「手付金額の制限・解約手付」の重要ポイントと解説

手付金額の制限は、は8種規制の一つです。
8種規制とは売主が宅建業者、買主が宅建業者以外の場合に適用される買主保護を目的とする制限です。

手付金額の制限のポイント一覧

  1. 手付解除ができるのは、相手方が履行に着手するまでの間
  2. 買主から手付解除をする場合、手付金を放棄する必要がある
  3. 売主から手付解除をする場合、付の倍額を返す(償還する)必要がある
  4. 宅建業者は自ら売主となって、宅建業者でないものと契約をする際、代金の10分の2を超える手付を受領してはならない
  5. 上記10分の2を超える手付については無効となる

手付金とは?

売主と買主の間で、契約が成立したことの確認のために、買主から売主に支払われるお金で、代金の一部として扱われます。

この手付にはいろいろ種類があるのですが、覚えるべきは解約手付です。

解約手付

解約手付とは、
買主から解約する場合、手付金を放棄して、売主から解約する場合、手付の倍額を返す(償還する)ことで契約解除が認める手付のことです。

手付解除ができるのは、相手方が履行に着手するまでの間です。相手方が履行に着手したら、手付放棄や手付倍返しをしても、解除できません。

宅建業者でない一般消費者と宅建業者が売買契約をする際に一般消費者が支払う手付全て解約手付となります。

手付金の制限

宅建業者は自ら売主となって、宅建業者でないものと契約をする際、代金の10分の2を超える手付を受領してはならないとしています。
この理由は、手付を高額にすると、契約後、気がかわっても契約解除できない状況を生み出してしまうからです。
手付の額が10分の2を超える特約について超える部分について無効となります。

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手付金額の制限の問題一覧

■問1
宅地建物取引業者Aは、自ら売主となる建物 (代金5000万円) の売買に際し、あらかじめ宅建業者ではない買主の承諾を得た上で、代金の30%に当たる1500万円の手付金を受領した。 (2009-問40-3)

答え:違反する(誤り)

本問は「売主が宅建業者」、「買主が宅建業者でない」場合、8種制限にかかります(適用される)。 8種制限の一つである「手付金等の制限」では「代金の20%を超える額の手付けを受領することは禁止」されています。 本問では取引の目的物(建物)の代金が5000万円なので、この2割である1000万円を超える額の手付は受領できません。 つまり、1500万円を受領することは違反です。 本問はもう一歩進んで理解してほしい部分があるので、「個別指導」ではその点も含めて解説しています!


■問2
宅地建物取引業者Aは、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBとの間で、建築工事完了前の建物に係る売買契約 (代金5000万円) を締結した。当該建物についてBが所有権の登記をしていない場合について、Aは、法第41条に定める手付金等の保全措置を講じた上で、Bから2000万円を手付金として受領した。 (2009-問39-4)

答え:違反する(誤り)

本問では5000万円の物件に対して、代金の20%=1000万円を超える手付金(2000万円)を受領しているので「手付金額の制限」に違反します。たとえ、手付金等の保全措置を講じていても、関係ありません。 これはきちんと理解しておかないと本試験で同じ間違いをする部分です。 「個別指導」では具体例を出して考え方を解説しています!


■問3
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBとの間で建物(代金2,400万円)の売買契約を締結する場合において、Aは、Bとの間における建物の売買契約の締結の際、原則として480万円を超える手付金を受領することができない。ただし、あらかじめBの承諾を得た場合に限り、720万円を限度として、480万円を超える手付金を受領することができる。 (2015-問36-2)

答え:誤り

本問は売主が宅建業者、買主が非宅建業者の場合なので、8種制限が適用されます。 まず、売主業者が受領できる手付金額は代金(2400万円)の10分の2が限度です。 つまり、売主業者Aが受領できる手付金額は480万円が限度です。 買主が承諾をしたとしても、480万円を超える手付金を受領することは許されません。 基本的な問題ですね!


