取消しと無効の違い、追認の意味

「取消し」と「無効」は違うので、その点をお伝えいたします。この分野は、単発で問題として出てくることはありませんが、複合問題で、いろいろな分野と絡めてでてきます。なので、その都度、復習してつなげて覚えていってください。

取消し・無効・追認のポイント一覧

  1. 取消しができる行為でも、取り消すまでは有効
  2. 取り消したら、契約したときにさかのぼって無効となる
  3. 取消しができるのは「取消権者」に限られる
  4. 取消しをすると、その後、追認はできない
  5. 取消しができる期間は、追認ができるようになってから5年、かつ、行為(意思表示)時から20年以内
  6. 無効の場合は、契約しても、一度も有効とはならず無効
  7. 誰でも無効の主張ができます

取消し

契約して、その後、取消すと、取消し前迄は有効で、取消すと、契約の時まで遡って(さかのぼって)無効となります。 つまり、取消されなければ、ずーと有効だということです。そして、取消しは誰でも主張できるわけではありません。 取消しできる人は決まっています。 そして、取消しできるまでの期間も決まっています。
また、取消しできる契約には取消す前に、その契約を取消しません。確定的に有効な契約にします!と相手に言うこともできます。これを追認と言います。

無効

それに対して、無効の場合は、契約しても、一度も有効とはならず無効です。
そして、無効は取消しとは違い、誰でも無効の主張ができます。

そして、無効を主張する期間に制限はありまません。つまり、何年たっても、無効を主張することができるということです。

取消権者

無効と違い、取消しできる者は限られています。

取消権者の表
取消しできる者(取引権者)
制限行為能力者を理由として取消す場合
  • 制限行為能力者
  • その代理人
  • 今は成年者となった元未成年者
詐欺強迫を理由として取消す場合
  • 詐欺強迫を受けて意思表示した者
  • その代理人
  • ⇒ 制限行為能力者と契約した者と取消しの関係について
    ⇒ 制限行為能力者と契約した者を保護する規定

    取消しできる期間

    取消しできる行為は、いつまで経っても取消すことができるかというと、そうではありません。
    ずーと取消しできるとしてしまうと、契約がいつまでたっても確定せず、不安ていですよね!
    なので、期間が定められています。
    それは、
    追認ができるようになってから5年、かつ、行為(意思表示)時から20年以内とされています。この期間を過ぎると取消すことができません。

    追認

    追認とは、取り消すことができる行為を「取り消さないです!」と決める意思表示です。
    つまり、取消権の放棄することです。

    追認がなされると、法律行為の有効が確定します。

    例えば、未成年者が、不動産を購入する契約をした場合、「未成年者や親」は後で取り消しすることができます。

    それにもかかわらず、親がこの契約を追認したら、「取り消さないですよ!」と示したことになり、不動産の購入する契約は、有効が確定し、その後、取消しができなくなります。

    そして、契約の相手方は、その行為(上記でいうと不動産を購入)を追認するのかどうか、催告することができます。

    「追認します」と言わなくても、追認になってしまう場合(法定追認)

    原則としては、取消しができる契約をした後に、「追認します!」と相手方に伝えることによって、追認が認められるのですが、「追認します!」と伝えなくても追認したと見なされる場合がございます。これを、「法定追認」といいます。

    例えば、

    • 全部または一部の履行した場合 ・・・ ①
    • 履行の請求 ・・・ ②
    • 担保の供与 (担保を与えること) ・・・ ③

     

    ①の例は
    未成年者AとBがの売買契約をしました。(AがBの土地を購入)その後、取消権を持つ保護者が、Bに売買代金の一部または全部を支払った場合

    ②の例は
    上記の例で、取消権を持つ保護者がBに対して、「土地を引き渡してください!」を請求した場合

    ③の例は
    上記の例で、
    土地を分割払いで購入した場合に、連帯保証人をつけたり別の土地を担保にいれた場合

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