錯誤のポイント一覧
- 錯誤が成立すると取消すことができる。
- 錯誤を主張するためには、原則「表意者に重大な錯誤がない」ことが要件である。
- 動機の錯誤を理由に取り消するためには、その動機を明示するか黙示の表示をする必要がある。
- 錯誤による取り消しは、善意無過失の第三者に対抗できない。
錯誤の言葉の意味
錯誤とは、簡単にいえば、「勘違い」や「間違い」のことです。錯誤は、大きく分けると、「表示に対応する意思が欠ける場合(表示の錯誤)」と、「②動機に錯誤がある場合(動機の錯誤)」とに分かれます。
【①表示の錯誤の具体例】
例えば、甲土地を買おうと思っていたのに、間違って「乙土地を買う」と言ったような場合です。「乙土地を買う」という表示に対応する意思がありません。つまり、「意思」と「表示」が「不一致」の状況です。
【②動機の錯誤の具体例】
例えば、「甲土地の近くに新駅ができるから甲土地を買おう」と思って「甲土地を買う」と言ったが、実は新駅の計画はなかった場合です。この場合、「甲土地を買う」という意思はあり、その意思にしたがって表示をしています。したがって、「意思」と「表示」は「一致」しています。しかし、「甲土地を買おう」と思った動機のところに勘違いがあります。これが動機の錯誤です。
錯誤の効果
錯誤による意思表示は、原則、有効ですが、あとで取り消すことができます(民法95条1項)。無効ではないので注意しましょう。なぜ、無効ではなく取消しなのかというと、表意者を保護する制度だからです。無効は原則として誰でも主張できますが、取消しは表意者本人など一定の人に限られます。相手方は取消すことができません。錯誤の場合、表意者側からだけ効力を否定できればよいので、取消しとされています。
(錯誤)
民法95条 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
錯誤の成立要件
錯誤と認められれば、取消しができますが、些細な勘違いの場合まで取消しを認める必要はありません。例えば、表意者が心の中では3000万円で買おうと思っていたのに、計算間違いをして3000万100円で買うといったとします。このような小さな間違いであれば、契約を有効なままにしても表意者にとって酷とはいえません。そこで、契約目的や一般常識から判断して「重要な勘違い」の場合にだけ取り消すことができるとされています(95条1項)。
また、表意者がほんのちょっと注意すれば勘違いを防げたような場合には、表意者を保護する必要がありません。そこで、表意者に重大な過失があった場合は、原則、取り消すことができないとされています(95条3項)。例えば、宅建士が、重要事項説明書を部下に作らせて、内容を見ないで書類にサインした場合が考えられます。プロとしてあまりに不注意だからです。
(錯誤)
民法95条
3 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第一項の規定による意思表示の取消しをすることができない。
一 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。
二 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。
つまり、民法で、錯誤による取消しを主張できる場合とは、原則、下記1,2の両方を満たす場合です。
- 法律行為の目的および取引上の社会通念に照らして重要な錯誤があること(=重要な勘違い)
- 表意者に重過失がないこと
重過失とは、通常一般人に期待される注意を著しく欠いていたことをいう。
この2つを満たす場合、原則、錯誤による取消しができます。
例外
上記までは、原則ですが、ここからは例外の内容です。1を満たしていれば、上記2を満たさない場合でも(表意者に重大な過失があっても)、錯誤による取消しができる場合があります。
それが民法95条3項1号2号です。
① 相手方が悪意もしくは重過失の場合
② 共通錯誤の場合
①相手方が悪意もしくは重過失の場合
相手方Bが「表意者が勘違いをしていること」を知っている場合(悪意の場合)、たとえ、表意者Aに重大な過失があったとしても、表意者Aは、錯誤を理由に取り消しができます。
また、
相手方Bが「表意者が勘違いをしていること」を重大な過失により知らなかった場合(重過失の場合)も上記と同じように、たとえ、表意者Aに重大な過失があったとしても、表意者Aは、錯誤を理由に取り消しができます。
