営業保証金の還付とは?結論を先に確認
営業保証金の還付とは、宅建業者との取引で損害を受けた消費者が、宅建業者が供託している営業保証金から弁済を受けることです。宅建業法第27条に規定されています。
ポイントは次の3点です。
- 還付請求できるのは一般消費者のみ(宅建業者同士の取引は対象外)
- 請求先は宅建業者の本店最寄りの供託所
- 還付額の上限は供託されている営業保証金の範囲内
還付請求できる人・できない人
宅建業法27条1項は「宅地建物取引業者に該当する者を除く」と定めています。つまり宅建業者同士の取引では還付請求できません。
還付請求できるケース
消費者Aさんが宅建業者B社から土地を購入。B社が代金を受け取ったまま引き渡さなかった場合、AさんはB社の営業保証金から弁済を受けられます。
還付請求できないケース
宅建業者C社が宅建業者D社からマンションを仕入れたが引き渡されなかった場合、C社はD社の営業保証金から弁済を受けることはできません。専門知識を持つ業者間取引は自己責任とされるためです。
還付請求の手続き【6ステップ】
営業保証金の還付から不足額の供託までの流れを順に解説します。
ステップ① 債権の証明と供託所への請求
契約書や判決文などで宅建業者に対する債権を証明し、本店最寄りの供託所に還付請求を行います。
ステップ② 供託所の審査・弁済の実行
供託所が債権の正当性を確認し、適正と認められれば営業保証金から弁済(=還付)が行われます。
ステップ③ 供託所→免許権者へ通知
供託所は免許権者に「還付により営業保証金が不足している」旨を通知します。
ステップ④ 免許権者→宅建業者へ通知
免許権者は宅建業者に対して不足額を供託するよう通知します。
ステップ⑤ 不足額の供託(宅建業法28条1項)
宅建業者は通知を受けた日から2週間以内に、本店最寄りの供託所へ不足額を供託しなければなりません。
ステップ⑥ 免許権者への届出(宅建業法28条2項)
供託した宅建業者は、供託した日から2週間以内に免許権者へ届出を行います。
具体例で流れを確認
消費者Aさんが宅建業者B社(東京都知事免許)からマンションを購入し手付金100万円を支払ったが、B社が引き渡さず倒産した場合を見てみましょう。
- Aさんが契約書・支払い証明書でB社への100万円の債権を証明
- 東京法務局(本店最寄りの供託所)に還付請求
- 供託所が審査し、営業保証金からAさんへ100万円を弁済
- 供託所が東京都知事(免許権者)に通知→東京都知事がB社に通知
- B社は通知から2週間以内に100万円を供託し、供託から2週間以内に届出
還付額の上限に注意
還付請求できる金額は、宅建業者が供託している営業保証金の範囲内に限られます。
例:B社の営業保証金が1,000万円、Aさんの請求額が1,500万円の場合、Aさんが受け取れるのは最大1,000万円までです。複数の債権者がいる場合は按分されるため、満額を受け取れないケースもあります。
まとめ|試験で問われるポイント整理
- 営業保証金の還付を受けられるのは一般消費者のみ(業者間取引は対象外)
- 請求先は本店最寄りの供託所
- 還付額の上限は供託されている営業保証金の範囲内
- 不足額の供託期限は通知から2週間以内(28条1項)
- 免許権者への届出期限は供託から2週間以内(28条2項)
「2週間以内」の起算点が供託と届出で異なる点はひっかけ問題の定番です。正確に区別して覚えましょう。






