物上代位のポイント一覧
- 留置権に物上代位性は認められない
物上代位とは?(具体例)
例えば、お金を貸した担保として家に抵当権を設定している場合、債権者は「家の価値」を担保として把握しています。
もし、担保としていた物が無くなったりしたら、債権者は困りますよね。
そこで、担保が無くなった代わりに別の価値あるものに変わった場合、その変わった物(価値変形物)についても担保権の効力を認めよう!というのが、物上代位です。
下図では、家が火災で倒壊して、火災保険が降りる場合です。
「家という価値」が火災によって「保険金」に変わったわけです。
なので、保険金に対しても担保権を認めようということです。
物上代位をなすには保険金が払い渡される前に差押えをする必要があります。
その他、物上代位できるものの例として、不動産の収益としてあがってくる賃料債権も、覚えておきましょう。
留置権は物上代位性が認められない
例えば、壊れた時計を修理に出し、修理完了後、所有者に引き渡そうとしたら、所有者が 「修理代金は後日払うから、先に時計を渡してくれ」と言いました。 この場合、時計屋さんは修理代金をもらうまで、時計を渡さないで(留置して)おけます。
その後、修理業者の過失なく、時計が壊れて、保険金がおりたとしても、その保険金から、修理代金に充てることができません。(=留置権は物上代位できない)
なぜなら、留置権とは相手が債務(修理代金を払う)を履行するよう促すために、物を留置する権利であって、その物(時計)の価値を担保する権利ではないからです。
留置権は物上代位できない点だけ覚えてもよいでしょう。
担保物権にはその他、質権、抵当権、先取特権がありますが、この3つは物上代位性があるので、宅建試験に出る可能性もあります。
物上代位の問題一覧
■問1
Aは、A所有の甲土地にBから借り入れた3,000万円の担保として抵当権を設定した。 甲土地上の建物が火災によって焼失してしまったが、当該建物に火災保険が付されていた場合、Bは、甲土地の抵当権に基づき、この火災保険契約に基づく損害保険金を請求することができる。 (2016-問4-2)
答え:誤り
Bは甲土地に対して抵当権を有しているが、甲土地上の「建物」については抵当権を有していません。
したがって、甲土地上の建物が焼失して火災保険に基づく損害保険金が発生したとしても、Bは、この保険金を請求することができません。
(抵当権の効力は抵当権を設定していない建物には及ばない)
■問2
債権者が抵当権の実行として担保不動産の競売手続をする場合には、被担保債権の弁済期が到来している必要があるが、対象不動産に関して発生した賃料債権に対して物上代位をしようとする場合には、被担保債権の弁済期が到来している必要はない。 (2013-問5-1)
答え:誤り
抵当権に基づいて賃料債権を取りに行く場合(物上代位する場合)、被担保債権につき債務不履行があった後でないと物上代位できません。
ポイントはこれだけですが、この問題からは色々なことを学ぶことができます!
内容が濃すぎるので具体例を出しながら「個別指導」で解説しています!
■問3
Aの抵当権設定登記があるB所有の建物について、CがBと賃貸借契約を締結した上でDに転貸していた場合、Aは、CのDに対する転貸賃料債権に当然に物上代位することはできない。 (2012-問7-4)
答え:正しい
結論からいうと、判例により、
賃料に対する物上代位について、抵当権設定者Bが取得する賃料に対しては抵当権の効力を及ぼすことができるが、賃借人Cが取得する転貸賃料についてまでは抵当権の効力を及ぼすことはできません。
Bがお金を返さないからBがCからもらえるべき賃料をAが物上代位することはできるのは予想がつきます。
一方、CがDからもらえる賃料についてAが物上代位できるとなると、Bの賃料不払いに全く関係ないCには酷になります。
したがって、Aは、CのDに対する転貸賃料債権に当然に物上代位することはできません。
このように理解すれば「なるほど!」と思いますよね!
これが理解学習です!
こういった解説を「個別指導」ではたくさん用意しています!
もちろん、物上代位がどういったものかも詳しく解説しています。
一つだけ理解学習してもあまり効果はありません。
宅建の全ての範囲において、理解できるかどうかを検討しながら学習を進めることで理解学習を実践できるので、宅建に合格する力を付けるために是非、「個別指導 」をご利用ください!