②共通錯誤の場合
表意者Aも相手方Bも、どちらも同じ勘違いをしていた場合、表意者Aに重大な過失があったとしても、表意者Aは錯誤取消しができます。
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動機の錯誤とは
上記は、「表示の錯誤」についての話です。
実は、錯誤は「表示の錯誤」と「動機の錯誤」の2つに分けられます。
- 表示の錯誤
意思と表示が不一致 - 動機の錯誤
意思と表示は一致しているが、そもそもの動機で勘違いしている場合。
⇒ 相手方に動機を、明示するか黙示の意思表示がないと錯誤とならない
意思表示するまでの流れをまずご覧ください。
意思表示をするまで3つの段階があります。
↓
②Bさんの空き地を買おうと思う(=内心的な意思)
↓
③「Bさんの空き地をを買いたい」と言う(=表示)
動機の錯誤の例を示します。
例えば、Aさんが結婚して、新築戸建てを立てるための土地を探していたとします。
買おうとした土地に産業廃棄物が埋まっていて、別途処理費が数百万円かかることが分かった場合、土地を買いたいと思って、意思表示はした(内心的な意思と表示は一致している)が、産業廃棄物が埋まっている土地をしっていたら、買おうと思わなかったわけなので、動機の部分で産業廃棄物はないと勘違いしていたわけですね。これが、動機の錯誤です。
この場合、 相手方に動機を、明示するか・黙示の意思表示がないと錯誤となりません。
表示の錯誤の例を示します。
例えば、Aさんが結婚して、新築戸建てを立てるための土地を探していたとします。
100㎡の土地を買おうと思っていた契約書にサインをしたところ、間違って、1000㎡の土地の売買契約書にサインをしてしまった場合です。内心的な意思と表示が不一致ということです。
明示と黙示
明示とは、相手方に言葉や書面などではっきり伝えることです。
黙示とは、暗黙のうちに意思や考えを表すこと。
例えば、歴史的背景を持つ高額な絵を購入したところ、それが偽物であった場合、本物だから購入したと明示していなくても、黙示に表示があったとして錯誤取消しが認められています。(東京高裁 H10.9.28)
例えば、連帯保証人として、連帯保証契約をしたところ、4ヶ月という短期間で主債務者(法人)が倒産に至った場合について、およそ融資の時点で破綻状態にある債務者にために保証人になろとする者は存在しないというべきであるから、保証契約の時点で主債務者がこのような意味での破綻状態にないことは、保証しようとする者の動機として、一般に、黙示的に表示されているものと解するのが相当として 動機は黙示的に表示されているとした判例(東京高裁 H17.8.10)
錯誤と第三者との関係
表意者Aが勘違いをして、甲土地を相手方Bに売却してしまった。
相手方Bはすでに、第三者Cに当該甲土地を転売していた。
この場合、甲土地の所有権は誰が主張できるか?
第三者Cが、「Aが勘違いをしていること」について、善意無過失の場合、第三者Cが保護され、表意者Aは第三者Cに錯誤による取消しを主張できません(民法95条4項)。
=AはCに対抗できない
=Cが甲土地の所有権を主張できる
一方、 第三者Cが、「Aが勘違いをしていること」について、悪意もしくは有過失の場合、表意者Aが保護され、表意者Aは第三者Cに錯誤による取消しを主張できます。 =AはCに対抗できる =Aが甲土地の所有権を主張できる
(錯誤)
民法95条
4 第一項の規定による意思表示の取消し(錯誤取消し)は、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。
錯誤の問題一覧
■問1
意思表示をなすに当たり、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、錯誤を原因として自らその取り消しを主張することができない。 (2009-問1-1)
答え:正しい
「表意者に重大な過失がある」と錯誤取消しを主張ができません。
したがって、本問は誤りです。
ちなみに、錯誤による取消しを主張できる場合とは、次の2つの要件を満たした時です。
- 法律行為の目的および取引上の社会通念に照らして重要な錯誤があること
- 表意者に重大な過失がないこと(重過失がない)
ちなみに、旧民法では、「錯誤は無効」でしたが、法改正により「無効ではなく、取り消しできる」となったので注意しましょう!
