宅建業法第2条を徹底解説|宅地・取引・業・宅地建物取引業者・宅地建物取引士とは?

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令和7年度の宅建試験対策の個別指導

宅建業法における「宅地」の定義

宅建業法第2条第1号
「宅地」とは、宅地建物の敷地に供せられる土地をいい、都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第八条第一項第一号の用途地域内のその他の土地で、道路、公園、河川その他政令で定める公共の用に供する施設の用に供せられているもの以外のものを含むものとする。

分類 現在、建物の敷地・
建物の敷地予定の土地
現在、建物の敷地以外・
建物の敷地予定でもない土地
用途地域内の土地 宅地 宅地 ※1
用途地域外の土地 宅地 宅地ではない

※1 現に政令で定める公共の用に供する施設(道路、公園、広場など)として利用されている土地は「宅地」ではない

宅地に該当する土地とは?

この条文では、「宅地」がどのような土地を指すのかを定義しています。下記2つのいずれか一方に該当すれば「宅地」に当たります。

  1. 建物の敷地として使われる土地(宅地に該当) → すでに建物が建っている土地だけでなく、建物を建てる目的で売買される土地も含む。
  2. 都市計画法における用途地域内の土地(宅地に該当) → ただし、道路や公園、河川など公共施設に使われる土地は除く(宅地ではない)

宅地に該当する土地は、用途地域内であれば、単に家が建っている土地だけではなく、建物を建てる目的で売買される土地も含まれます。これを理解するために、具体例を見てみましょう。

具体例①:用途地域内の更地(さらち)の売買

例えば、不動産会社が住宅用地として販売するために用途地域内の空き地(更地)を仕入れた場合、その土地は「宅地」に該当します。現時点では建物が建っていなくても、「将来的に建物を建てる目的で売買される」ので、宅地に分類されます。

具体例②:田んぼや畑の転用

田んぼや畑(農地)を購入し、宅地に変更して住宅を建てる場合も、その土地は「宅地」とみなされます。つまり、現状が農地であっても「建物を建てるために売買された場合」は、宅地として扱われます。建物を建てる目的であれば、用途地域内外問わず宅地に該当します。

具体例③:駐車場として利用されている土地をマンション開発のために取得

現在、駐車場として使われている土地があるとします。その土地をマンション開発のために購入する場合、この土地も「宅地」に該当します。現時点では建物が建っていなくても、建物を建てる目的で売買されたため、宅地とみなされるのです。

具体例④:用途地域外で建物が建っている土地

山奥の土地(用途地域外の土地)であっても、現在、建物が建っている土地は「宅地」に該当します。

宅地に該当しない土地とは?

宅地に該当しない土地についても確認しておきましょう。

具体例①:現在、公園や道路

都市計画法で定められた公園や道路として利用されている土地は、公共の用に供されるため、宅地には該当しません

具体例②:用途地域外で農地として利用され続ける土地

用途地域外の土地で「この土地はずっと農地として使う」と決まっている場合(建物を建てない場合)、宅地には該当しません。例えば、農家が用途地域外の自分の畑をそのまま農地として利用し続ける場合は、「宅地」にはなりません。
※ 用途地域内の農地であれば、宅地に該当します。

宅地の概念を理解するポイント

宅地の定義を正しく理解するためには、以下のポイントを押さえておくことが重要です。

ポイント:用途地域内と用途地域外で分けて考える

宅地に該当するか否かは、「用途地域内の土地」なのか「用途地域外の土地」なのかに分けて考えます。

用途地域内の土地であれば、原則、宅地です。例外として、現に政令で定める公共の用に供する施設(道路、公園、広場など)として利用されている土地は「宅地」ではありません

用途地域外の土地であれば、「現在建物が建っている土地」または「建物の敷地として利用する予定の土地」は宅地に該当します。一方で、用途地域外の土地で、かつ建物が建っておらず、建物を建てる予定がない土地は宅地に該当しません

宅建業法における「宅地建物取引業」の定義

宅建業法第2条第2号
宅地建物取引業とは、宅地若しくは建物(建物の一部を含む。)の売買若しくは交換又は宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をする行為で業として行うものをいう。

簡単に言うと、宅地や建物の「取引」を「業」として行う場合、それは「宅地建物取引業」に該当します。

しかし、ここで重要なのは「取引の定義」と「業として行う」とはどういうことか、という点です。

「取引」とは?

