誇大広告等の禁止(宅建業法第32条)
宅地建物取引業者は、広告を出す際に、物件の 所在地、規模、形質、環境、交通の利便性、価格、支払方法 などについて、 著しく事実と異なる表示や、実際よりも優良・有利と誤認させる表示をしてはならない。
これは、不動産広告において 虚偽や誇大な内容を掲載することを防ぐ ための重要なルールです。
誇大広告等とは?
「誇大広告」とは、
- 実際に存在しない物件を広告する(虚偽広告)
- 条件の良い物件を広告し、実際は別の物件を売る(おとり広告)
- 実際よりも良い条件に見せかける広告(誇大広告)
などを指します。
◎具体例
✅ おとり広告の例不動産会社Aが、「駅徒歩3分、家賃5万円の新築マンション」と広告を出したが、実際にはその物件は契約済みで、客を呼び寄せた後に「実はこの物件は契約済みですが、別の物件ならありますよ」と案内する。
✅ 虚偽広告の例築30年の中古アパートを「築5年の築浅物件」と表示して広告する。
✅ 誇大広告の例「スーパーがすぐ近くにある便利な立地」と広告に記載したが、実際はスーパーまで徒歩30分かかる。
誇大広告が禁止される広告の範囲
誇大広告は、 どんな媒体でも禁止 されています。例えば下記の媒体が対象です。
- チラシ(新聞折込、ポスティング)
- 新聞・雑誌広告
- テレビ・ラジオ
- インターネット(ホームページ、SNS、動画広告)
そのため、広告を出す際には、 誇大広告に該当しないか慎重にチェック する必要があります。
禁止される広告内容の具体例
誇大広告に該当する項目は、大きく8つに分類されます。
(1) 所在地に関する誇大広告
- 実際の地番・住所を偽る。
- 位置図を改ざんし、駅や商業施設が近いように見せる。
(2) 規模に関する誇大広告
- 実際の面積よりも広く表示する。
- 間取り図を変更し、実際よりも広く見せる。
(3) 形質に関する誇大広告
- 実際の構造や設備を偽る(例:「RC造」と表示したが、実際は木造)。
- 「オール電化」と表示したが、実際はガスコンロが設置されている。
(4) 利用制限に関する誇大広告
- 市街化調整区域の土地を「建築可能」と表示する。
- 農地を「宅地」として販売する。
(5) 環境に関する誇大広告
- 「静かで快適な環境」と表示したが、実際は高速道路のすぐ隣。
- 「公園が近くにある」と表示したが、実際は計画段階で未定。
(6) 交通利便性に関する誇大広告
- 「駅徒歩5分」と表示したが、実際の所要時間は15分。
- 「新幹線の駅ができる予定」と表示したが、計画自体がない。
(7) 価格・支払方法に関する誇大広告
- 実際の価格よりも安く表示し、問い合わせた人に「その価格の物件は売り切れ」と案内する。
- 「頭金0円」と広告していたが、実際は手数料が必要だった。
(8) 金銭貸借のあっせんに関する誇大広告
- 「誰でも住宅ローンが組めます」と表示したが、実際は審査が厳しく通らない。
- 「低金利」と表示したが、実際は金利が高かった。
誇大広告の罰則と影響
誇大広告を行った場合、 業務停止処分や罰則の対象 となります。
✅ 宅建業法違反による行政処分
- 指示処分(業務改善の指導)
- 業務停止処分(最大1年の営業停止)
- 免許取消(悪質な場合、宅建業の免許が取り消される)
✅ 消費者からの信用失墜
- 誇大広告が発覚すると、企業イメージが悪化 し、顧客からの信頼を失います。
- SNSなどで炎上すると、大きなダメージを受けることもあります。
✅ 刑事罰の可能性
- 宅建業法違反として、罰金刑や懲役刑 になる可能性もあります。
誤認を防ぐための対策
✅ 広告内容の事前チェック
- 実際の物件情報と広告内容を照らし合わせ、虚偽の記載がないか確認する。
- 特に数値(面積、距離、価格)を慎重に確認する。
✅ 消費者が誤解しない表現を使う
- 「徒歩〇分」の表記は、80mを1分とする計算方法で統一する。
- 将来の開発予定は「計画中」などの注記を入れる。
✅ 宅建士による広告審査
- 宅建士が広告を確認し、法的に問題がないかをチェックする。
まとめ
✅ 宅建業法第32条では、誇大広告・虚偽広告を禁止
✅ おとり広告・誤認広告も違反になる
✅ 違反すると業務停止や免許取消の可能性あり
✅ 消費者が誤解しない正確な広告を作成することが重要
不動産広告は、消費者の購買意欲に大きな影響を与えるため、誇大広告を防ぎ、信頼できる情報を提供することが宅建業者の責任 です。
