転貸のポイント一覧
- 賃借人が賃貸人に無断で転貸をした場合、背信的行為(裏切り行為)と認められる特段の事情があるときに限り、賃貸人は契約解除することができる=背信信的行為を認められない場合、たとえ無断転貸でも賃貸人は契約解除ができない
- 転貸後に賃借人の賃料不払いがあった場合、賃貸人は、転貸人に対して直接「賃料と転貸料の低い方」を請求できる
転貸とは?
転貸とは、簡単に言えば又貸しのことです。
賃借権を他人に譲渡することを言います。
例えば、
A所有の建物をBに貸したとします。
始めはBが建物に住んでいたのですが、母の体の様態が悪くなり
実家に戻ることになり、他人に貸そうとしました。
たまたまCが、Bの借りていた建物に住みたいというので、
Bが貸主、Cが借主となって賃貸借契約を結んで、 CがA所有の建物に住むことになりました。
この場合、Bは賃借人でもあり、転貸人(又貸しの貸主)でもあります。
そして、転貸で重要なポイントの一つは
賃貸人の承諾がなければ、転貸してはならないということです。
違反した場合はどうなるか? が問題となります。
賃借人(B)に背信的行為(裏切り行為)と認められる特段の事情がなければ
賃貸人Aは賃貸借契約を解除することができません。
この点がよく試験に出題されます。
逆に言えば、賃貸人の承諾なく転貸しても、背信的行為と認められなければ解除されないということです。
例えば、
自分(賃借人)が旅行に行っている1週間の間、
知り合いに貸すくらいであれば、背信的行為とは認められず、解除されません。
ちなみに、借家権については、借地権のような裁判所の許可制度はありません。
転貸後に賃借人の賃料不払いがあったときどうなるか?
例えば、 AがBに賃料10万円で賃借し、 BがCに賃料12万円で賃借(転借)しているとします。
そして、BがAに対して賃料10万円を支払わなかったといます。
この場合、Aは、Bに対する賃料の限度で、Cに対し、
賃料を自分に直接支払うよう請求することができます。
つまり、Aは10万円を限度でCに対して直接払うように請求できます。
転貸の問題一覧
■問1
A所有の甲建物につき、Bが一時使用目的ではなく賃料月額10万円で賃貸借契約を締結する場合、BがAに無断で甲建物を転貸しても、Aに対する背信的行為と認めるに足らない特段の事情があるときは、Aは賃貸借契約を解除できない。(2009-問12-1)
答え:正しい
原則、無断転貸(無断で借家権を譲渡)すると、賃貸人は解除できます。
しかし、判例では、「背信的行為と認めるに足りない事情」によって無断転貸した場合は、賃貸人は解除できないとしています。
したがって、本問は正しいです。
これは言い回しをしっかり理解する必要があります!
どのように理解するのかは「個別指導」で解説していきます!
このように問題文の意味が分かっていない方は非常に多いので、それでは本試験で合格できません。
しっかり1問1問理解をしましょう!
■問2
Aは、B所有の甲建物につき、居住を目的として、期間2年、賃料月額10万円と定めた賃貸借契約をBと締結して建物の引渡しを受けた。AがBとの間の信頼関係を破壊し、本件契約の継続を著しく困難にした場合であっても、Bが本件契約を解除するためには、民法第541条所定の催告が必要である。 (2010-問12-2)
答え:誤り
債務不履行による解除をする場合、原則、相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内に履行がないときでなければ、相手方は、契約の解除をすることができません。
しかし、判例では、当事者の一方が信頼関係を裏切り、賃貸借関係の継続を著しく困難にする行為をした場合は「催告」する必要はなく、直ちに契約解除をすることができます。本問は「民法第541条所定の催告が必要である」という記述は誤りです。
■問3
Aは、自己所有の甲建物 (居住用) をBに賃貸し、引渡しも終わり、敷金50万円を受領した。BがAの承諾を得て賃借権をDに移転する場合、賃借権の移転合意だけでは、敷金返還請求権 (敷金が存在する限度に限る。) はBからDに承継されない。 (2008-問10-3)
答え:正しい
貸主の承諾を得て賃借権(借家権)が譲渡された場合でも、敷金返還請求権は、新賃借人Dには、原則として承継されません。
つまり、新たな賃借人Dは、原則、退去後に、敷金を返還してもらうことはできません。したがって、本問は正しいです。
これはなぜ承継されないのか?理解しておくとよいでしょう!
