AがBとの間で、A所有の甲土地につき建物の所有を目的として一時使用目的ではない賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)を締結する場合に関する次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1.甲土地にBが賃借権の登記をしなくても、Bの配偶者であるCを所有者として登記されている建物が甲土地上に存在する場合には、甲土地がAからDに売却されても、BはDに対して甲土地に賃借権を有していることを主張できる。
2.本件契約の存続期間が50年であり、契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がない旨を定める場合、一定期間地代を減額せず、その期間は地代の減額請求ができない旨の特約を有効に定めることができる。
3.本件契約が専らBの事業の用に供する建物の所有を目的とし、存続期間が50年である場合、契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がない旨、並びにBが借地借家法第13条の規定による建物の買取りの請求をしない旨の特約を書面で有効に定めることができる。
4.本件契約が公正証書によって行われていれば、専らBの居住の用に供する建物の所有を目的とし、存続期間を20年と定めていても、Aは正当事由があれば、20年が経過した時点で遅滞なく異議を述べて更新を拒絶することができる。
甲土地にBが賃借権の登記をしなくても、Bの配偶者であるCを所有者として登記されている建物が甲土地上に存在する場合には、甲土地がAからDに売却されても、BはDに対して甲土地に賃借権を有していることを主張できる。
1・・・ 誤り
本来、賃借権(土地を借りる権利)を第三者(新オーナーなど)に主張するには、不動産登記法に基づき「賃借権の登記」をするのが原則です(民法605条)。しかし、実際には地主が登記に協力してくれないケースが多く、借り主を守るために特別なルールとして、「借りた土地の上に、借地権者本人名義で保存登記等がされた建物があれば、借地権を対抗できる」というルールが作られました。
問題文では、土地の借り主は「B」ですが、建物の登記名義は配偶者の「C」になっています。 法律上、「BとCは別人」として扱われます。たとえ夫婦であっても、本人名義の登記でなければ、新しい土地所有者Dに対して「ここは私が借りている土地だ!」と主張することはできません。よって、誤りです。
本肢は3つの関連ポイントも一緒に勉強した方が効率的に理解学習できます!そのため個別指導では、関連ポイントも一緒に解説します!
本件契約の存続期間が50年であり、契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がない旨を定める場合、一定期間地代を減額せず、その期間は地代の減額請求ができない旨の特約を有効に定めることができる。
2・・・ 誤り
たとえ定期借地権であっても、「地代を減額しない」という借り手に不利な特約は認められません。よって、本肢は特約は無効なので誤りです。
この問題を解くカギは、「定期借地権で排除できるもの」と「地代のルールの性質」を分けて考えることです。
① 定期借地権の「3つの特約」
借地借家法第22条(一般定期借地権)では、期間を50年以上とする場合に限り、以下の3つを「ないこと」にできます。
- 契約の更新がない
- 建物の築造による存続期間の延長がない
- 建物買取請求権を行使しない
そして、定期借地権で特約できるのは、あくまで「借地の終わり方」に関するこの3つだけです。「地代の決め方」については、定期借地権であっても「普通の借地」と同じルールが適用されます。
では、「普通の借地」と同じルールには何があるか?
例えば、「地代増減請求権のルール(借地借家法第11条)」です。
地代が経済状況の変化などで不相当になった場合、当事者は「値上げ(増額)」や「値下げ(減額)」を請求できます。
- 増額しない特約:有効(借り手に有利なのでOK)
- 減額しない特約:無効(借り手に不利なのでNG)
これは強行規定と呼ばれ、契約書にどう書いてあろうと、借り手の「下げてほしい」という権利を完全に奪うことはできません。
よって、たとえ定期借地権であっても、「地代を減額しない」という借り手に不利な特約は認められません。
本件契約が専らBの事業の用に供する建物の所有を目的とし、存続期間が50年である場合、契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がない旨、並びにBが借地借家法第13条の規定による建物の買取りの請求をしない旨の特約を書面で有効に定めることができる。
3・・・ 正しい
本問の最大の「ひっかけポイント」は、「事業用」という言葉に惑わされて「事業用定期借地権」だと思い込んでしまうことにあります。
本問は「50年」です。事業用定期借地権等は「50年未満」でなければならないため、50年の場合は自動的に一般定期借地権のルールが適用されます。
そして、一般定期借地権は用途を問いません。たとえ「事業用」であっても、期間が50年以上であれば一般定期借地権として設定可能です。
次に特約の内容ですが、一般定期借地権の「3大特約(更新なし・延長なし・買取請求なし)」を有効にするには、「書面」による契約が必要です。公正証書である必要はありません(もちろん公正証書でもOKです)。
本件契約が公正証書によって行われていれば、専らBの居住の用に供する建物の所有を目的とし、存続期間を20年と定めていても、Aは正当事由があれば、20年が経過した時点で遅滞なく異議を述べて更新を拒絶することができる。
4・・・ 誤り
この問題の核心は、「普通借地権において、期間を30年未満に設定できるか?」および「公正証書ならルールが変わるのか?」という点にあります。
本肢が 「誤り」 である理由は以下の3点に集約されます。
最短期間のルール(強制規定):
借地借家法において、建物の所有を目的とする借地権(普通借地権)の存続期間は「最短でも30年」と定められています。これより短い期間(20年など)を定めても、その定めは無効となり、自動的に30年になります。
公正証書の効力:
「公正証書で契約すれば期間を短縮できる」というルールは普通借地権にはありません。公正証書が必須(または有効)となるのは、主に「定期借地権」を設定する場合ですが、本問は「更新を拒絶できるか」という文脈、つまり普通借地権を前提としているため、書面の種類で期間の最短制限が覆る(くつがえる)ことはありません。
更新拒絶のタイミング:
期間が30年になる以上、20年が経過した時点ではまだ契約期間中(残り10年ある)です。期間が満了していない以上、たとえ正当事由があっても「更新拒絶」という概念自体が成立しません。
借地借家法では、「普通借地権」と「定期借地権」を整理しておくこと鉄則です。
整理の仕方は個別指導で解説します。
令和7年(2025年):宅建試験・過去問
- 問1
- 意思表示・物権変動
- 問2
- 保証・連帯保証
- 問3
- 意思表示
- 問4
- 担保物権・相殺
- 問5
- 相続(代襲相続)
- 問6
- 物権変動
- 問7
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- 問8
- 共有
- 問9
- 連帯債務
- 問10
- 契約不適合責任
- 問11
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- 問13
- 区分所有法
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- 問17
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- 重要事項説明・35条書面
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