建物買取請求権の重要ポイントと解説

建物買取請求権のポイント一覧

  1. 借地権の存続期間が満了しても、契約が更新されない場合、借地権者(建物オーナー)は借地権設定者(地主)に対して、建物買取請求権を行使できる
  2. ただし、借地権者の債務不履行を理由に借地契約が解除された場合は、建物買取請求はできない
  3. 借地上建物を譲渡する前であれば、借地権者は、裁判所の許可をもらうことで、借地権を譲渡できる
  4. 借地上建物を譲渡した後であれば、建物の譲受人は、地主に対して建物買取請求ができる

建物買取請求権とは?

借地権の存続期間が満了しても、契約が更新されない場合、借地権者(建物オーナー)は借地権設定者(地主)に対して、建物などを時価で買い取るよう請求できる権利を建物買取請求権といいます。

ただし、借地権者の債務不履行(賃料不払いなど)によって借地契約が解除された場合は、建物買取請求はできません

第三者の建物買取請求権

借地権者が、建物を第三者に売却しようとするにもかかわらず(借地権の譲渡前・第三者が建物を取得する前)、借地権設定者(地主)が、借地権の譲渡を承諾しない場合、借地権者は「借地権設定者の承諾に代わる裁判所の許可」を得ることで、借地権を譲渡することができる

借地権者が借地権者が借地上の建物を第三者に売却した場合(第三者が建物を取得した後)について、借地権設定者(地主)が、賃借権の譲渡を承諾しない時建物を取得した第三者は、借地権設定者に対して、建物買取請求ができます。

上記をまとめたものが以下の表です。

借地権の譲渡・転貸における保護規定
借地権の譲渡・転貸 借地権の譲渡・転貸
保護される者 借地権者(建物オーナー) 建物を取得した第三者
保護の方法 裁判所の許可 建物買取請求権
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建物買取請求権の問題一覧

■問1
仮設建物を建築するために土地を一時使用として1年間賃借し、借地権の存続期間が満了した場合には、借地権者は、借地権設定者に対し、建物を時価で買い取るように請求することができる。 (2012-問11-4)

 

答え:誤り

これは、一時使用目的の借地権は建物買取請求権の適用はありません。

したがって、本問は誤りです。

ここは理由を考えれば答えは導けます。また、関連ポイントも一緒に学習したほうがよいので、「個別指導」では関連ポイントも解説しています!


■問2
Aが、平成4年8月、Bに土地を賃貸し、Bがその土地上に建物を所有している場合、BがAの承諾を得て土地をCに転貸し、建物を譲渡した場合、AB間、BC間の契約が、ともに期間満了し更新がなければ、CはAに対し直接建物買取請求権を有する。 (2002-問13-3)

 

答え:正しい

借地契約が終了して更新がなければ、借地権者は地主に建物買取請求ができます。そして、このルールは土地の転貸があった場合も適用されます。つまり、AB間の借地契約も、BC間の転貸借契約も期間満了で終了して、更新がなければ、土地の転借人Cは自己所有の建物について地主Aに建物買取請求を行使することができます。


■問3
Aが、平成4年8月、Bに土地を賃貸し、Bがその土地上に建物を所有している場合、建物買取請求権は、契約終了の理由を問わず、Bの債務不履行を原因とする契約終了の場合にも、BはAに対して建物の買取りを請求することができる。 (2002-問13-2)

 

答え:誤り

AB間で借地契約を締結しており、借地権者Bが借地上に建物を所有しているわけです。

そして、契約期間中(存続期間中)にBが地代を払わず(債務不履行)、その結果、契約解除(契約終了)になった場合、借地権者Bが悪いので、例え、借地上に建物があっても建物買取請求はできません。

こう考えると当然ですよね!

イメージすれば簡単に理解できるでしょう!

個別指導」では、楽に合格していただくためにこのようにイメージしながら学習を進めていきます!

この問題で言えば、「建物買取請求ができる場合とできない場合」についても表にしてまとめています!


■問4
Aが、平成4年8月、Bに土地を賃貸し、Bがその土地上に建物を所有している場合、AB間の借地契約が、公正証書により10年の事業専用の目的で締結された場合には、Bは建物買取請求権を有しない。 (2002-問13-1)

 

答え:正しい

事業用(定期)借地権では、契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がなく、契約終了の際に、建物買取請求はできません。

したがって、本問は正しいです。

でも、なぜ事業用借地権は建物買取請求ができないのか?

疑問に思いませんか?

これを理由を知ることが理解学習です。

個別指導」ではこの点を解説しています!

実力が上がらない「丸暗記学習」から抜け出しましょう!


■問5
Aが居住用の甲建物を所有する目的で、期間30年と定めてBから乙土地を賃借した。 Aが地代を支払わなかったことを理由としてBが乙土地の賃貸借契約を解除した場合、契約に特段の定めがないときは、Bは甲建物を時価で買い取らなければならない。 (2016-問11-4)

 

答え:誤り

賃借人の債務不履行によって契約が終了した場合には、建物買取請求権は認められないので本肢は誤りです。

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