宅建業法第22条(申請等に基づく登録の消除)
都道府県知事は、次の各号の一に掲げる場合には、第十八条第一項の登録を消除しなければならない。
- 本人から登録の消除の申請があったとき。
- 前条の規定による届出があったとき。
- 前条第一号の規定による届出がなくて同号に該当する事実が判明したとき。
- 第十七条第一項又は第二項の規定により試験の合格の決定を取り消されたとき。
宅建業法第22条の解説:登録の消除とは?
宅地建物取引士(宅建士)として登録を受けた人は、何らかの理由でその登録を取り消されることがあります。これを「登録の消除(しょうじょ)」といいます。宅建業法第22条では、都道府県知事がどのような場合に登録を消除しなければならないのかが定められています。
分かりやすく解説
宅建士の登録は、一定の資格を持つ人が宅地建物取引業法に基づいて行うものです。しかし、以下のような理由で登録が取り消されることがあります。
① 本人が登録の消除を申請した場合
これは、宅建士としての登録を本人が自ら取り消したいと申し出たときです。
山田さんは宅建士の資格を持っていますが、不動産業界から引退することを決めました。そのため、自分から都道府県知事に「登録を消してほしい」と申請しました。この場合、知事は山田さんの登録を消除しなければなりません。
② 前条(宅建業法第21条)に基づく届出があった場合
宅建士には登録事項に変更があったときに届け出る義務があります(例えば、氏名が変わった場合や転居した場合など)。その届出がされた場合に、登録の消除が必要な場合があります。
具体例
③ 前条(第21条第1号)に基づく届出がないまま、その事実が判明した場合
宅建士が資格を失うような事由が生じたにもかかわらず、それを届け出なかった場合、都道府県知事がその事実を確認すれば、登録を消除することになります。
鈴木さんは宅建士の資格を持っていましたが、交通事故で亡くなりました。しかし、家族は宅建士の登録について届出をしていませんでした。この場合、都道府県知事が鈴木さんの死亡を確認した時点で、登録を消除することになります。
④ 試験の合格が取り消された場合
第17条第1項又は第2項とは、「不正の手段によって試験を受けた場合」、又は「受けようとした場合」です。この場合、宅建士になるには試験に合格する必要がありますが、もし合格の取り消しが決定された場合は、宅建士の登録も取り消されます。
具体例
田中さんは宅建士試験に合格し、登録を済ませました。しかし、試験の際に不正行為(カンニングなど)があったことが後から発覚しました。そのため、試験合格の決定が取り消され、登録も消除されました。
登録消除に伴う通知
都道府県知事は、宅建業法第22条の規定により登録を消除したときは、その理由を示して、「その登録の消除に係る者、相続人、法定代理人又は同居の親族」に通知しなければなりません。
分かりやすく解説
登録を消除するときには、都道府県知事はその理由を明示し、関係者に通知しなければなりません。これは、本人だけでなく、相続人(亡くなった人の家族)、法定代理人(未成年者などの代理人)、または同居の親族にも通知が届くことを意味します。
例えば、先ほどの鈴木さんのケースで、家族が届出をしていなかった場合、都道府県知事は鈴木さんの家族に「宅建士の登録を消除しました」と通知を送ることになります。
まとめ
宅建業法第22条では、宅建士の登録が取り消される具体的なケースが定められています。特に、本人の申請や届け出がなくても、一定の事実が確認されれば登録が自動的に消除されることがある点に注意が必要です。また、登録が消除された場合には、その理由が明確に通知されることも規則で決められています。
宅建士としての登録を維持するためには、必要な届け出を怠らないことが重要です。
