抵当権消滅請求のポイント一覧
- 抵当権消滅請求は、抵当不動産について、所有権を取得した者が、抵当権者に対して、抵当権の消滅を請求する制度
- 債務者は抵当権消滅請求ができない
抵当権消滅請求とは?
抵当権消滅請求と代価弁済は比較して覚えた方が効果的でしょう。
どちらも、第三取得者を保護するためのルールであることは覚えておいてください。
抵当権消滅請求とは、抵当不動産について、所有権を取得した者が、抵当権者に対して、抵当権の消滅を請求することができる制度です。
代価弁済とは、抵当不動産について、所有権または地上権を買い受けたものが、抵当権者の請求に応じて、その代価を弁済した時に抵当権が消滅する制度です。
例えば、BがAに対して、1000万円貸して、A所有の建物に抵当権を設定したとします。
その後、抵当権のついたまま、Cが800万円で購入しました。
売買代金をBに支払うことで、抵当権を外してもらう制度です。
現実問題、Cとしては、購入後、抵当権を消滅してもらえないと困るので、売買契約前に、抵当権者と打ち合わせをして、いくらであれば抵当権を消滅してもらえるかを相談します。
そして、金額が決まり次第、契約をし(特約で抵当権は消滅させる条件を追加しておきます。)、決済・引渡の際に、債権者に事前に決めたお金を持って行って、抵当権を抹消してもらう
という流れです。
抵当不動産の停止条件付第三取得者は、その停止条件の成否が未定である間は、抵当権消滅請求をすることができません。
もしかしたら、買わない場合もあるので、買うことが確定してからでないと、債権者は不安ですよね。
債務者は抵当権消滅請求できない
例えば、上記の例のように、BがAに対して、1000万円貸した場合に、担保とするものをAが持っていなかったので、Cが物上保証人という形で、C所有の建物を抵当権に設定したとします。
その後、AがCから800万円で建物を購入し、債権者Bに抵当権の消滅請求することはできません。
なぜなら、物件を買うお金があるのであれば、Bに弁済しろ!ということです。
また、債権者Bは200万円分が無担保の状態になり、不利益を被るわけです。
ここからは、少し難しく宅建試験で出題されても、難問の部類に入ってくるでしょう。
なので、後回しでも構いません。
抵当権消滅請求の時期
抵当不動産の第三取得者は、抵当権の実行としての競売による差押さえの効力が発生する前に、抵当権消滅請求をしなければなりません。
差押えられたら、自由に処分などをすることができないから仕方ないですよね。
抵当権消滅請求のみなし承諾
抵当権消滅請求は、登記している債権者全員に法定の書面を送達することで行うのですが、その後、各抵当権者が承諾してもらえれば、良いのですが、そううまくいかない場合があります。
ずっと返答しない場合もあります。そうなると、不動産の流通(経済)に不利益が生じるだけでなく、第三取得者にとっても不都合です。
そのため、その書面を抵当権者が受け取ってから2ヶ月以内に競売をしないと、抵当権消滅請求を承諾したものとみなされてしまうのです。
これが、みなし承諾です。
抵当権消滅請求の問題一覧
■問1
Aは、A所有の甲土地にBから借り入れた3,000万円の担保として抵当権を設定した。 Bの抵当権設定後、Aが第三者であるFに甲土地を売却した場合、FはBに対して、民法第383条所定の書面を送付して抵当権の消滅を請求することができる。 (2016-問4-4)
答え:正しい
Fは、抵当不動産の第三取得者です。したがって、抵当権者に対して、「売買代金を払うので抵当権を消滅してください!」と抵当権消滅請求をすることができます。
「売買代金を払うので抵当権を消滅してください!」という内容の書面が、民法383条所定の書類を指します。
■問2
抵当不動産の被担保債権の主債務者は、抵当権消滅請求をすることはできないが、その債務について連帯保証をした者は、抵当権消滅請求をすることができる。 (2015-問6-2)
答え:誤り
抵当権消滅請求ができる者は、「抵当不動産について所有権を取得した第三者」であって、「主たる債務者・保証人、連帯保証人、これらの者の相続人」は、抵当不動産を買い受けても、抵当権消滅請求をすることはできません。
したがって、本問は誤りです。
これは具体例をしっかり押さえておけば理解できる話です!そのため「個別指導」では具体例を解説し、さらに抵当権消滅請求の関連ポイントも一緒に解説しています!