■問4
宅地建物取引業者Aが自ら売主として、買主Bとの間で締結した売買契約に関して、Aは、宅地建物取引業者でないBとの間で建築工事完了前の建物を1億円で販売する契約を締結し、法第41条に規定する手付金等の保全措置を講じた上で、1500万円を手付金として受領した。 (2008-問41-3)

答え:違反しない(正しい)

本問は未完成物件なので、代金の5%または1000万円を超える場合に保全措置が必要となります。 ここで代金の5%とは、500万円です。 本問では手付金が1500万円なので、保全措置は必要となります。 本問は保全措置を講じているので「手付金等の保全措置」のルールには違反しません。 次に、「手付金額の制限」を考えると、売主業者は代金の10分の2を超える手付金を受領することはできません。 代金の2割(10分の2)とは2000万円です。 本問は手付金として1500万円を受領しているので「手付金額の制限」にも違反していません。 つまり、本問は宅建業法に違反していません。 したがって、売主業者Aは手付金等の保全措置を講じた上で、1500万円を手付金として受領することができます。 本問を間違えた方は「重要な考え方」を知らないからでしょう! それを「個別指導」でお伝えします! これを知らないと、手付金等の保全措置や手付金額の制限のルールを知っていても正解できない場合が出てきます。


■問5
宅建業者Aは、宅建業者でないBとの間で建築工事が完了した1億円の新築マンションの売買契約を締結し、宅地建物取引業法第41条の2に規定する手付金等の保全措置を講じたうえで、当該マンションの引渡し前に2,000万円を手付金として受領した。 (2003-問38-2)

答え:正しい

本問は売主が宅建業者、買主が非宅建業者の場合なので、8種制限が適用されます。 そして、「完成した1億円のマンションの売買契約」と記述されるので、代金の10%である1000万円を超える「手付金や中間金(合計額)」を受領する場合、保全措置が必要です。 この点について、本問では、「保全措置を講じた上」と記述されているので違反ではありません。 次に、手付金額の制限について考えると、「2000万円」は代金の2割ぴったりです。 つまり、2割を「超えて」はいません。 手付金額については2割を超えて受領すると違反になりますが、違反ではありません。 つまり、本問は正しい記述です。 「手付金等の保全措置」や「手付金額の制限」については体系的に頭に入れる必要があります。断片的な知識ではヒッカケ問題にヒッカカってしまいます。 そうならないために、体系的な理解を心がけましょう! 「個別指導」ではこの点以外についても体系的な解説をしています!


■問6
宅地建物取引業者Aが、自ら売主となって宅地建物取引業者でない買主Bと建物 (完成物件) を売買する場合に関して、Aは、Bの承諾を得ている場合は、契約自由の原則に則り、購入代金の額の2/10を超える額の手付を受領できる。 (2002-問40-1)

答え:誤り

問題文の「則り」は「のっとり」と読みます。 「契約の自由の原則にのっとり」は言い換えると 「契約の自由の原則に基づき」です。 そして、売主が宅建業者で、買主が非宅建業者の場合、手付金の額は代金の2割を超えることができません。 超えた場合は、超える部分についてのみ無効となります。


■問7
宅地建物取引業者Aが自ら完成前の物件の売主となり、宅地建物取引業者Bに売却する場合、法第39条に基づく手付の額の制限等の規定は適用される。 (2004-問40-3)

答え:誤り

「法第39条に基づく手付金額の制限等」は8種制限の一つです。 したがって、売主が宅建業者で買主も宅建業者の場合の取引(宅建業者間の取引)では適用されません。 つまり、手付金の額について代金の2割を超えて設定しても有効となり、違反とはならないのです。 基本的な問題なので解けるようにしましょう!


■問8
宅地建物取引業者Aは、自ら売主として宅地建物取引業者でないBとの間で、建築工事完了前の建物に係る売買契約(代金5,000万円) を締結した場合について、Aは、法第41条に定める手付金等の保全措置を講じた上で、Bから500万円を手付金として受領した。後日、両者が契約の締結の履行に着手していない段階で、Bから手付放棄による契約解除の申出を受けたが、Aは理由なくこれを拒んだ。 (2009-問39-1)

答え:違反する(誤り)

「売主が宅建業者」「買主が宅建業者でない場合」の場合、売主が履行に着手していなければ、買主は手付金を放棄して解除できます。 本問は売主業者Aが履行に着手していない段階なので、買主Bか解除でき、売主業者Aは瑕疵所を拒むことはできません。 ポイントは上記のとおりですが、しっかり理解をしながら答えを導けるようにしないと本試験では対応できません。 「個別指導」ではその点も踏まえて答えを導くプロセスも解説しています!


