免許の申請とは?(宅建業法4条関連)
宅地建物取引業(以下、宅建業)を営むためには、宅建業法に基づいて免許を取得する必要があります。その際の手続きが「免許の申請」です。免許の申請には、事業を行う範囲によって申請先が異なります。
- 国土交通大臣の免許が必要な場合
→ 事務所を2つ以上の都道府県に設置する場合 - 都道府県知事の免許が必要な場合
→ 事務所を1つの都道府県内にのみ設置する場合
具体例
例えば、東京都と大阪府に事務所を構える場合は国土交通大臣の免許が必要ですが、東京都内にのみ事務所を構える場合は東京都知事の免許で足ります。
免許申請書の記載事項
宅建業法第4条では、免許申請書に記載すべき事項が定められています。
- 商号または名称(会社名や屋号)
- 法人の役員および政令で定める使用人の氏名
- 個人事業主の場合、その氏名および政令で定める使用人の氏名
→ 「政令で定める使用人」とは、宅建業者の事務所の代表者を指します。
例えば、支店長や営業所長など、各事務所を実質的に管理する人物が該当します。 - 事務所の名称および所在地
- 各事務所に配置される宅地建物取引士の氏名
- 他に営む事業がある場合、その種類
→
具体例
例えば、「○○不動産株式会社」が東京都内で宅建業を始める場合、社名や役員の情報、所在地、専任の宅地建物取引士の名前などを申請書に記載する必要があります。
注意点
免許申請時に必要な添付書類
免許申請には、以下の書類を添付しなければなりません。
- 宅地建物取引業経歴書(過去の事業経歴を記載)
- 法第5条第1項の欠格要件に該当しないことを誓約する書面
- 事務所が宅建業法に規定された要件を満たしていることを証明する書面
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ないことを証明する市町村長の証明書
- 法人の場合、相談役や顧問の氏名・住所、5%以上の株式を保有する株主や出資者の情報を記載した書面
- 事務所の使用権を証明する書面(賃貸契約書など)
- 事務所付近の地図および事務所の写真(外観、入口、内部)
- 免許申請者、政令で定める使用人、宅地建物取引士の略歴書
- 法人の場合、直近1年の貸借対照表および損益計算書
- 個人の場合、資産に関する調書
- 宅地建物取引業に従事する者の名簿
- 法人税・所得税の納税証明書(直前1年間分)
- 法人の場合、登記事項証明書
- 個人事業主で法定代理人が法人の場合、その法人の登記事項証明書
具体的には、登記事項証明書(法人の場合)、住民票(個人の場合)、事務所の賃貸借契約書(事務所が賃貸の場合)などが求められます。
免許申請の処理期間
宅建業の免許申請の処理には標準で90日かかります。
- 適正な申請が前提となるため、不備がある場合の修正期間は90日には含まれません。
- 追加書類の提出を求められた場合、その期間も処理期間に含まれないため、早めの対応が重要です。
例えば、免許申請後に役員の破産履歴証明書が不足していると指摘された場合、それを補完するまでの期間は90日には含まれません。
免許申請における旧姓使用の取り扱い
宅建業法第4条では、申請者や役員の氏名について旧姓の併記が認められています。
- 旧姓併記を希望する場合
・免許申請書や免許証に旧姓を併記可能
・宅建業者票や契約書でも旧姓を併記可能 - 業務の混乱や誤認を避けるため、恣意的な使い分けは禁止
例えば、代表者「山田花子(旧姓:佐藤)」が旧姓併記を希望する場合、「山田花子(佐藤)」と申請書に記載できます。
事務所の所在地に関する要件
免許申請時には、事務所の所在地を証明するための資料を提出する必要があります。
- 事務所付近の地図(最寄り駅や主要施設を明記)
- 事務所の写真(外観、入口、事務所内の様子)
例えば、新しくオフィスを借りて開業する場合、オフィスの住所が明記された賃貸借契約書のコピーと、建物外観や看板が写った写真を提出する必要があります。
必要と認められる追加書類
場合によっては、次のような追加書類を提出しなければならないことがあります。
- 成年被後見人・被保佐人に該当しない証明書(市町村の長の証明書または医師の診断書)
- 判断能力の証明書(契約履行能力を示す医師の診断書)
例えば、申請者が高齢である場合、適正な契約判断ができることを示すために医師の診断書が求められることがあります。
