借家権(建物賃貸借)の存続期間と対抗要件のポイント一覧
- 明らかな一時使用や使用貸借は借地借家法が適用されない
- 建物賃貸借契約の存続期間の規定はない。ただし、1年未満で定めると、存続期間の定めのない契約とみなされる
- 借家権の対抗要件は、借家権(建物賃借権)の登記 or 建物の引渡し
借家権(建物賃貸借)とは?
借家権とは、建物の賃借権のことです。
明らかな一時使用や使用貸借は借地借家法が適用されません。
存続期間
建物賃貸借契約の存続期間の規定はありません。自由に期間を設定できます。
ただし、1年未満で定めると、存続期間の定めのない契約とみなされます
土地の賃貸借契約(借地権)の存続期間は最初は30年、次は20年、それ以降は10年です。
比較してきちんと覚えておいてください。
借家権の対抗要件
借家権を第三者に対抗するためには以下のいずれかに該当しなければなりません。
- 借家権(建物賃借権)の登記
- 建物の引渡(賃借権の登記不要)
借家権の登記をす るためには大家の承諾が必要です。一般的に、大家は承諾してくれません。
それでは、賃借人を保護できないので、
登記がなくても建物の引渡を受けていれば第三者に対抗できると借地借家法で規定しました。
借家権の存続期間と対抗要件の問題一覧
■問1
Aは、自己所有の甲不動産を3か月以内に、1,500万円以上で第三者に売却でき、その代金全額を受領することを停止条件として、Bとの間でB所有の乙不動産を2,000万円で購入する売買契約を締結した。条件成就に関する特段の定めはしなかった。乙不動産が値上がりしたために、Aに乙不動産を契約どおり売却したくなくなったBが、甲不動産の売却を故意に妨げたときは、Aは停止条件が成就したものとみなしてBにAB間の売買契約の履行を求めることができる。 (2011-問2-1)
答え:正しい
条件が成就することによって不利益を受ける者Bが、故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方Aは、その条件が成就(成立)したものとみなすことができます。つまり、AはBに対して売買契約の履行を求めることができます。
この問題も理解していただきたい問題ですね!
理解の仕方については「個別指導」で分かりやすく解説しています!
是非この解説を使ってイメージできるようにしてください!
常識的に考えて答えを導けますので!
■問2
賃貸人と賃借人との間で、建物につき、期間5年として定期借家契約を締結する場合と、 期間5年として普通借家契約を締結する場合について、賃借権の登記をしない限り賃借人は賃借権を第三者に対抗することができない旨の特約を定めた場合、定期借家契約においても、普通借家契約においても、当該特約は無効である。 (2015-問12-1)
答え:正しい
建物の賃借権の対抗要件は「賃借権の登記」もしくは「建物の引渡し」です。
つまり、建物賃借権の登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後、その建物について物権を取得した者に対し、対抗できます。
これに反する特約で建物の賃借人や転借人に不利なものは無効です。
本問の「賃借権の登記をしない限り賃借人は賃借権を第三者に対抗することができない旨の特約」は、賃借人にとって不利なものであるから、無効です。
これは、定期借家契約でも、普通借家契約でも、同じです。
■問3
AがBとの間で、A所有の甲建物について、期間3年、賃料月額10万円と定めた賃貸借契約を締結した場合にして、Cが、AB間の賃貸借契約締結前に、Aと甲建物の賃貸借契約を締結していた場合、AがBに甲建物を引き渡しても、Cは、甲建物の賃借権をBに対抗することができる。 (2015-問11-3)
答え:誤り
ポイントは、『建物の賃借権の対抗要件は「賃借権の登記」もしくは「建物の引渡し」』という部分です!
ACで先に賃貸借契約を締結し、その後、AB間で賃貸借契約を締結しているというのが本問の内容です。
質問内容は「CはBに対抗できる」〇か×か?です。
賃借人Cが第三者に対抗するための要件は「賃借権の登記」もしくは「建物の引渡し」です。
また、賃借人Bが第三者に対抗するための要件も「賃借権の登記」もしくは「建物の引渡し」です。
本問では、「AがBに甲建物を引き渡しても」と記述されているので、Cが対抗要件を備えています。
つまり、 「CはBに対抗できない」ので本問は誤りです!
■問4
Aは、B所有の甲建物につき、居住を目的として、期間2年、賃料月額10万円と定めた賃貸借契約をBと締結して建物の引渡しを受けた。当該契約期間中にBが甲建物をCに売却した場合、Aは甲建物に賃借権の登記をしていなくても、Cに対して甲建物の賃借権があることを主張することができる。 (2010-問12-1)
答え:正しい
建物の賃借人は「建物の引渡し」もしくは「賃借権の登記」で対抗力を備えます。
今回、建物賃借人Aは第三者Cへの売却前に建物の引渡しを受けているので、AはCに対抗できます。
キチンと問題文の状況を理解した上でルールを適用できるようにしましょう!
「個別指導」では問題文の状況についても解説しています!
■問5
A所有の甲建物につき、Bが一時使用目的ではなく賃料月額10万円で賃貸借契約を締結する場合について、Aが甲建物をDに売却した場合、甲建物の引渡しを受けて甲建物で居住しているBはDに対して賃借権を主張できる。 (2009-問12-3)
答え:正しい
建物賃貸借では、「賃借権の登記」もしくは「建物の引渡し」があれば、第三者に対抗できます。
Bは甲建物の引渡しを受けていることから借家権の対抗要件を備えています。
したがって、甲建物が第三者Dに売却されても、借家権を主張できます。
したがって、本問は正しいです。
■問6
賃借人が賃借権の登記もなく建物の引渡しも受けていないうちに建物が売却されて所有者が変更すると、定期建物賃貸借契約の借主は賃借権を所有者に主張できない。 (2007-問14-4)
答え:正しい
定期建物賃貸借は借地借家法が適用されるので、対抗要件は「建物の賃借権の登記」もしくは「建物の引渡し」です。
したがって、賃借権の登記もなく建物の引渡しも受けていないうちに建物が売却されて所有者が変更すれば、借主は新所有者に賃借権を主張できません。
■問7
AはBとの間で、平成16年4月に、BがCから借りている土地上のB所有の建物について賃貸借契約(期間2年)を締結し引渡しを受け、債務不履行をすることなく占有使用を継続している。借地権の期間満了に伴い、Bが建物買取請求権を適法に行使した場合、Aは、建物の賃貸借契約を建物の新たな所有者Cに対抗できる。 (2006-問14-2)
答え:正しい
建物の賃借人の対抗要件は「建物の引渡し」もしくは「賃借権の登記」です。
今回、賃借人Aは引渡しを受けています。つまり対抗要件を満たしているので、AはCに対抗できます。
これも単に上記を覚えるだけではダメです。。。
使える知識にしていかないと、、、
そのためには問題文をしっかり理解しましょう!
理解の仕方は「個別指導」で解説します!