抵当権の侵害の重要ポイントと解説

抵当権とはそもそも、目的物は債務者(抵当権設定者)の元にとどめておいて、担保価値を保証するものです。

しかし、何らかの理由で、担保価値が下がってしまっては、抵当権者は困りますよね。
このように、抵当権者が価値の減少(可能性も含む)により、被担保債権を回収できなくなることを抵当権侵害といいます。

抵当権侵害があった場合、抵当権者は次の4つ方法をとることができます。

侵害行為差止請求

例えば、抵当目的物に「木」を伐採して、運び出そうとしている者に対して、「木を持っかないで!」と主張できます。
⇒ 「木」は抵当権の付合物なので、抵当権の効力の及ぶ範囲内です。

返還請求

上記例で、「木」を持って行かれた場合、「木」は抵当権の効力の及ぶ範囲内なので、「木を返せ!」と主張することができます。
ただし、「抵当権者に返せ!」とは主張できません。
あくまでも、「所有者(債務者)に返せ!」としか主張できません
なぜなら、抵当権はそもそも目的物を債務者の元に留めておく権利だからです。

不法占有者に対する明渡請求

例えば、抵当権を設定した土地に、誰かが小さな小屋を作って不法に占有している場合、競売にかけた時に、売却価格が下がる可能性があります。
なので、このような不法占有者に対して。「出ていけ!」ということができます。
これを妨害排除請求といいます。

不法行為に基づく損害賠償請求権

例えば、上記の不法占有者が小屋を作って生活をしており、汚物やゴミをその土地に埋めていた場合、そのままだと、価値が下がってしまいますよね。
このような場合、それらの除去費用を損害賠償請求により、回収することができます。

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抵当権の侵害の問題一覧

■問1
Aは、Bに対する貸付金債権の担保のために、当該貸付金債権額にほぼ見合う評価額を有するB所有の更地である甲土地に抵当権を設定し、その旨の登記をした。その後、Bはこの土地上に乙建物を築造し、自己所有とした。Aは、Bに対し、乙建物の築造行為は、甲土地に対するAの抵当権を侵害する行為であるとして、乙建物の収去を求めることができる。 (2002-問6-1)

 

答え:誤り

抵当権を設定しても、抵当権の目的物(本問では甲土地)の引渡しは不要で、抵当権設定者B(甲土地の所有者)は甲土地を使用したり賃貸したりして収益をあげることが認められています(抵当権設定者の使用収益権がある)。つまり、Bは甲土地に建物を建てても抵当権の侵害にあたらないので、AはBに乙建物の収去を求めることはできません。

この問題については具体例を用いながら考え方を「個別指導」で解説します!


■問2
A所有の都市計画法による市街化区域内の宅地(甲地:面積250㎡)をBが取得した場合において、甲地にA所有の住宅が建っているとき、BがAに対してこれを除却するよう求めるためには、民法の規定によると、Bは、甲地の所有権移転登記を完了していなければならない。

 

答え:誤り

本問は民法の問題です。第三者に対して対抗するには「登記」が必要ですが、当事者間では売買契約を締結するだけで、所有権は、買主に移転しており、買主は売主に所有権を主張することができます。

したがって、Bは、所有権移転登記を完了していなくても、所有権の権利行使として、Aに建物の除却を求めることができます。(所有権に基づく妨害排除請求権)

少し疑問に思うかもしれませんが、詳しい解説は「個別指導」で解説しています!


■問3
対象不動産について第三者が不法に占有している場合、抵当権は、抵当権設定者から抵当権者に対して占有を移転させるものではないので、事情にかかわらず抵当権者が当該占有者に対して妨害排除請求をすることはできない。 (2013-問5-3)

 

答え:誤り

抵当権者は、抵当権を設定している建物の価値が下がってもらっては困るわけです。

もし、第三者の不法占有により建物の価値が下がるような場合は、抵当権者が抵当不動産の所有者に代わって不法占有者に対する妨害排除請求権を代位行使することができます。

簡単に言えば、抵当権者が不法占拠者に対して「出ていけ!」て言えるわけです(^^)/

普通に考えれば、当たり前ですよね!

これも、具体例を出して解説した方が理解しやすいので、「個別指導」では具体例と図を使って解説しています!

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■問4
賃貸人Aから賃借人Bが借りたA所有の甲土地の上に、Bが乙建物(Bは、自己名義で乙建物の保存登記をしている)を所有する場合において、Cが甲土地を不法占拠してBの土地利用を妨害している場合、Bは、Aの有する甲土地の所有権に基づく妨害排除請求権を代位行使してCの妨害の排除を求めることができるほか、自己の有する甲土地の賃借権に基づいてCの妨害の排除を求めることができる。 (2014-問7-2)

 

答え:正しい

Aは甲土地の所有者なので、自分の土地に変な人Cが占拠しているのであれば、所有権に基づいて(使って)妨害排除請求権を行使できます(甲土地から出ていけと主張できる)。

そして、上記、「Aの有する妨害排除請求権」を賃借人Bが代わりに行使することもできます。これは甲土地を実際に利用しているのは借地権者であるBだからと考えれば理解できるでしょう。

続いて、Bについていえば、Bは借地権者です。この甲土地の賃借権に基づいて(使って)甲土地から出ていけ!と主張することもできます(妨害排除請求ができる)。

理解できましたか?

初めて学習される方はなかなか難しいかもしれませんが一つずつ頭に入れていきましょう!


■問5
抵当権者は、抵当不動産の所有者に対し当該不動産を適切に維持又は保存することを求める請求権を保全するため、その所有者の妨害排除請求権を代位行使して、当該不動産の不法占有者に対しその不動産を直接自己に明け渡すよう請求できる場合がある。 (2010-問7-4)

 

答え:正しい

抵当権者は、抵当不動産の価値の低下を防ぐために、所有者の不法占有者に対する妨害排除請求権を代位行使することができます。

したがって、本問のように抵当権者は不法占有者に対しその不動産を直接自己に明け渡すよう請求できる場合があります。

細かい具体例については「個別指導」で詳しく解説しています!

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