定期建物賃貸借(定期借家権)とは?普通借家との決定的な違い
定期建物賃貸借(定期借家権)とは、契約の更新がなく、期間満了によって確定的に終了する建物賃貸借です。借地借家法第38条に規定されており、宅建試験では頻出テーマです。
普通借家契約では貸主に正当事由がなければ更新拒絶できませんが、定期借家契約は期間が来れば当然に終了します。この点が最大の違いです。
定期借家契約が有効に成立する3つの要件
- 書面による契約:公正証書でなくても可。ただし口頭では不可(借地借家法38条1項)
- 事前説明義務:「更新がなく期間満了で終了する」旨を契約書とは別の書面(38条書面)を交付して説明する
- 期間の定め:1年未満でも有効(普通借家と異なり「期間の定めのない契約」とはみなされない)
事前説明を怠った場合、契約自体は有効ですが「更新がない」旨の定めだけが無効となり、普通借家契約として扱われます。
定期借家は更新できる?——答えは「更新なし・再契約は可能」
定期借家契約には法律上の更新制度がありません。期間満了で契約は終了します。ただし、当事者双方が合意すれば「再契約」(新たな定期借家契約の締結)は可能です。更新と再契約は別概念である点が試験で問われます。
終了通知(期間満了の通知)のルール
契約期間が1年以上の定期借家契約では、賃貸人は以下の通知義務を負います。
通知の時期と効果
- 通知期間:期間満了の1年前から6ヶ月前までに「契約が終了する旨」を通知
- 通知した場合:期間満了時に契約終了
- 通知を忘れた場合:通知した日から6ヶ月経過後に終了を対抗できる(契約自体が無効になるわけではない)
なお、契約期間が1年未満の場合はこの通知義務は発生しません。
中途解約ができるケース
定期借家契約は原則として中途解約できません。ただし、以下の要件をすべて満たす場合に限り、賃借人からの中途解約が認められます。
- 居住用建物であること
- 床面積が200㎡未満であること
- 転勤・療養・親族の介護その他のやむを得ない事情により、生活の本拠として使用することが困難になったこと
この規定は強行規定であり、「中途解約できない」旨の特約があっても賃借人は解約申入れが可能です。解約の効力は申入れの日から1ヶ月後に生じます。
賃料増減額請求の特約——普通借家との違い
普通借家契約では「賃料を減額しない」旨の特約は無効ですが、定期借家契約では賃料の増額・減額いずれについても「請求しない」旨の特約が有効です(借地借家法38条9項)。この違いは頻出です。
定期借家 vs 普通借家 比較表
| 項目 | 定期借家 | 普通借家 |
|---|---|---|
| 更新 | なし(再契約は可) | あり(正当事由なければ拒絶不可) |
| 契約方法 | 書面(公正証書含む) | 書面でも口頭でも可 |
| 事前説明 | 別書面で必要 | 不要 |
| 期間の下限 | 制限なし | 1年未満は期間の定めなしとみなす |
| 賃料減額請求 | 排除特約も有効 | 排除特約は無効 |
宅建試験の出題ポイントまとめ
- 契約は書面が必要だが、公正証書に限定されない
- 事前説明は契約書とは別の書面で行う(同一書面では不可)
- 説明を怠ると「更新なし」の定めだけが無効になる
- 1年以上の契約は終了通知が必要。通知忘れでも通知後6ヶ月で対抗可
- 賃借人の中途解約は居住用・200㎡未満・やむを得ない事情の3要件
- 賃料の増額しない特約も減額しない特約もどちらも有効






