宅建業法19条|宅建士の登録手続きと移転手続きを徹底解説!

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令和7年度の宅建試験対策の個別指導

宅地建物取引士(以下、宅建士)として活動するためには、宅建試験に合格しただけでは足りません。宅建業法第19条の規定に基づき、都道府県知事の登録を受ける必要があります。

具体的には、宅建士として登録を希望する者は、登録申請書を作成し、都道府県知事に提出しなければなりません(宅建業法第19条第1項)。都道府県知事は、この申請書を受理した場合、特別な事情がない限り、速やかに登録を行う義務を負います(同条第2項)。

登録申請の手続き

登録申請書には以下の情報を記載する必要があります(施行規則第14条の3第1項)。

  • 氏名
  • 生年月日
  • 住所
  • その他施行規則第13条に規定される情報

また、申請書には以下の書類を添付する必要があります(施行規則第14条の3第3項)。

  1. 未成年者である場合:法第18条第1項第1号に該当しないことを証明する書類
  2. 実務経験を証明する書類:2年以上の実務経験があることを示す証明書
  3. 破産者でないことの証明書(市町村長が発行)
  4. 法第18条第1項第3号~12号に該当しないことの誓約書

法第18条第1項第3号~12号に該当しないことの誓約書とは

宅建士の登録には、一定の欠格事由に該当しないことを誓約する必要があります。法第18条第1項第3号~12号には、登録が認められない条件が列挙されており、申請者はこれらに該当しないことを誓約書として提出しなければなりません。

具体的な欠格事由は以下の通りです。

  • 第3号:禁錮以上の刑に処せられ、刑の執行が終わって5年を経過していない者
  • 第4号:宅建業法違反等で罰金刑を受け、刑の執行が終わって5年を経過していない者
  • 第5号:免許を取り消され、その取り消しの日から5年を経過していない者
  • 第6号:未成年で法定代理人が宅建業の欠格事由に該当する者
  • 第7号:宅建士として不正または著しく不当な行為をし、登録を取り消され5年を経過していない者
  • 第8号:暴力団員等である者
  • 第9号:暴力団員等でなくなった日から5年を経過していない者
  • 第10号:暴力団員等を利用して不正行為をした者
  • 第11号:暴力団員等と社会的に非難されるべき関係を持つ者
  • 第12号:心身の故障により宅建士として業務を適切に遂行できないと認められる者

これらに該当する場合、宅建士としての登録は拒否されるため、誓約書の提出が求められます。

さらに、写真(6か月以内に撮影した無帽、正面、上三分身、無背景のもの)を申請書に貼付する必要があります。

登録の拒否と通知

都道府県知事は、以下のいずれかに該当する場合には登録を拒否しなければなりません(施行規則第14条の4第2項)。

  • 実務経験が不足している、または能力を有すると認められない場合
  • 宅建業法第18条第1項各号(破産者、禁固刑以上の刑を受けた者など)に該当する場合
  • 既に他の都道府県で宅建士の登録を受けている場合

この場合、都道府県知事は遅滞なく登録拒否の理由を本人に通知する義務があります。

登録の移転

宅建士として登録した後、「登録を受けた都道府県知事が管轄する都道府県」とは別の都道府県の事務所で業務を行う場合、登録を移転することができます(登録の移転は任意)(宅建業法第19条の2)。

例えば、東京都で宅建士登録を受けていた人が、大阪府の不動産会社に転職して宅建士として勤務する場合、東京都知事を経由して大阪府知事に登録移転の申請をすることができます。

移転申請の手続き

登録の移転を希望する場合は、以下の情報を記載した「登録移転申請書」を提出しなければなりません(施行規則第14条の5)。

  • 氏名、生年月日、住所、本籍(日本国籍を有しない者は国籍)、性別
  • 現在の登録番号
  • 現在の登録を行っている都道府県知事の氏名
  • 移転理由
  • 移転後に勤務予定の宅地建物取引業者の名称・免許証番号

この申請書にも、6か月以内に撮影した写真を貼付する必要があります。

移転手続きの流れは、以下の通りです。

  1. 申請書の提出
    申請者は、移転先の都道府県知事を経由して移転元の都道府県知事に申請書を提出します。
    ただし、移転先の都道府県知事に直接提出した場合も、移転元の都道府県知事に通知され、連携が取られます。
  2. 移転先都道府県知事の対応
    移転先の都道府県知事は、申請を受けたことを移転元の都道府県知事に通知し、登録移転の手続きを進めます。
  3. 登録の完了通知
    登録の移転が完了すると、都道府県知事は、申請者および移転元の都道府県知事に通知を行います(施行規則第14条の6)。

登録の移転の具体例

例1:東京都で登録後、大阪で勤務する場合

Aさんは東京都で宅建士の登録を行い、不動産会社で勤務していた。

しかし、転職のため大阪府の不動産会社に就職。

宅建士として引き続き業務を行うため、大阪府での登録が必要。

手続きの流れ

Aさんは「登録移転申請書」を東京都知事を経由して大阪府知事に提出。

大阪府知事は東京都知事に通知。

手続きが完了すると、大阪府知事がAさんに登録完了を通知。

例2:登録申請が拒否されるケース

Bさんは宅建試験に合格し、登録申請を行った。

しかし、過去に禁固刑を受け、執行後5年が経過していなかった。

結果として、都道府県知事は、宅建業法第18条に基づき、Bさんの登録を拒否。

Bさんには速やかに登録拒否の理由が通知された。

まとめ

  • 宅建士として登録した後、「登録を受けた都道府県知事が管轄する都道府県」とは別の都道府県の事務所で業務を行う場合、登録の移転申請ができる
  • 宅建士の登録の移転は任意なので、登録の移転申請はしなくてよい。
  • 申請者は、移転先の都道府県知事を経由して移転元の都道府県知事に申請書を提出します。

宅建士の登録は、不動産取引の専門家としての証明であり、適切な手続きを踏むことが求められます。試験合格後も登録手続きを忘れずに行い、スムーズに業務を開始できるよう準備しましょう。

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