Aは、所有している甲土地につき、Bとの間で建物所有を目的とする賃貸借契約(以下この問において「借地契約」という。)を締結する予定であるが、期間が満了した時点で、確実に借地契約が終了するようにしたい。この場合に関する次の記述のうち、借地借家法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1.事業の用に供する建物を所有する目的とし、期間を60年と定める場合には、契約の更新や建物の築造による存続期間の延長がない旨を書面で合意すれば、公正証書で合意しなくても、その旨を借地契約に定めることができる。
2.居住の用に供する建物を所有することを目的とする場合には、公正証書によって借地契約を締結するときであっても、期間を20年とし契約の更新や建物の築造による存続期間の延長がない旨を借地契約に定めることはできない。
3.居住の用に供する建物を所有することを目的とする場合には、借地契約を書面で行えば、借地権を消滅させるため、借地権の設定から20年が経過した日に甲土地上の建物の所有権を相当の対価でBからAに移転する旨の特約を有効に定めることができる。
4.借地契約がBの臨時設備の設置その他一時使用のためになされることが明らかである場合には、期間を5年と定め、契約の更新や建物の築造による存続期間の延長がない旨を借地契約に定めることができる。
1.Aは、所有している甲土地につき、Bとの間で建物所有を目的とする賃貸借契約(借地契約)を締結する予定であるが、期間が満了した時点で、確実に借地契約が終了するようにしたい。
事業の用に供する建物を所有する目的とし、期間を60年と定める場合には、契約の更新や建物の築造による存続期間の延長がない旨を書面で合意すれば、公正証書で合意しなくても、その旨を借地契約に定めることができる。
1・・・ 正しい
期間が満了した時点で、確実に借地契約が終了するためには、「定期借地権」を設定する必要があります。
一般定期借地権については、書面で合意すればよく、公正証書の必要はありません。
そして、一般定期借地権は、「存続期間を50年以上」であれば締結できます(借地借家法22条)。
したがって、一般定期借地権を設定することによって、期間満了をもって契約を終了させることができますし、また、書面で合意すればよく、公正証書による必要はありません。
よって、正しいです。
一般定期借地権で整理すべき部分は、個別指導で解説します!
2.Aは、所有している甲土地につき、Bとの間で建物所有を目的とする賃貸借契約(借地契約)を締結する予定であるが、期間が満了した時点で、確実に借地契約が終了するようにしたい。
居住の用に供する建物を所有することを目的とする場合には、公正証書によって借地契約を締結するときであっても、期間を20年とし契約の更新や建物の築造による存続期間の延長がない旨を借地契約に定めることはできない。
2・・・正しい
期間が満了した時点で、確実に借地契約が終了するためには、「定期借地権」を設定する必要があります。
そして、「居住の用に供する建物を所有することを目的とする場合」、事業用借地権は設定できません。
そのため、事業用借地権以外の定期借地権を設定する必要があります。
しかし、「存続期間が20年」となると、事業用借地権以外の定期借地権はありません。
そのため、本問の場合、期間が満了した時点で、確実に借地契約が終了するための借地権を設定できないです。
よって、本問は正しいです。
事業用借地権で整理すべき部分は、個別指導で解説します!
3.Aは、所有している甲土地につき、Bとの間で建物所有を目的とする賃貸借契約(借地契約)を締結する予定であるが、期間が満了した時点で、確実に借地契約が終了するようにしたい。
居住の用に供する建物を所有することを目的とする場合には、借地契約を書面で行えば、借地権を消滅させるため、借地権の設定から20年が経過した日に甲土地上の建物の所有権を相当の対価でBからAに移転する旨の特約を有効に定めることができる。
3・・・誤り
期間が満了した時点で、確実に借地契約が終了するためには、「定期借地権」を設定する必要があります。
定期借地権の一つに「建物譲渡特約付借地権」があります。
これは、借地権設定後30年以上を経過して日において、借地上の建物を借
地権設定者に相当の対価で譲渡することで、借地権を消滅させる旨を定めた契約です。
そして、「建物譲渡特約付借地権」を設定するには「存続期間が30年以上」でなければなりません(借地借家法24条1項)。
したがって、「借地権設定後20年で譲渡する旨」を定めることはできません。
よって、誤りです。
建物譲渡特約付借地権で整理すべき部分は、個別指導で解説します!
4.Aは、所有している甲土地につき、Bとの間で建物所有を目的とする賃貸借契約(借地契約)を締結する予定であるが、期間が満了した時点で、確実に借地契約が終了するようにしたい。
借地契約がBの臨時設備の設置その他一時使用のためになされることが明らかである場合には、期間を5年と定め、契約の更新や建物の築造による存続期間の延長がない旨を借地契約に定めることができる。
4・・・正しい
一時使用のための借地権は、民法が適用されます(借地借家法25条)。
民法では、存続期間は50年以下で定めればよく、また、更新のない契約も可能です(民法604条1項)。
したがって、期間5年で、存続期間の延長がない借地契約を定めることができます。
令和3年(2021年)10月試験分:宅建試験・過去問
- 問1
- 同時履行の抗弁権(判決文)
- 問2
- 連帯債務
- 問3
- 民法総合
- 問4
- 配偶者居住権
- 問5
- 制限行為能力者
- 問6
- 債権譲渡
- 問7
- 売買契約
- 問8
- 工作物責任
- 問9
- 相続
- 問10
- 選択債権
- 問11
- 借地権
- 問12
- 借家権
- 問13
- 区分所有法
- 問14
- 不動産登記法
- 問15
- 都市計画法
- 問16
- 都市計画法(開発許可)
- 問17
- 建築基準法
- 問18
- 建築基準法
- 問19
- 宅地造成等規制法
- 問20
- 土地区画整理法
- 問21
- 農地法
- 問22
- 国土利用計画法
- 問23
- 所得税
- 問24
- 不動産取得税
- 問25
- 不動産鑑定評価基準
- 問26
- 重要事項説明書(35条書面)
- 問27
- 免許
- 問28
- 宅建士
- 問29
- 業務上の規制
- 問30
- 広告
- 問31
- 保証協会
- 問32
- 免許
- 問33
- 重要事項説明書(35条書面)
- 問34
- 営業保証金
- 問35
- 宅建士
- 問36
- 重要事項説明書(35条書面)
- 問37
- 重要事項説明・37条書面
- 問38
- 媒介契約
- 問39
- クーリングオフ
- 問40
- 業務上の規制
- 問41
- 37条書面
- 問42
- 8種制限
- 問43
- 業務上の規制
- 問44
- 報酬計算
- 問45
- 住宅瑕疵担保履行法
- 問46
- 住宅金融支援機構
- 問47
- 不当景品類及び不当表示防止法
- 問48
- 統計
- 問49
- 土地
- 問50
- 建物