」とは、新しく就任した役員が、宅建業法に違反するような事実がないこと(欠格者でないこと)を証明するための書類です。具体的には、「私は、宅地建物取引業法に規定される欠格事由に該当しないことを誓約いたします。また、宅地建物取引業者として適正な業務を遂行し、法令を遵守することをここに誓います。」

変更の届出が本店所在地をまたぐ場合

本店または主たる事務所の所在地が別の管轄区域へ変更になった場合は、次の手続きが必要です。

  1. 変更後の所在地の管轄機関(地方整備局長等)に変更届を提出する。
  2. 変更後の管轄機関が、宅建業者名簿の変更を行い、変更前の管轄機関へ通知する。
  3. 変更前の管轄機関は、名簿から古い情報を削除し、必要な書類を変更後の管轄機関へ送付する。

具体例

ケース1:会社名を変更した場合

事例:株式会社ABC不動産が、株式会社XYZ不動産に商号を変更した。
対応:

  • 商号変更後、30日以内に宅建業者変更届出書を提出。
  • 新しい登記事項証明書を添付。
  • 変更が受理されると、宅建業者名簿の商号が訂正される。

ケース2:本店を東京都から大阪府に移転した場合

事例:東京に本社があるA不動産が大阪に本店を移転。
対応:

  • 大阪府を管轄する地方整備局へ変更届を提出。
  • 大阪府の整備局が名簿変更後、東京都の整備局へ通知。
  • 東京都の整備局が名簿から旧情報を削除し、必要な書類を大阪府へ送付。

変更届を怠った場合のリスク

変更の届出を怠った場合、宅建業者は行政指導や業務停止処分を受ける可能性があります。特に、代表者や取引士の変更を届け出ないと、免許取消の対象となることもあるため、注意が必要です。

違反の例

  • 事務所移転後も旧所在地のまま営業を続けた → 業務停止処分の可能性あり。
  • 代表者が変更になったが届け出をしなかった → 免許取消のリスクあり。

    まとめ

    1. 宅建業者は、重要な変更(会社名、代表者、事務所の所在地、取引士の変更など)があった場合、30日以内に届け出なければならない。
    2. 変更の届出には、専用の届出書と必要な書類を添付して提出する。
    3. 本店を他の都道府県へ移転する場合は、旧・新の管轄機関の間で情報のやり取りが行われる。
    4. 変更届を怠ると、業務停止や免許取消のリスクがある。

    宅建業者が適切に業務を継続するために、変更の届出は必須の手続きです。しっかりとルールを理解し、正しいタイミングで届け出を行いましょう。

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