表見代理の重要ポイントと解説

(このページは、改正民法に対応しています)

表見代理とは?

表見代理とは
相手方が代理人を見て、見た感じ、代理に見える場合は無権代理であっても 代理行為があったものとして、契約を有効とみなす制度です。

本人AがCに代理権を与えていないにも関わらず、CがAの代理人として、相手方Bと契約した図です。この場合、Cは無権代理人となります。

表見代理の成立要件

では、見た感じ代理に見える場合とはどのような場合でしょうか?

相手方が善意無過失であり、その上で下記①~⑤のいずれかに該当する場合に、表見代理が成立します。

  1. 代理権を与えられたかのような表示をした場合代理権授与の表示
    ⇒ 口頭や書面等でウソを言った場合
  2. 与えられてた代理権の範囲を超えて代理行為をした場合権限外の行為
    ⇒ 家を売る代理権を与えただけなのに、土地も売ってしまった場合
  3. 以前に代理権を与えられていたが、現在は代理権がない場合代理権の消滅後
  4. 1+3の場合
    ⇒ 代理権授与の表示を受けた後に、代理権の範囲を超えて、代理行為をした場合
  5. 3+2の場合
    ⇒ 代理権が消滅した後に、代理権の範囲を超えて、代理行為をした場合

表見代理と無権代理人への責任追及との関係

表見代理が主張できる場合、善意無過失なので、
「表見代理を主張」することもできるし、「無権代理人に責任追及」することもできます。

つまり、次の1と2を選択できるわけです。

  1. “表見代理の主張”   = 契約は有効だ!
  2. 無権代理人の責任追及”= 損害賠償請求しろ!契約を履行しろ!

ただし、表見代理が成立するからといって、無権代理人としての責任を免れることができません

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表見代理の問題一覧

■問1
不動産を担保に金員を借り入れる代理権を与えられた代理人が、本人の名において当該不動産を売却した場合、相手方において本人自身の行為であると信じたことについて正当な理由があるときは、表見代理の規定を類推適用することができる。 (2014-問2-イ)

 

答え:正しい

「不動産を担保に金員を借り入れる代理権を与えられた代理人が、本人の名において当該不動産を売却した場合」とは権限外の行為と考えられます。

そして、権限外の行為の場合、相手方がこの権限外の行為について「善意無過失」であれば表見代理を主張できます。

「不動産を担保に金員を借り入れる」とはどういうことか?

そもそも本問はどういう状況なのか?

本問は理解すべき問題です。

なので「個別指導」で詳しく解説しています!


■問2
A所有の甲土地につき、Aから売却に関する代理権を与えられていないBが、Aの代理人として、Cとの間で売買契約を締結した。なお、表見代理は成立しないものとする。Bの死亡により、AがBの唯一の相続人として相続した場合、AがBの無権代理行為の追認を拒絶しても信義則には反せず、AC間の売買契約が当然に有効になるわけではない。 (2012-問4-3)

 

答え:正しい

無権代理人の死亡により本人が相続した時は、本人は追認を拒絶できます。

したがって、「AC間の売買契約が当然に有効になるわけではない」という記述は正しいです。

ただし、相手方が善意無過失であれば、「無権代理人に対する責任追及権」を相手方が有するので、この義務を承継した本人は、相手方から責任追及される可能性はあります。


■問3
AはBの代理人として、B所有の甲土地をCに売り渡す売買契約をCと締結した。BがAに対し、甲土地に抵当権を設定する代理権を与えているが、Aの売買契約締結行為は権限外の行為となる場合、甲土地を売り渡す具体的な代理権がAにあるとCが信ずべき正当な理由があるときは、BC間の本件売買契約は有効となる。 (2006-問2-2)

 

答え:正しい

無権代理人Bが権限外の行為をして、相手方Cがそれについて善意無過失なので、表見代理が成立します。

したがって、BC間の契約は有効となります!

この問題はしっかり考え方を理解しなければいけません。

上記解説はポイントだけで考え方は省略しています。


■問4
AはBの代理人として、B所有の甲土地をCに売り渡す売買契約をCと締結した。しかし、Aは甲土地を売り渡す代理権は有していなかった。BがCに対し、Aは甲土地の売却に関する代理人であると表示していた場合、Aに甲土地を売り渡す具体的な代理権はないことをCが過失により知らなかったときは、BC間の本件売買契約は有効となる。 (2006-問2-1)

 

答え:誤り

無権代理の契約が有効となるためには相手方Cは無権代理行為について善意無過失でないといけません。

本問は相手方Cに過失があるので、有効にはなりません。(表見代理は主張できない)


■問5
買主Aは、Bの代理人Cとの間でB所有の甲地の売買契約を締結する場合について、Bが従前Cに与えていた代理権が消滅した後であっても、Aが代理権の消滅について善意無過失であれば、当該売買契約によりAは甲地を取得することができる。 (2005-問3-イ)

 

答え:正しい

代理権が消滅していたことについて相手方が善意無過失であれば、表見代理を主張できるため、AはBに履行請求(甲地の引き渡しを請求でき)甲地を取得することができます。

基本的な問題ですね!表見代理の成立要件はしっかり理解しておきましょう!

もちろん、この表見代理の成立要件も単に覚えるというよりは理解しておいた方がよいでしょう!

なぜなら、この成立要件だけみると、何で相手方が保護されて本人は保護されないの?と疑問に感じるからです!


■問6
AがBの代理人としてCとの間で、B所有の土地の売買契約を締結する場合について、Bが、AにB所有土地を担保として、借金をすることしか頼んでいない場合、CがAに土地売却の代理権があると信じ、それに正当の事由があっても、BC間に売買契約は成立しない。 (2002-問2-2)

 

答え:誤り

相手方Cは、善意無過失であり、そして、無権代理人Aは権限外の行為を行っています。

相手方Cが善意無過失で、無権代理人Aが権限外の行為を行っている場合、相手方Cは表見代理を主張できます。

しかたがって、BC間の契約は有効に成立します。

この問題は、なぜ「善意無過失」と判断できるか?また、権限外の行為をどの文章から判断するかがポイントです。

このポイントを理解しないまま勉強を進めても実力はあがりません。

なので「個別指導」では、細かく問題文を分解し、理解できるように解説します!

さらに、本問は表見代理の一部分だけの出題ですが、その他の重要なポイントも併せて解説しています!


■問7
AがBの代理人としてCとの間で、B所有の土地の売買契約を締結する場合について、Bは未成年者であっても、Aが成年に達した者であれば、Bの法定代理人の同意又は許可を得ることなく、Aに売買の代理権を与えて、Cとの間で土地の売買契約を締結することができ、この契約を取り消すことはできない。 (2002-問2-3)

 

答え:誤り

未成年者Bが法律行為(本問の場合は代理権を与えること)を行う場合は原則通り、法定代理人(親)の同意が必要です。

もし、法定代理人の同意を得ずに代理権を与えた場合は後で取消すことができます。

なぜ、この「代理権を与える行為」が原則通り、法定代理人の同意が必要か理解していますか?

個別指導」では、このような理解すべき部分まで解説します!

理解学習こそ合格への近道だからです!

頑張っていきましょう!

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