錯誤については、ルールが細かいし、分かりづらいので、理解しづらいです。
そのため「個別指導」では具体例を出して解説します。
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■問2
錯誤が、売却の意思表示の内容の重要な部分に関するものであり、法律行為の目的および取引上の社会通念に照らして重要な部分の錯誤と認められる場合であっても、この売却の意思表示の取り消しを主張できることはない。 (2005-問2-1)
答え:誤り
結論から言いましょう!
本問の場合、取り消しを主張できる場合があるので×です。
この解説で理解できた方はOKです!
もし、「どういうこと?」となったのであれば、キチンと理解学習をする習慣を今日から行っていきましょう!
実力が付かない多くの方は、そもそも「問題文を理解していません」
なので、どれだけ勉強しても、始めて見る問題は解けないんです。
そして、解説を見ると、「あ!これ勉強したことがある!」となるんです。
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■問3
AがBに対し土地の売却の意思表示をしたが、その意思表示は錯誤によるものであった場合、錯誤を理由としてこの売却の意思表示を取り消そうとする場合、意思表示者であるAに重過失があるときは、Aは自らその取消しを主張することができない。 (2005-問2-3)
答え:正しい
「意思表示者であるAに重過失があるとき」という記述から、表意者Aに重大な過失があるので、この時点で錯誤の要件を満たしません。
したがって、Aは錯誤を理由として取消しを主張することができません。
■問4
AがBに対し土地の売却の意思表示をしたが、錯誤を理由としてこの売却の意思表示を取消しできる場合、意思表示者であるAがその錯誤を認めていないときは、Bはこの売却の意思表示の取消しを主張できる。 (2005-問2-4)
答え:誤り
錯誤による取消しは原則、表意者Aのみ主張できます。本問は相手方Bが取消しの主張しているので誤りです。
ただし、判例では、表意者以外の者でも、錯誤取消しを主張できる場合があるとしています。
それはどのような場合か?
表意者に対する債権を有する第三者がその債権を保全する必要があり、表意者が錯誤を認めている場合です。
この点については具体例がないと分かりづらいので、「個別指導」で具体例を出して解説しています!
本問はこの例外にも当てはまらないので、原則通り、BはAの錯誤を理由に取消しを主張できません。
理解しながら一つ一つ勉強は進めていきましょう!
■問5
Aが、Bに住宅用地を売却した場合の錯誤に関して、Bが、Aや媒介業者の説明をよく聞き、自分でもよく調べて、これなら住宅が建てられると信じて買ったが、地下に予見できない空洞(古い防空壕)があり、建築するためには著しく巨額の費用が必要であることが判明した場合、Bは、売買契約は錯誤によって取消しであると主張できる。 (2001-問2-1)
答え:正しい
表意者Bが錯誤取消しを主張するための要件は次の2つを同時に満たすことです。
【錯誤の成立要件】
1.法律行為の目的および取引上の社会通念に照らして重要な錯誤があること
2.表意者に重大な過失がないこと(重過失がない)
買主Bは「Aや媒介業者の説明をよく聞き、自分でもよく調べて、これなら住宅が建てられると信じて買った」という記述から、Bの錯誤(勘違い)に「2.Bに重大な過失はない」であることが分かります。
次に、「地下に予見できない空洞(古い防空壕)があり、建築するためには著しく巨額の費用が必要であることが判明した」ということは、もし、事前にこの事実を買主Bが知っていたら、A所有の土地を購入する意思表示はしなかったと考えられます。
つまり、これは「1.法律行為の目的および取引上の社会通念に照らして重要な錯誤がある」に当たります。
したがって①、②から勘違いして購入する意思表示をしたBは錯誤による取消しを主張することができます。
錯誤については頻出なので細かい部分まで理解しておきましょう!