取引とは、

  1. 自ら当事者として売買、交換する場合 (自ら当事者として貸借する場合は取引に該当しない)
  2. 他人の取引の代理又は媒介という形で、売買、交換、賃借する場合

です。これを、表にまとめると下記に通りになります。

分類 売買 or 交換 貸借
自ら当事者 取引 取引に該当しない
媒介 or 代理 取引 取引

※ 当事者とは、売買の場合は売主と買主、賃貸借の場合は貸主と借主のそれぞれのことです。

※ 媒介とは、仲介と同じ意味です。駅前の不動産会社の多くが媒介業者(仲介会社)です。

「業として行う」とは?

宅建業法では、「業として行う」場合に宅地建物取引業の許可(宅建業免許)が必要になります。しかし、どのような取引が「業」として認められるのかは、一つの明確な基準があるわけではなく、複数の要素を考慮して総合的に判断されます。

以下、具体的な判断基準を見ていきましょう。

「業」として判断される基準

宅建業法の解釈と運用では、以下の5つの基準をもとに事業性が高いか低いかを判断します。事業性が高い場合、「業に該当」し、事業性が低い場合「業には該当しません」。

① 取引の対象者

事業性が高いケース:広く一般の人を対象に取引を行う。

例)不動産会社が広告を出し、広く顧客を募って不動産を販売する。

事業性が低いケース:取引の当事者に特定の関係がある。

例)親族間での売買、隣接地所有者への売却。

具体例
田中さんが、親から相続した土地を親族に売った場合、これは「業として」行ったとは言えないため、宅建業免許は不要です。しかし、田中さんが相続した土地を何度も他人に売却していた場合は、事業性が高いと判断される可能性があります。

② 取引の目的

事業性が高いケース:利益を目的としている。

例)安く仕入れて高く売る。

事業性が低いケース:特定の資金需要を満たすために行う。

例)相続税の支払い、住み替えのための売却。

具体例
山田さんが、相続税の支払いのために一度だけ自宅を売却した場合、事業性は低くなります。しかし、山田さんが頻繁に物件を購入し、転売して利益を得ていた場合、これは「業」と判断されるでしょう。

③ 取引対象物件の取得経緯

事業性が高いケース:転売目的で取得した物件の取引。

例)安い物件を購入し、リフォームして売る。

事業性が低いケース:相続や自分で使用する目的で取得した物件の取引。

例)自宅や社宅として取得したものを売る。

具体例
佐藤さんが、事業所として使うためにビルを購入したが、事情により手放すことになった場合、これは事業性が低いと判断されます。しかし、佐藤さんがこのビルを購入当初から転売目的で取得していた場合は、事業性が高いと見なされます。

④ 取引の態様

事業性が高いケース:直接消費者を募って販売する。

例)個人で買い手を探して売却する。

事業性が低いケース:宅建業者に代理・媒介を依頼する。

例)不動産会社に売却を任せる。

具体例
中村さんが、個人で広告を出して買い手を募り、何度も販売している場合、事業性は高いと判断されます。しかし、一度だけ不動産会社を通して売却した場合、事業性は低くなります。

⑤ 取引の反復継続性

事業性が高いケース:反復継続して取引を行う。

例)毎年複数回、不動産を売却する。

事業性が低いケース:1回限りの取引。

例)マイホームを一度だけ売る。

具体例
鈴木さんが、5年間にわたり10件の物件を売買していた場合、事業性は高くなります。しかし、一度だけ自宅を売却した場合は、事業性は低いと判断されるでしょう。

「宅地建物取引業」の定義のまとめ

「宅地建物取引業」とは、単に不動産を売買するだけではなく、それが「業として」行われるかどうかが重要です。

判断のポイントは以下の5つ:

  1. 取引の対象者(一般の人向けか、特定の関係者か)
  2. 取引の目的(利益を目的としているか、資金需要のためか)
  3. 取得経緯(転売目的か、自ら使用するためか)
  4. 取引の態様(直接販売か、宅建業者に任せるか)
  5. 反復継続性(何度も行うか、一度限りか)

これらの基準をもとに、不動産取引が宅地建物取引業に該当するかどうかが決まります。

もし「業として」行う場合には、必ず宅建業の免許が必要になるため、注意が必要です。

組合方式による住宅の建築に関する宅建業法の適用

宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方
組合方式による住宅の建築という名目で、組合員以外の者が、業として、住宅取得者となるべき組合員を募集し、当該組合員による宅地の購入及び住宅の建築に関して指導、助言等を行うことについては、組合員による宅地又は建物の取得が当該宅地又は建物の売買として行われ、かつ、当該売買について当該組合員以外の者が関与する場合には、通常当該宅地又は建物の売買又はその媒介に該当するものと認められ、宅地建物取引業法が適用されることとなる。

分かりやすく解説すると、ある団体が「組合」を作り、その組合員を募集して住宅を建てる場合でも、組合員以外の人が宅地や建物の売買に関与するならば、宅建業法が適用されるということです。