■問4
Aの抵当権設定登記があるB所有の建物が火災によって焼失してしまった場合、Aは、当該建物に掛けられた火災保険契約に基づく損害保険金請求権に物上代位することができる。 (2012-問7-3)
答え:正しい
抵当権は物上代位性を有します。
つまり、抵当権の目的物(建物)が滅失して別の価値あるものに変わった場合 (本肢では建物が滅失して損害保険金という別の価値に変わりました) 抵当権はその変わった価値にも効力が及びます。
これを物上代位といいます。
そして、あわせて覚えていただきたいことは、
物上代位をなすには保険金が払い渡される前に差押えをする必要がある
というところです。
本問も具体例を出して順を追って解説した方がわかりやすいし、理解もできます。
そのため、「個別指導」では具体例を出しながら解説しています!
■問5
Aの抵当権設定登記があるB所有の建物の賃料債権について、Aが当該建物に抵当権を実行していても、当該抵当権が消滅するまでは、Aは当該賃料債権に物上代位することができる。 (2012-問7-2)
答え:正しい
抵当権設定後、抵当権が実行した後も、抵当権実行の結果抵当権が消滅するまでは、同時に、賃料債権から賃料に物上代位することができます(賃料から弁済を受けることが可能)。
に対して抵当権を行使することができる。
本問がどういう状況か説明できますか?
具体例がないと分かりづらいと思います。
なので、「個別指導」では具体例を使って解説しています!
具体例がイメージできれば理解学習ができます!
あなたも合格する為に具体例でイメージしましょう!
文字を丸暗記しても理解できていなければ、すぐ忘れるし、覚えていても使えない知識となってしまいます。
それだとせっかく勉強したのにもったいないですよね!?
■問6
Aの抵当権設定登記があるB所有の建物の賃料債権について、Bの一般債権者が差押えをした場合には、Aは当該賃料債権に物上代位することができない。なお、物上代位を行う担保権者は、物上代位の対象とする目的物について、その払渡し又は引渡しの前に差し押さえるものとする。 (2012-問7-1)
答え:誤り
一般債権者の差し押さえと抵当権者の物上代位権に基づく差し押さえが競合した場合、両者の優劣は、一般債権者の申し立てによる差し押さえ命令の第三債務者(賃借人)への送達と抵当権設定登記の先後によって決まります。
本肢は、Aの抵当権設定→一般債権者が建物賃料債権の差し押さえ
という時系列なので、Aが優先、Aは当該賃料債権に物上代位することができます。
ここであわせて覚えていただきたいことは、
抵当権は、その目的物の賃料に対しても、行使することができる
ということです。
この問題は物上代位も理解しないといけないし、問題文の理解をしないといけないし、法律も理解としないといけないので、「個別指導」では、細かく一つ一つ解説しています。
■問7
AはBから2,000万円を借り入れて土地とその上の建物を購入し、Bを抵当権者として当該土地及び建物に2,000万円を被担保債権とする抵当権を設定し、登記した。当該建物に火災保険が付されていて、当該建物が火災によって焼失してしまった場合、Bの抵当権は、その火災保険契約に基づく損害保険金請求権に対しても行使することができる。 (2010-問5-2)
答え:正しい
抵当権を設定した建物が火災等によって「保険金請求権」という別の価値に変わった場合、抵当権者は保険金請求権を差押えることができます。
したがって、本問は正しいです。これを「物上代位」というのですが、物上代位は体系的に理解しておく必要があります!
なので、「個別指導」では物上代位がどういうものか細かく解説しています!
■問8
抵当権者も先取特権者も、その目的物が火災により焼失して債務者が火災保険金請求権を取得した場合には、その火災保険金請求権に物上代位することができる。 (2010-問5-1)
答え:正しい
抵当権・先取特権も物上代位性があります。
したがって、目的物が火災により焼失して債務者が火災保険金請求権を取得した場合には、その火災保険金請求権に物上代位することができます。
これは、キチンと理解しておく必要があるので、「個別指導」では細かく解説しています。
■問9
Aは、Bからお金を借入、その担保として抵当権が設定されている甲建物を所有しており、抵当権設定後に、甲建物を賃借人Cに対して賃貸した。Cは甲建物に住んでいるが、賃借権の登記はされていない。AがBに対する借入金の返済につき債務不履行となった場合、Bは抵当権の実行を申し立てて、AのCに対する賃料債権に物上代位することも、AC間の建物賃貸借契約を解除することもできる。 (2008-問4-1)
答え:誤り
債務者に債務不履行があった場合、抵当権者は「抵当不動産から得られる賃料」に物上代位できます。
賃貸借契約を解除することはできません。
したがって本問は「AC間の建物賃貸借契約を解除することもできる」という記述が誤りです。
本問はキチンと図を描けること。物上代位を理解することなど、いろいろ勉強すべき部分があります。
「個別指導」では細かいですが、具体的に分かりやすく解説しています。
■問10
不動産に留置権を有する者は、目的物が金銭債権に転じた場合には、当該金銭に物上代位することができる。 (2005-問5-4)
答え:誤り
留置権には物上代位性はありません。したがって、目的物が金銭債権に転じた場合には、当該金銭に物上代位することができません。
この点もしっかり理解しておくべき問題ですね!
