令和3年（2021年）10月試験・問10／宅建過去問

ＡとＢとの間で、Ａを売主、Ｂを買主とする、等価値の美術品甲又は乙のいずれか選択によって定められる美術品の売買契約（以下この問において「本件契約」という。）が令和３年
７月１日に締結された場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

１．本件契約において、給付の目的を甲にするか乙にするかについて、第三者Ｃを選択権者とする合意がなされた場合、Ｃが選択をすることができないときは、選択権はＢに移転する。

２．本件契約において、給付の目的を甲にするか乙にするかについて、Ａを選択権者とする合意がなされた後に、Ａの失火により甲が全焼したときは、給付の目的物は乙となる。

３．本件契約において、給付の目的を甲にするか乙にするかについての選択権に関する特段の合意がない場合、Ｂが選択権者となる。

４．本件契約において、給付の目的を甲にするか乙にするかについて、第三者Ｄを選択権者とする合意がなされた場合、Ｄが選択権を行使するときは、ＡとＢの両者に対して意思表示をしなければならない。

１・・・誤り

第三者が選択権者となっている場合に、原則として、この第三者が「甲にするか乙にするか」を決めます（民法409条1項）。

しかし、その第三者が選択することができない、または選択しない場合には、「債務者である売主Ａ」が選択権を持ちます（民法409条2項）。

よって、「選択権はＢに移転する」が誤りで、正しくは「選択権はＡに移転する」です。

２・・・正しい

選択権者Ａの過失により、履行不能となった場合、選択権は残存するものについて存在します。つまり、甲が全焼した（履行不能となった）ときは、当然に乙が選択されることになります（民法410条）。

よって、売主Ａは、乙を買主Ｂに引き渡します。

３・・・誤り

選択債権の選択権者は、原則、債務者（売主Ａ）です（民法406条）。ただし、特段の合意があれば、その合意に従います。

本問は「特段の合意がない場合」なので、原則通り、選択債権の選択権者は、債務者（売主Ａ）です。

４・・・誤り

第三者が選択権者となっている場合、第三者は「債権者または債務者のどちらか一方」に対して、甲と乙のどちらを選択するか意思表示をすればよいです（民法409条1項）。

よって、「ＡとＢの両者に対して」は誤りです。

令和３年（2021年）10月試験分：宅建試験・過去問

問１

同時履行の抗弁権（判決文）

問２

連帯債務

問３

民法総合

問４

配偶者居住権

問５

制限行為能力者

問６

債権譲渡

問７

売買契約

問８

工作物責任

問９

相続

問１０

選択債権

問１１

借地権

問１２

借家権

問１３

区分所有法

問１４

不動産登記法

問１５

都市計画法

問１６

都市計画法（開発許可）

問１７

建築基準法

問１８

建築基準法

問１９

宅地造成等規制法

問２０

土地区画整理法

問２１

農地法

問２２

国土利用計画法

問２３

所得税

問２４

不動産取得税

問２５

不動産鑑定評価基準

問２６

重要事項説明書（35条書面）

問２７

免許

問２８

宅建士

問２９

業務上の規制

問３０

広告

問３１

保証協会

問３２

免許

問３３

重要事項説明書（35条書面）

問３４

営業保証金

問３５

宅建士

問３６

重要事項説明書（35条書面）

問３７

重要事項説明・37条書面

問３８

媒介契約

問３９

クーリングオフ

問４０

業務上の規制

問４１

37条書面

問４２

8種制限

問４３

業務上の規制

問４４

報酬計算

問４５

住宅瑕疵担保履行法

問４６

住宅金融支援機構

問４７

不当景品類及び不当表示防止法

問４８

統計

問４９

土地

問５０

建物