✅ 宅建業法が適用されるケース

  • A社が「住宅購入組合」を作り、一般の人から組合員を募る。
  • 組合員はA社の指導を受けながら宅地を購入し、住宅を建築する。

実質的にA社が組合員を誘導し、宅地の売買に関与しているため、A社は宅建業者としての免許が必要になります。

❌ 宅建業法が適用されないケース

  • 組合員が自主的に集まり、組合内部で宅地を購入し、建築業者を選定する。
  • 組合員以外の第三者が取引に関与しない。

こうした場合、宅建業法の適用はされません。

注意点

また、最初の段階では宅地や建物が未確定でも、特定の物件が決まった時点で宅建業法が適用されるので注意が必要です。

破産管財人の取引に関する宅建業法の適用

宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方
破産管財人は、破産財団の管理処分権を有し、裁判所の監督の下にその職務として財産の処分及び配分を行うものであり、破産財団の換価のために自らの名において任意売却により宅地又は建物の取引を反復継続的に行うことがあるが、当該行為は、破産法に基づく行為として裁判所の監督の下に行われるものであることにかんがみ、法第2条2号にいう『業として行なうもの』には該当せず、当該行為を行うに当たり法第3条第1項の免許を受けることを要さないものとする。

分かりやすく解説すると、破産管財人は、破産した人や法人の財産を処分する仕事を担当します。その際、土地や建物を売ることがありますが、これは宅建業法上の「業として行うもの」には該当しません。なぜなら、破産管財人は裁判所の監督のもとで職務として売却を行っており、営利目的ではないためです。

宅建業法が適用されないケース

  • 会社Bが破産し、その財産(ビルや土地)を売る必要がある。
  • 裁判所の指示のもと、破産管財人が任意売却を行う。

これは破産法に基づく職務行為なので、宅建業法の適用を受けない。

宅建業法が適用されるケース

  • 破産管財人とは無関係に、不動産を継続的に売却するビジネスを展開する。
  • 例えば、不動産投資会社が破産した不動産を買い取って販売する場合。

これは「業として」行われるため、宅建業法の適用を受けます。

補足

破産管財人自身は免許不要ですが、破産財団の売却を行う際に宅建業者に依頼することで、購入者を保護することが望ましいとされています。

このように、宅建業法の適用範囲は「誰が」「どのような目的で」不動産取引に関与するのかが重要です。試験においては、具体的なケースごとの適用の違いを理解することが合格への鍵となります。

宅建業法における「宅地建物取引業者」の定義

宅建業法第2条第3号
宅地建物取引業者 第三条第一項の免許を受けて宅地建物取引業を営む者をいう。

「宅地建物取引業者」とは、国や都道府県知事の免許(3条第1項の免許)を受け、不動産取引を事業として行う会社や個人のことを指します。一般的には「不動産業者」とか「宅建業者」と呼ばれます。

免許が必要な理由

宅地建物取引業を行うには、国土交通大臣または都道府県知事の免許が必要です。これは、不動産取引が高額であり、一般消費者を保護するための仕組みです。

宅建業法における「宅地建物取引士」の定義

宅建業法第2条第4号
宅地建物取引士 第二十二条の二第一項の宅地建物取引士証の交付を受けた者をいう。

「宅地建物取引士(宅建士)」とは、宅建試験に合格し、宅地建物取引士証を交付された者(22条の2第1項)を指します。不動産取引の重要事項説明などを行うために必要な資格です。

宅建士の役割

宅建士は、主に以下の業務を担当します。

  1. 重要事項説明
    不動産を購入する人や借りる人に対し、契約前に法律上のリスクや条件を説明する。
  2. 重要事項説明への記名押印
    上記契約締結前に不動産を購入する人や借りる人に交付する重要事項説明書(35条書面)に署名・押印する業務を担当します。
  3. 契約書(37条書面)への記名押印
    契約書とは、宅建業法では契約締結時書面と呼ばれるもので、37条書面と言います。この37条書面に署名・押印する業務を担当します。

上記のような業務を専門知識を持つ宅建士が担当する理由は、消費者保護です。消費者が不利益を被らないように宅建士がサポートします。

具体例
Cさんが不動産会社に行き、マンションの購入を検討しています。担当の宅建士が「この物件は過去に地盤沈下のリスクが指摘されています」と説明しました。このように、重要事項を説明するのが宅建士の役割です。

なぜ宅建士が必要なのか?

不動産取引には、高額な金額が関わるため、専門知識がないとトラブルが発生しやすくなります。そのため、宅建士が適切なアドバイスを行い、消費者を守る役割を担っています。

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