「個別指導」では考え方まで解説しています。
■問4
Aは、自己所有の甲建物 (居住用) をBに賃貸し、引渡しも終わり、敷金50万円を受領した。Aが甲建物をCに譲渡し、所有権移転登記を経た場合、Bの承諾がなくとも、敷金が存在する限度において、敷金返還債務はAからCに承継される。 (2008-問10-2)
答え:正しい
判例では、賃貸人Aが賃貸借契約期間中に建物をC(新賃貸人)に譲渡し、所有権移転登記を経た場合は、賃借人Bの同意がなくても、敷金返還債務は旧賃貸人Aから新賃貸人Cに承継されます。
キチンとイメージできるようにしておきましょう!
「個別指導」では、イメージできるように図にするだけでなく、対比ポイントも3つに分けて解説しています!
■問5
AとBとの間で、平成16年4月に、BがCから借りている土地上のB所有の建物について賃貸借契約 (期間2年) を締結し引渡しを受け、債務不履行をすることなく占有使用を継続している。Bが、Cの承諾を得ることなくAに対して借地上の建物を賃貸し、それに伴い敷地であるその借地の利用を許容している場合でも、Cとの関係において、借地の無断転貸借とはならない。 (2006-問14-1)
答え:正しい
借地上の建物の賃貸では、土地の賃借権の無断転貸にはなりません。
それはなぜか?
理由は「個別指導」で解説しています!
■問6
賃貸借契約が終了した後、賃借人Aが建物を明け渡す前に、賃貸人(建物所有者)Bが建物を第三者Cに譲渡した場合で、BC間でCに敷金を承継させる旨を合意したとき、敷金に関する権利義務は当然にCに承継される。 (2003-問11-4)
答え:誤り
賃貸借契約が終了した後も、建物を元賃借人Aが占有し続けていて、元賃借人Aが建物を明け渡す前に、建物が譲渡された場合、たとえ、旧所有者Bと新所有者Cとが合意していても、終了した賃貸借での敷金は新所有者Cに承継されません。Aは前所有者Bに対する敷金請求権を有します。契約が終了した時点で敷金返還に関する権利義務が確定すると考えれば分かりやすいです。
※Aを元賃借人と記述している理由は、賃貸借契約が終了しているため、厳密には賃借人ではなくなっているからです。
■問7
賃貸借契約期間中に賃借人AがDに対して賃借権を譲渡した場合で、賃貸人Bがこの賃借権譲渡を承諾したとき、敷金に関する権利義務は当然にDに承継される。 (2003-問11-3)
答え:誤り
賃貸人の承諾を得て賃借権(借家権)が譲渡された場合でも、敷金返還請求権は、新賃借人Dには、原則として承継されません。つまり、新たな賃借人Dは、原則、退去後に、敷金を返還してもらうことはできません。
これは、考え方が重要です。考え方さえ理解できれば、覚えることもないでしょう!なぜなら常識的に考えて当たり前だからです!
「個別指導」では、この考え方を解説しています!
市販のテキストや解説、予備校ではこんなことまで教えていないでしょう!
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■問8
賃貸借契約期間中に賃貸人Bが建物を第三者Cに譲渡した場合で、Cが賃貸人の地位を承継したとき、敷金に関する権利義務は当然にCに承継される。 (2003-問11-4)
答え:正しい
賃貸借契約期間中に元賃貸人が建物を譲渡した場合、新賃貸人に敷金返還債務が承継されます。
例えば、賃借人Aが賃貸人Bに敷金10万円を預け入れて建物の賃貸借契約を締結したとします。
その後、Bが当該建物をCに売却した場合、AC間で賃貸借契約が引き継がれ、契約終了して明渡し後の「敷金10万円」は新賃貸人CがAに対して返還しなければなりません。
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