「抵当権に基づく差押と相殺」の重要ポイントと解説

抵当権に基づく差押と相殺のポイント一覧

  1. 抵当権設定に反対債権を取得した場合、抵当権が勝つ(相殺できない)
  2. 抵当権設定に反対債権を取得した場合、反対債権を有する者が勝つ(相殺できる)

抵当権設定後に反対債権を取得した場合

下図をご覧ください。
①AはBにA所有の甲土地を貸して、「Bに対する賃料債権」を取得しました。
②その後、AはCからお金を借り、Cの為に甲土地に抵当権を設定しました。
(Cは抵当権を取得)
③さらに、AはBからもお金を借りました。(BはAに対する貸金債権を取得)
④BはCにお金を返さないため、抵当権に基づいて、「Bに対する賃料債権」を差押ました。

この場合、BはAに対する貸金債権をもってCが取得した「Bに対する賃料債権」と相殺することができるのでしょうか?

抵当権に基づく差押えと相殺の対抗関係

この場合、Bが取得した反対債権が抵当権設定前に取得していたかどうかで判断します。

本肢のように、抵当権取得後にBは反対債権を取得しているため、Cに相殺を主張することができません

抵当権設定前に反対債権を取得した場合

この場合、たとえ、CがBに対する賃料債権を差し押さえたとしても、Bは相殺することができます

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抵当権に基づく差押と相殺の問題一覧

■問1
Aは自己所有の甲建物をBに賃貸し賃料債権を有している。甲建物の抵当権者Dが、物上代位権を行使してAのBに対する賃料債権を差し押さえた場合、Bは、Dの抵当権設定登記の後に取得したAに対する債権と、差し押さえにかかる賃料債務とを、相殺適状になった段階で相殺し、Dに対抗することができる (2011-問6-2)

答え:誤り

抵当権に基づく差押と相殺の関係では、反対債権を抵当権設定前に取得していたかどうかで判断します。
債務者Bが取得したのは、Dの抵当権設定後なので、BはDが抵当権に基づいて差し押さえた債権と相殺することはできません。

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