■問9
自らが売主である宅地建物取引業者Aと、宅地建物取引業者でないBとの間での売買契約に関して、AとBが締結した建物の売買契約において、Bが手付金の放棄による契約の解除ができる期限について、金融機関からBの住宅ローンの承認が得られるまでとする旨の定めをした。この場合において、Aは、自らが契約の履行に着手する前であれば、当該承認が得られた後は、Bの手付金の放棄による契約の解除を拒むことができる。 (2009-問37-2)

答え:誤り

今回は特別に細かく解説します! 実際「個別指導」ではこのような感じで細かく解説しています! ちなみに、解約手付がどういうものかも別途解説しています。 まず、「自らが売主である宅地建物取引業者Aと、宅地建物取引業者でないBとの間での売買契約」なので、買主Bが売主業者Aに交付する手付金は「解約手付」とみなされます。 解約手付とみなされるということは、買主Bが手付金の放棄による契約の解除ができる期限は「売主が履行に着手するまで」と宅建業法で決まっています。 これより、買主にとって不利な特約は無効となります。 「売主が履行に着手する」の具体例は、「売主が買主の希望に応じて建築材料の発注をしたり建築に着工した場合」等があります。 では、本問を見てみましょう! 買主Bが手付金の放棄による契約の解除ができる期限を「金融機関からBの住宅ローンの承認が得られるまで」と決めています。 ということは、売主業者Aが建築に着工していない(履行に着手していない)にも関わらず、買主Bの住宅ローンの承認を得てしまったら解除できないことになってしまいます。 これは買主にとって不利です。 したがって、本特約は無効となるので、売主業者Aは買主Bの「手付放棄による解除」を拒むことができません。 言い換えれば、買主Bは手付金を放棄して、解除できるということです。 独学であっても予備校に通っていても考えるプロセスに重点を置いた学習を行ってください! そうしないと合格力は付きません! >>考えるプロセスに重点を置いた学習をしたい方はこちら


■問10
宅地建物取引業者Aは、自ら売主として売買契約を締結したが、履行の着手前に買主から手付放棄による契約解除の申出を受けた際、違約金の支払を要求した場合、違反となる。 (2006-問41-1)

答え:正しい

解約手付による解除の場合、買主は、「手付金を放棄」するだけで解除することができ、売主業者は、解除のために別途違約金を請求(要求)することはできません。 本問は買主が「宅建業者でない」旨の記載はありません。 しかしながら、「買主から手付放棄による契約解除の申出を受けた」という記述があるので、手付放棄できる状況と考えられるので買主は宅建業者でないものと考えましょう。 「解約手付に関する制限」については「個別指導」を使って理解しておきましょう!

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■問11
建物の販売に際して、当該建物の売買契約の締結後、建物を販売した宅建業者は既に購入者に対する建物引渡債務の履行に着手していたため、当該売買契約の手付放棄による解除を拒んだ。 (2006-問40-4) 【解答】 ○(違反しない) 【解説】 宅建業者(売主)は、既に買主に対する建物引渡債務の履行に着手しているため、買主から宅建業者に対して手付放棄による契約の解除をすることはできません。そのため、手付を返さない行為は違反ではありません。もし、宅建業者が債務の履行をまだ行っていない場合は、手付による解除を拒むことはできません。


■問12
宅地建物取引業者Aが自ら売主として、宅地建物取引業者でないBとの間で土地付建物の売買契約を締結した場合、当該契約に「当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、Aは受領した手付を返還して、契約を解除することができる」旨の特約を定めた場合、その特約は無効である。 (2006-問39-3)

答え:正しい

本問は売主が宅建業者で、買主が非宅建業者なので、8種制限(解約手付)が適用されます。 解約手付の制限では、売主は、買主が履行に着手するまでの間であれば、手付の倍額を返還して、契約解除することができます。 そして、問題のような「売主Aが手付金を返還して解除できる」旨の特約は、買主にとって不利な特約となるので、この特約は無効です。 したがって、本問は正しいです。 ※この問題で重要なことは、問題の意味が理解できるかどうかです。 このサイト内は無料なので、「問題文の理解の仕方」までは解説していませんが、問題文を理解するための勉強を是非行ってください! これが合格への最短の道です。この勉強ができないと、いつまでたっても合格できません。 「問題文の理解の仕方」については「個別指導」で解説しています! 今度の試験で絶対合格しましょう!