「個別指導」では、具体例を出して詳しく解説しています!
■問11
抵当権者は、抵当権を設定している建物が火災により焼失した場合、当該建物に火災保険が付されていれば、火災保険金に物上代位することができる。 (2005-問5-3)
答え:正しい
抵当権の設定を受けた不動産が火災により火災保険金に変わった場合、その火災保険金から弁済を受けられます(物上代位性)。
この点もしっかり理解しておくべき問題ですね!
「個別指導」では、具体例を出して詳しく解説しています!
■問12
抵当権者は、抵当権を設定している不動産が賃貸されている場合には、賃料に物上代位することができる (2005-問5-2)
答え:正しい
抵当権を設定している不動産が賃貸されている場合において、債務者に債務不履行があると、その賃料から弁済を受けられます(物上代位性)。
したがって、本問は正しい記述です。
この点については、キチンと理解する必要があります。
■問13
不動産の売買により生じた債権を有する者は先取特権を有し、当該不動産が賃借されている場合には、賃料に物上代位することができる。 (2005-問5-1)
答え:正しい
先取特権は物上代位性を有します。
したがって、先取特権が付いた不動産が賃借されている場合、その賃料に物上代位することができます。
言い換えると、賃料から回収することができるという事ですが、この問題は理解する上で具体的な解説が必要だと思います!
なので、「個別指導」では、具体的に物上代位がどのようなイメージか?また、先取特権がどのようなイメージかを解説しています!!
■問14
Aは、B所有の建物に抵当権を設定し、その旨の登記をした。Bは、その抵当権設定登記後に、この建物をCに賃貸した。Cは、この契約時に、賃料の6ヵ月分相当額の300万円の敷金を預託した。Aが物上代位権を行使して、BのCに対する賃料債権を差し押さえた後、賃貸借契約が終了し建物を明け渡した場合、Aは、当該賃料債権について敷金が充当される限度において物上代位権を行使することはできない。 (2003-問5-4)
答え:正しい
本問のポイントは「賃料債権を差し押さえた抵当権者は未払い賃料について敷金に対して物上代位権を行使できない」という部分です。
言い換えると、債権者Aは未払い賃料を敷金から回収することはできないと言う事です。
したがって、本問は正しい記述となります。
問題文の状況は理解できましたか?何を問われているのか分かりましたか?
理解学習ができていれば、本問の内容を具体例を出せるはずです。
もし、具体例を出せないのであれば丸暗記学習をしているということです。
丸暗記学習では本試験のような応用問題に対応できないので、結果合格点を取ることができないでしょう。
いまのうちに理解学習をして、実力を上げておきましょう!
「個別指導」では、理解学習ができるように分かりやすく図を付けて具体例を使いながら解説を作っています!
宅建に合格するために理解学習は避けて通れない道です。予備校に通っていても独学でも関係なく理解学習は必須です!今一度理解学習ができているかどうかを自問自答してみましょう!
■問15
Aは、B所有の建物に抵当権を設定し、その旨の登記をした。Bは、その抵当権設定登記後に、この建物をCに賃貸した。Aが物上代位権を行使して、BのCに対する賃料債権を差し押さえた後は、Cは、Aの抵当権設定登記前からBに対して有している弁済期の到来している貸付金債権と当該賃料債権とを相殺することはできない。 (2003-問5-3)
答え:誤り
「物上代位によって『BのCに対する賃料債権』を差押えたい抵当権者A」と「 『BのCに対する賃料債権』 を相殺によって消滅させたいC」が競合するわけです。この場合、「抵当権設定登記の時期」と 「反対債権を取得した時期」の先後で、優劣は決まります。
本問を見ると「Cの反対債権を取得した時期」が「Aの抵当権設定登記の時期」よりも早いので、CはAに対抗することができます。
つまり、賃借人Cは、抵当権設定登記前に取得した反対債権を自働債権として相殺することはできます。
そもそも、問題文の状況は理解できましたか?何を問われているのか分かりましたか?
さらに「弁済期の到来している」という記述が入っている意図は分かりますか?
この3つが分かっていないと理解学習ができていないということです。
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