「個別指導」では錯誤の細かい部分まで解説しております。
■問6
Aが、Bに住宅用地を売却した場合の錯誤に関して、Bは、代金をローンで支払うと定めて契約したが、Bの重大な過失によりローン融資を受けることができない場合、Bは、錯誤による売買契約の取消しを主張することはできない。 (2001-問2-4)
答え:正しい
錯誤取消しを主張できるのは、「①法律行為の目的および取引上の社会通念に照らして重要な錯誤」があり、かつ、「②表意者に重大な過失がない」ことが要件です。
本問では、「Bの重大な過失により」という記述から、Bは錯誤の要件を満たさないので錯誤による取消しを主張することはできないとすぐに導けるようにしましょう。
下の「錯誤の要件」は必ず頭に入れておきましょう!
錯誤の成立要件
1.法律行為の目的および取引上の社会通念に照らして重要な錯誤がある
2.表意者に重大な過失がないこと(重過失がない)
■問7
意思表示に法律行為の目的および取引上の社会通念に照らして重要な錯誤があった場合は、表意者は、その意思表示の無効を主張することができる旨は民法の条文に規定されている (2013-問1-1)
答え:×
錯誤の場合、後で取消しができるのであって、その意思表示自体無効ではありません!
つまり、「無効主張できる」と民法では規定されていません。
■問8
AがA所有の甲土地をBに売却した。 AB間の売買契約が、Bの意思表示の動機に錯誤があって締結されたものである場合、Bが所有権移転登記を備えていても、AはBの錯誤を理由にAB間の売買契約を取り消すことができる。 (2016-問3-4)
答え:誤り
錯誤については、勘違いをした本人(表意者)を保護する制度なので、原則、表意者本人しか無効主張できません。本肢は、「AはBの錯誤を理由にAB間の売買契約を取り消すことができる。」となっており、誤りです。
■問9
A所有の甲土地につき、AとBとの間で売買契約が締結された場合において、Bは、甲土地は将来地価が高騰すると勝手に思い込んで売買契約を締結したところ、実際には高騰しなかった場合、動機の錯誤を理由に本件売買契約を取り消すことができる。 (2011-問1-1)
答え:誤り
「地価が高騰する」ことが「動機の錯誤」に該当するかがポイントです。
動機に関する思い違いも次の3つの要件を同時に満たすとき「錯誤」として取り扱い、表意者の保護を図られます。
1.法律行為の要素の錯誤であること
2.動機が明示または黙示に表示されたこと
3.表意者に重大な過失がないこと
今回、勝手に思い込んでいるため、「表意者に重大な過失がない」とはいえないので取消すことはできません。
基本的な部分ですね!