■問3
Aを売主、Bを買主として甲土地の売買契約を締結した場合において、A所有の甲土地に抵当権の登記があり、Bが当該土地の抵当権消滅請求をした場合には、Bは当該請求の手続が終わるまで、Aに対して売買代金の支払を拒むことができる。 (2009-問10-4)
答え:正しい
抵当権消滅請求の手続きが終わるまで「抵当不動産の第三取得者」は代金の支払いを拒むことができます。
したがって、本問は正しいです。
これは具体例がないと理解できないと思うので、「個別指導」で具体例を図を使って細かく解説していきます!
■問4
抵当不動産の第三取得者から抵当権消滅請求にかかる民法第383条所定の書面の送付を受けた抵当権者が、同書面の送付を受けた後2か月以内に、承諾できない旨を確定日付のある書面にて第三取得者に通知すれば、同請求に基づく抵当権消滅の効果は生じない。 (2009-問6-4)
答え:誤り
抵当権者は抵当権消滅請求の書面を受けた後、2ヶ月以内に抵当権実行として競売の申立てをすれば抵当権の消滅は回避できます。
この申立てがなければ、抵当権消滅請求を承諾したとみなされます。したがって、本問の場合は、承諾したものとみなされ抵当権消滅の効果が生じます。
試験対策としては(実力をつけるには)、本問の答えだけでなく、体系的に理解しておく必要があります。
そのため、「個別指導」ではこの点を体系的に解説しています。
■問5
抵当不動産の第三取得者が抵当権消滅請求をするときは、登記をした各債権者に民法第383条所定の書面を送付すれば足り、その送付書面につき事前に裁判所の許可を受ける必要はない。 (2009-問6-3)
答え:正しい
抵当権消滅請求を行う際に、事前に裁判所の許可は不要です。
したがって、本問は正しいです。
抵当権消滅請求で行うことというと、「抵当不動産の第三取得者は、抵当権消滅請求をするときに、登記をしている抵当権者に対し、所定の書面を送付すること」ですが、どういうことかは理解する必要があります。
単に言葉を覚える勉強ではなく、どぅいうことかを理解する勉強をしないと本試験で対応できません。
したがって、「個別指導」ではこの点について細かく解説します。
■問6
抵当不動産の第三取得者は、当該抵当権の実行としての競売による差押えの効力が発生した後でも、売却の許可の決定が確定するまでは、抵当権消滅請求をすることができる。 (2009-問6-2)
答え:誤り
抵当不動産の第三取得者が、抵当権消滅請求できるのは、抵当権の実行としての競売による差押えの効力が発生する前までです。つまり、差押えの効力が発生した後は抵当権消滅請求ができません。
これも、具体例がないとどういうことか理解しづらいので「個別指導」では具体例と図を使って、解説します。
■問7
抵当権の被担保債権につき保証人となっている者は、抵当不動産を買い受けて第三取得者になれば、抵当権消滅請求をすることができる。 (2009-問6-1)
答え:誤り
主たる債務者・保証人は、抵当不動産を買い受けても、抵当権消滅請求をすることはできません。
言い換えると、主たる債務者と保証人は抵当権消滅請求する権利を与えられていないということです。
この点については、抵当権消滅請求を含め、理解をしておいたほうがよいので、「個別指導」で細かく解説します。
■問8
地上権を取得した第三者は抵当権消滅請求をすることができる。
答え:誤り
抵当権消滅請求は「抵当権がついた不動産」を買い受けた第三者が行う事ができます!
ここでいう「抵当権が付いた不動産を買い受けた第三者」は所有権を失う可能性がある第三取得者を指します。
地上権者は含まないので、地上権者は抵当権消滅請求はできません。