共同相続と第三者との対抗問題の重要ポイントと解説

共同相続と第三者との対抗問題のポイント一覧

  1. 共同相続後、他の相続人Cが、無断で、相続人Bの持分まで第三者に売却した場合、相続人Bは、登記なくして、自己の持分については、第三者に対抗できる

共同相続と第三者の対抗関係

共同相続人としてBとCがおり、Cが、遺産分割協議前に、Bに無断で、相続財産を第三者Dに売却した場合の図です。

Aが死亡し、相続人がB、CがA所有の土地を共同相続するはずだったが、CがBに内緒でAの土地を自分名義にして、勝手にDに売却してしまった。
この場合BはDに対抗できるのだろうか?

結論からいうとBは、自分の持分については、登記なくして、Dに対抗できます
つまり、登記がなくても、Dから自分の持分については、「返して!」と主張できます。
なぜなら、Aが死亡した時点で、その土地は当然に、相続人B、Cに所有権が移ります。
それを、勝手にCがBの持分まで自分の物として相続登記したということは、Bの持分について、Cは無権利者です。
つまり、無権利者から購入したDもBの持分については無権利者なので、Bに対しては登記をしていてもDはBに対抗できないというわけです。

この点については、関連ポイントもあり複雑なので、詳細解説は個別指導で解説します。

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共同相続と第三者との対抗問題の問題一覧

■問1
甲不動産につき兄と弟が各自2分の1の共有持分で共同相続した後に、兄が弟に断ることなく単独で所有権を相続取得した旨の登記をした場合、弟は、その共同相続の登記をしなければ、共同相続後に甲不動産を兄から取得して所有権移転登記を経た第三者に自己の持分権を対抗できない。 (2007-問6-3)

 

答え:誤り

共同相続人は、共同相続した旨の登記がなくても、自己の持分を対抗できます。

したがって、「弟は、その共同相続の登記をしなければ、共同相続後に甲不動産を兄から取得して所有権移転登記を経た第三者に自己の持分権を対抗できない」という記述は誤りです。

この点についてはキチンと問題分も解説も理解しなければいけません。

なので、「個別指導」では、図を使いながら順を追って考え方を解説します。

少し細かいですが、理解しておきましょう!


■問2
Aは、自己所有の甲地をBに売却し、代金を受領して引渡しを終えたが、AからBに対する所有権移転登記はまだ行われていない。AB間の売買契約をAから解除できる事由があるときで、Bが死亡し、EとFが1/2ずつ共同相続した場合、Aがこの契約を解除するには、EとFの全員に対して行わなければならない。 (2005-問8-4)

 

答え:正しい

解除を行う場合、「解除権者の全員」が「解除される側全員」に対して解除することを伝えなければならないです(=解除の不可分性という)。

Aが解除権を持っている場合、解除する為には、解除される側全員(EとF)に解除する旨を伝える必要があります。

したがって、本問の「Aがこの契約を解除するには、EとFの全員に対して行わなければならない。 」という記述は正しいです。


■問3
Aは、自己所有の甲地をBに売却し、代金を受領して引渡しを終えたが、AからBに対する所有権移転登記はまだ行われていない。AB間の売買契約をBから解除できる事由があるときで、Bが死亡し、EとFが1/2ずつ共同相続した場合、E単独ではこの契約を解除することはできず、Fと共同で行わなければならない。 (2005-問8-3)

 

答え:正しい

解除を行う場合、「解除権者の全員」が「解除される側全員」に対して解除することを伝えなければならないです(=解除の不可分性という)。

今回の場合、解除される側はAだけなので、Aのみに解除する旨を伝えればよいです。


■問4
Aが死亡し、それぞれ3分の1の相続分を持つAの子B、C及びD(他に相続人はいない。 )が、全員、単純承認し、これを共同相続した。相続財産である土地につき、遺産分割協議前に、Bが、CとDの同意なくB名義への所有権移転登記をし、これを第三者に譲渡し、所有権移転登記をしても、CとDは、自己の持分を登記なくして、その第三者に対抗できる。 (2003-問12-1)

 

答え:正しい

遺産分割前の相続財産は、共同相続人の共有に属します。各相続人は、個々の遺産上に共有持分権を有し、遺産分割の前でも、他の相続人の同意を得ずに、共有持分権(自己の持分)を処分することができます。しかし、各相続人の有する共有持分権の範囲を超えた分についての処分は無効です。つまり、Bの単独名義の所有権移転登記のうち、Bの持分については有効ですが、C、Dの持分については、無権利の登記で無効となります。この場合、相続人C・Dは自己の相続分を登記なくして第三者に対抗できます。

この点については、図がないと理解しづらいと思うので、「個別指導」では図を用いて分かりやすく解説しています!本問は理解すべき部分なのでしっかり理解しましょう!

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