■問13
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bとの間で締結した売買契約に関して、Aは、Bとの間で建築工事完了後の建物に係る売買契約(代金3,000万円)において、「Aが契約の履行に着手するまでは、Bは、売買代金の1割を支払うことで契約の解除ができる」とする特約を定め、Bから手付金10万円を受領した。この場合、この特約は有効である。 (2015-問40-1)

答え:誤り

売主が宅建業者で買主が宅建業者でない場合、8種制限(解約手付のルール)が適用されます。 解約手付では、「売主Aが契約の履行に着手するまでは、買主Bは手付金(本問では10万円)を放棄して売買契約を解除できる」というルールです。ここで本問の特約では「売買代金の1割(300万円)を支払わなければ解除ができない」という特約になっているので、買主に不利です。したがって、無効ですね! 解約手付の細かいルールや注意点は「個別指導」で解説しています!


■問14
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者ではない買主Bとの間で宅地の売買契約を締結する場合において、「手付放棄による契約の解除は、契約締結後30日以内に限る」旨の特約を定めた場合、契約締結後30日を経過したときは、Aが契約の履行に着手していなかったとしても、Bは、手付を放棄して契約の解除をすることができない。 (2014-問31-3)

答え:誤り

民法では、 買主の手付放棄による契約解除は、 相手方(売主)が履行に着手するまでの間であればできる としています。 本肢は、 「手付放棄による契約の解除は、契約締結後30日以内に限る」 というのは 買主にとって不利な特約なので無効です。 したがって、契約締結後30日を経過しても、Aが履行に着手していないのであれば 買主Bは手付を放棄して契約解除することができます! 本問は理解を問う問題ですね! 何を理解すべきか? それが重要な学習ポイントなので「個別指導」で解説します!


■問15
宅地建物取引業者A社が、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bとの間で締結した売買契約に関して、A社は、Bとの間における土地付建物の売買契約の締結に当たり、手付金100万円及び中間金200万円を受領する旨の約定を設けた際、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、売主は買主に受領済みの手付金及び中間金の倍額を支払い、また、買主は売主に支払済みの手付金及び中間金を放棄して、契約を解除できる旨の特約を定めた。この特約は有効である。 (2013-問38-ウ)

答え:誤り

原則、買主が売主に与える手付は、特に定めがなかったとしても解約手付となります。 つまり、相手方が履行に着手するまでは、①買主は手付金を放棄して、また、②売主は手付金の倍額を買主に償還して、契約の解除をすることができます。 そして、これよりも 買主に不利な特約は無効となります。 本問の場合、売主からの解除する場合の記述について、「受領済みの手付金及び中間金の倍額を支払う」という点は、②よりも買主にとって有利な特約であるから、無効とはならず有効です。 一方、買主からの解除する場合の記述について、「支払済みの手付金及び中間金を放棄」という点は、①よりも買主にとって不利な特約になります。なぜなら、中間金も放棄しないといけないからです。 つまり、本特約は有効ではありません。 あなたは、この問題文を理解できましたか? 本問は解約手付のルールを知っている方でも、解けない場合が多いです。それは問題文が長いから。。。 どうやって問題文を理解していくのか?これは宅建合格する為の大きな課題です。 しかし、多くの方がこの課題の克服をしていません。 あなたはどうですか?対策を考えていますか? この対策をしていかないと過去問で45点以上取れるようにしても本試験で問題文が理解できず、不合格になってしまいます。 そうならないために、対策をしておきましょう! もし、対策の仕方が分からないのであれば、「個別指導」をご利用ください! 問題文の読み方を教えます!


■問16
宅地建物取引業者A社が、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bとの間で締結する建築工事完了後の建物の売買契約に関して、当該契約において、Bが瑕疵担保責任に基づく請求をすることができる期間として、Bが瑕疵を発見した時から2年間とする旨の特約を定めることができる。 (2011-問37-4)

答え:正しい

瑕疵担保責任に関する特約する場合、引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、民法の規定(瑕疵を知った時から1年)より買主に不利となる特約をすることはできません。瑕疵担保責任に関する特約する場合、目的物の「引渡しの日から2年以上」となる特約であれば有効です。 つまり、本問は、売主業者Aが瑕疵担保責任を負う期間を「瑕疵を発見した時から2年間」となっているので、有効です。 つまり、正しい記述です。 この解説で分かる方は理解できている方ですが、正直ここを理解できていない方は非常に多いです。 瑕疵担保責任については民法とのからみもあるのでしっかり理解する必要があります。 しっかり本試験で得点していただくための理解の仕方は「個別指導」でお伝えします!


