宅建業法第21条は、宅地建物取引士が「死亡した場合」や「欠格事由に該当することになった場合」に、一定の期間内に都道府県知事へ届出をしなければならないことを定めた規定です。この届出制度は、宅建士の適正な管理を目的とし、資格がない人が宅建士として業務を行うことを防ぐために設けられています。
死亡等の届出が必要なケース
宅建業法第21条では、次の3つの場合に届出をする必要があります。
- 宅建士が死亡した場合(第21条第1号)
- 宅建士が欠格事由に該当することになった場合(第21条第2号)
- 宅建士が精神障害などにより業務を適正に行えないと判断された場合(第21条第3号)
それでは一つ一つ確認していきます!
宅建士が死亡した場合
- 届出義務者:相続人
- 届出期限:死亡した事実を知った日から30日以内
- 届出先:登録を受けている都道府県知事
具体例
田中さん(宅建士)が病気で亡くなりました。田中さんの息子(相続人)は、田中さんが宅建士として登録されていた都道府県知事に対し、30日以内に死亡の届出をする必要があります。
田中さん(宅建士)が病気で亡くなりました。田中さんの息子(相続人)は、田中さんが宅建士として登録されていた都道府県知事に対し、30日以内に死亡の届出をする必要があります。
宅建士が欠格事由に該当することになった場合(第18条第1項第1号~第8号関連)
- 届出義務者:本人
- 届出期限:該当することになった日から30日以内
- 届出先:登録を受けている都道府県知事
具体例
佐藤さん(宅建士)は詐欺罪で懲役刑(執行猶予なし)の判決を受けました。この場合、佐藤さんは宅建士の欠格事由に該当するため、自身で都道府県知事に届出をしなければなりません。
佐藤さん(宅建士)は詐欺罪で懲役刑(執行猶予なし)の判決を受けました。この場合、佐藤さんは宅建士の欠格事由に該当するため、自身で都道府県知事に届出をしなければなりません。
宅建士が精神障害などにより業務を適正に行えないと判断された場合(第18条第1項第12号関連)
- 届出義務者:本人、法定代理人、または同居の親族
- 届出期限:該当することになった日から30日以内
- 届出先:登録を受けている都道府県知事
具体例
山田さん(宅建士)は認知症を発症し、判断能力が著しく低下しました。山田さんの家族(同居の親族)は、都道府県知事に対し30日以内に届出をする必要があります。
山田さん(宅建士)は認知症を発症し、判断能力が著しく低下しました。山田さんの家族(同居の親族)は、都道府県知事に対し30日以内に届出をする必要があります。
さらに施行規則では、第21条第3号に該当する場合(上記精神疾患などで業務が困難な場合)には、医師の診断書を添えて届出を行う必要があります。診断書には、以下の内容が記載されている必要があります。
- 病名
- 障害の程度
- 病因
- 病後の経過
- 治癒の見込み
宅地建物取引業者の役割
宅建業者(不動産会社など)は、自社の宅建士が欠格事由に該当する場合、適切に届出を行うよう指導しなければなりません。これにより、欠格事由を持つ宅建士が業務を続けることを防ぎ、取引の安全性を確保できます。
具体例
A不動産会社は、自社の宅建士Bさんが暴力団と関係があることを知りました(欠格事由に該当)。会社はBさんに対し、都道府県知事への届出をするよう指導する義務があります。
A不動産会社は、自社の宅建士Bさんが暴力団と関係があることを知りました(欠格事由に該当)。会社はBさんに対し、都道府県知事への届出をするよう指導する義務があります。
まとめ
宅建業法第21条は、宅建士が欠格事由に該当した場合や死亡した場合に適切な届出を行うことを定めた規定です。これにより、不正な宅建士の登録を防ぎ、不動産取引の適正性を確保できます。届出を怠ると、資格の不正使用や業務の混乱につながるため、注意が必要です。