■問10
意思表示をなすについての動機は、表意者が当該意思表示の内容とし、かつ、その旨を相手方に明示的に表示した場合は、法律行為の要素となる。 (2009-問1-3)
答え:正しい
動機を明示すれば、その動機は法律行為の要素となるので本問は正しいです。
この問題は、答えられるけど理解している人は少ないです。
理解しておかないと、本試験で別角度から出題されたときに対応できないです。。。
これも「個別指導」では具体例を出して理解できるように解説しています。
■問11
意思表示をなすについての動機は、表意者が当該意思表示の内容としたが、その旨を相手方に黙示的に表示したにとどまる場合は、法律行為の要素とならない。 (2009-問1-4)
答え:誤り
動機について黙示的に表示していれば、動機は法律行為の要素となるので本問は誤りです。
この問題も(2009-問1-3)同様、答えられるけど理解している人は少ないです。
理解しておかないと、本試験で別角度から出題されたときに対応できないです。。。
「個別指導」では具体例を出して理解できるように解説しています。
■問12
AがBに対し土地の売却の意思表示をしたが、その意思表示は錯誤によるものであった場合、錯誤が、売却の意思表示をなすについての動機に関するものであり、それを当該意思表示の内容としてAがBに対して表示した場合であっても、この売却の意思表示が無効となることはない。 (2005-問2-2)
答え:×
①法律行為の要素に錯誤がある
②表意者に重大な過失がない
この2つを満たせば、錯誤による無効を主張できます。
動機の錯誤については原則、動機による錯誤では無効を主張することはできません。
しかし、例外として、意思表示の際に、動機が「明示」または「黙示的に表示」されれば、動機の錯誤も①の要素の錯誤に該当することになります。
したがって、本問では、動機が明示されているので①の法律行為の要素には錯誤があるといえます。
そして、②の表意者Aに重大な過失がなければ、①②の2つの要件を同時に満たし、無効を主張することができます。
よって、売却の意思表示が無効となることはないという記述は誤りです。
本問については問題文を理解し、かつ、法律(ルール)を理解しなければいけません。
問題自体はそれほど難しくありませんが、考えるべきことがたくさんありますので、その点は「個別指導」で解説していきます!
キチンと理解しながら学習をしていきましょう!
■問13
Aが、Bに住宅用地を売却した場合の錯誤に関して、Aが、今なら課税されないと信じていたが、これをBに話さないで売却した場合、後に課税されたとしても、Aは、この売買契約が錯誤によって無効であるとはいえない。 (2001-問2-3)
答え:正しい
動機の錯誤については意思表示の際に、動機が「明示」または「黙示的に表示」されれば、「要素の錯誤」に該当しますが、
今回売主Aは「これをBに話さないで売却した」と記述しています。
「これ」とは、「課税されないと信じていた」ことです。
「課税されない」から「売却する意思表示をした」ので、「課税されないこと」は「動機」に当たります。
つまり、「動機」を明示していないわけです。
また、黙示的に表示があったともいえない(買主Bがその動機について知ることもできない)ので、売主Aは要素の錯誤は認められません。
したがって、錯誤の要件である「法律行為の要素に錯誤がある」を満たさないので、売主Aは錯誤による無効を主張することはできない。
■問14
表意者自身において、その意思表示に瑕疵(かし)を認めず、民法第95条に基づく錯誤の意思表示の取消しを主張する意思がない場合は、第三者がその意思表示の取消しを主張することはできない。 (2009-問1-2)
答え:正しい
錯誤による取消しは、表意者を保護するための制度なので、原則、錯誤による取消しは表意者のみ主張することができます。つまり、「第三者がその意思表示の取消しを主張することはできない」という記述は正しいです。
ただ、これだけでは理解したことになりません。「取消し」についても、しっかり理解する必要があります。
「個別指導」では本問の具体例だけでなく、意外と知らない「無効の知識」についても解説します。
■問15
Aが、Bに住宅用地を売却した場合の錯誤に関して、売買契約の目的および取引上の社会通念に照らして重要な部分について錯誤があった場合は、Bに代金を貸し付けたCは、Bがその錯誤を認めず、取消しを主張する意思がないときでも、Aに対し、Bに代位して、取消しを主張することができる。 (2001-問2-2)
答え:誤り
「Bがその錯誤を認めず」という記述から、Bは勘違いをしているが、その勘違いを認めていない(私Bは勘違いしていない!と主張している)状況です。
この場合、表意者Bに取消しを主張する意思がないときは、第三者Cは、原則として、取消しを主張することはできません。
したがって、誤りです。
関連ポイントとして、
例外として、第三者Cが表意者Bに対する「債権を保全する必要がある」場合、「表意者が錯誤のあることを認めている」ときは、 表意者自らは意思表示の取消しを主張する意思がなくても、第三者は、Bの有する取消権を主張する権利を使って(債権者代位)、取消しを主張することができます。
「債権を保全する必要がある」とはどういうことか?
具体例については、「個別指導」で解説しております。