■問17
宅地建物取引業者A社が、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bとの間で締結する建築工事完了後の建物の売買契約に関して、当該契約の締結に際し、BがA社に手付金を支払い、さらに中間金を支払った場合、Bは、A社が契約の履行に着手しないときであっても、支払った手付金を放棄して契約の解除をすることができない。 (2011-問37-1)

答え:誤り

宅地建物取引業者が、自ら売主として売買契約の締結に際して手付を受領したときは、その手付がいかなる性質のものであっても、解約手付として扱われます。つまり、「相手方」が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄して、契約の解除をすることができます。 本問の場合、売主は履行に着手をしていないので買主は手付金を放棄して解除できます。 解約手付は非常に重要です。理解するのは当然です。 また、細かい部分まで出題される可能性があるので「個別指導」で細かく確認しておきましょう!


■問18
宅建業者Aが、自ら売主として宅建業者でないBとの間で宅地(代金2,000万円)の売買契約を締結する場合において、Aは、Bの承諾がある場合においても、「Aが契約の履行に着手した後であっても、Bは手付を放棄して、当該売買契約を解除することができる」旨の特約をすることができない。 (2010-問40-3)

答え:誤り

民法における解約手付のルールでは、売主業者が履行に着手すると、買主は手付を放棄しても解除ができません。 「売主業者Aが契約の履行に着手した後であっても、買主Bは手付を放棄して、当該売買契約を解除することができる」というのは 買主にとって有利な特約です。 買主にとって有利な特約は、有効なので、本問は誤りです。


■問19
宅建業者Aが、自ら売主として宅建業者でない買主Bとの間で宅地の売買契約を締結した場合において、Aは、当該売買契約の締結日にBから手付金を受領し、翌日、Bから内金を受領した。その2日後、AがBに対して、手付の倍額を償還することにより契約解除の申出を行った場合、Bは、契約の履行に着手しているとしてこれを拒むことができる。 (2010-問39-4)

答え:正しい

本問では、買主が中間金(内金)を交付をしているので「買主が履行に着手した」と言う事になります。 したがって、売主は手付倍返しによる解除はできません。 売主から解除できないということは、買主Bは、売主からの解除を拒むことができるので本問は正しいです。


■問20
宅建業者Aが、自ら売主として宅建業者でない買主Bとの間で宅地の売買契約を締結した場合において、Aが、当該売買契約の解除を行う場合は、Bに対して「手付の倍額を償還して、契約を解除する。」という意思表示を書面で行うことのみをもって、契約を解除することができる。 (2010-問39-3)

答え:誤り

本問の質問内容は、 売主Aから解除を行う場合、「手付金の倍額を返すので契約解除します!」と書面で通知するだけで解除できる、○か×か? という質問内容です。 売主から解除をする場合、現実に手付金の倍額を償還(交付)して解除することができるのであって、単に書面で解除する旨の通知だけでは解除できません。 ヒッカケ問題ですが、問題文をしっかり読みましょう。

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■問21
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBと建物の売買契約を締結する場合について、Bが契約の履行に着手するまでにAが売買契約の解除をするには、手付の3倍に当たる額をBに償還しなければならないとの特約を定めることができる。(2008-問40-1)

答え:正しい

宅建業法のルールでは 売主業者からの解除の場合、売主は買主に対して、「手付の倍額」を償還すればよいとされていますが 本問の特約では 売主業者からの解除の場合、買主に対して、「手付の3倍にあたる額」を償還しないといけないという特約なので 買主にとっては有利(売主業者にとっては不利)な特約です。 したがって、本特約は有効です。 本問で関連知識も一緒に学習できるので、「個別指導」ではその点もお伝えしています!


■問22
宅地建物取引業者Fが自ら売主となって、宅地建物取引業者でないGと宅地の売買契約を締結するに際して手付金を受領する場合において、その手付金が解約手付である旨の定めがないときは、Fが契約の履行に着手していなくても、Gは手付金を放棄して契約の解除をすることができない。 (2007-問43-4)

答え:誤り

解約手付で買主Gから解除する場合、「売主業者Fが履行に着手するまでの間であれば、買主Gは手付を放棄して解除することができます。」 したがって、「売主業者Fが契約の履行に着手していなくても、Gは手付金を放棄して契約の解除をすることができない。」という記述は誤りです。 解約手付の細かい解説については「個別指導」でお伝えします。


■問23
宅地建物取引業者Aが、自ら売主となって宅地建物取引業者でない買主Bに建築工事完了前のマンションを1億円で販売する場合において、Aが当該マンションの売買契約締結時に、手付金として500万円をBから受領している場合において、Bが契約の履行に着手していないときは、Aは、Bに500万円を償還すれば、当該売買契約を解除することができる。 (2007-問34-1)

答え:誤り

まず、「自らが売主である宅建業者Aと、宅建業者でないBとの間での売買契約」なので、買主Bが売主業者Aに交付する手付金は「解約手付」とみなされます。 解約手付とみなされるということは、売主業者Aから解除する場合、買主Bが履行に着手までに解除しなければなりません。 本問では、「Bが契約の履行に着手していないとき」となっているので、売主業者Aは解除できます。 具体例があった方が分かりやすいので、「個別指導」では具体例を含めて解説しています!


■問24
宅地建物取引業者Aが、自ら売主となり、宅地建物取引業者でない買主Bとの間で、中古住宅及びその敷地である土地を、代金3,500万円、うち手付金500万円で売買契約を締結しようとする場合に関して、相手方が契約の履行に着手するまでは、Bは手付金のうち250万円を放棄して、また、Aは1,000万円を償還して、契約を解除することができる旨の定めをすることができる。 (2003-問41-1)

答え:正しい

解約手付のポイントは 1.買主は売主が履行に着手するまでであれば手付金を放棄して解除できる 2.売主は買主が履行に着手するまでであれば手付金の倍額を償還して解除できる これより買主にとって不利な特約は無効となります。 ここで、本問の定め(特約)を見ると、買主は250万円だけ(手付金の半分だけ)放棄すればよいとなっており、これは買主とって有利です。 また、売主の解除について見てみると、「Aは1,000万円(手付金の倍額)を償還して、契約を解除することができる旨」という特約は上記のルールそのままなのでもちろん有効です。 したがって、本特約は有効です。 順序立てて考えていけば解ける問題ですね(^^)/


■問25
宅地建物取引業者Aが、自ら売主となって宅地建物取引業者でない買主Bと建物 (完成物件) を売買する場合に関して、Bが手付を支払った後、代金の一部を支払った場合は、Aは、手付の倍額を償還することによる契約解除はできない。 (2002-問40-2)

答え:正しい

まず、売主が宅建業者で、買主が非宅建業者の場合、買主が支払った手付金は「解約手付」として扱います。 そして、売主は、買主が履行に着手するまでであれば手付の倍額を償還することにより契約解除ができます。 ここで本問を見ると、買主Bが手付金を支払って、その後、代金の一部(中間金)を支払っています。 つまり、買主は履行に着手しているわけです。 したがって、売主Aは、手付金の倍額を買主Bに償還しても解約手付による解除はできません。 解約手付については非常に重要なので、「個別指導」ではどういった場合に「履行に着手」したことになるのかといった具体例を出して解説しています。


■問26
宅地建物取引業者Aは、自ら売主となって、宅地建物取引業者でない買主Bに、建築工事完了前のマンションを価格4,000万円で譲渡する契約を締結し、手付金300万円を受け取った。AB間の契約においては、「Aがマンションの引渡しができない場合には、当該手付金の全額を返還するので、Bの履行着手前にAが契約を解除してもBは損害賠償その他の金銭を請求しない」旨の特約をすることができる。 (2001-問41-3)

答え:誤り

本問は、「手付金の全額を返還するので、買主Bの履行着手前に売主Aが契約を解除してもBは損害賠償その他の金銭を請求しない」となっています。 宅建業法では、売主Aは、買主Bの履行着手前に解除する場合、「手付金の倍額を償還」する必要があるとしています。 本問の内容だと、「手付金を全額返還するだけ」で売主Aは解除することができてしまい、買主にとっては不利な特約と言えます。 したがって、本問は誤りです。 この解説で理解できたでしょうか? この問題はしっかり理解していないと応用問題が解けない部分です! そのため「個別指導」ではしっかり理解していただくために具体例を挙げて解説し、この問題に付随する解約手付の概要も併せて解説しています!

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